分岐点(2009年02月21日)
株式教室の題名で書いていますから、今日はボックス相場の動きを中心に…
日経平均株価は下値ボックスの動きにあります。青い枠で囲んだAの下げは世界の投資銀行がリーマンショックにより過剰な資産を売却した動きでしょう。決算報告書を読みますと、米国で生延びたゴールドマンサックスやモルガンスタンレーの資産は自己資本に対し22倍程度までありましたが、この間に急激に圧縮されており適正水準の11倍程度まで縮小しています。その後のオレンジの部分のボックスは、新しい世界の基準を模索する動きと見ることが出来ます。今日の不況は金融不況です。サブプライムローン問題から始まった金融デリバティブに対する信認相場なのですね。基本認識をちゃんと捉えてないと相場観は掴めません。金融デリバティブの発展により世界経済は大きな飛躍を向かえ、BRICsを中心とする国々はGDPの成長期を迎えました。
しかし…サブプライムローンは2~3年後に金利が変更される劇薬ローンで、住宅価格が上がり続けないと焦げ付くのが目に見えた商品だったのです。長く上昇が続く米国の住宅価格はサブプライムローンの登場により、2003年より2006年にかけて大きく上昇しました。需要と供給の関係ですね。しかし通常の金利ではない為に、仕組みが破綻し商品が焦げ付きました。金融デリバティブ(証券派生商品)の発達でリスクが軽減されている筈だったのですが、増え続ける債務不履行者の増加により、証券を保証する機関(モノライン)も破綻し始め、サブプライムローン商品が焦げ付き金融機関に影響が及びました。サブプライムローンからCDSの存在が、一般的に明らかになり金融デリバティブに対する信認が崩れたのがリーマンの破綻です。限界点の破綻が混乱を招くのです。
新大統領の登場に経済問題は任されましたが、就任演説で「妙案はない困難に耐えて立ち向かおう」とオバマ大統領は述べました。この日、異例とも言えますがNY市場は332ドル安と大きく下げて7956ドルになりました。市場関係者はその後の金融対策に期待しますが、現在までの所、大統領の経済対策への市場の信認は薄いようです。
その様子は銀行株に表れています。
「今日の市況」では再三、投資銀行の株価(GSやMS)は確りしているが、商業銀行の株価(JPMなど)が弱いと述べています。株価動向から見ると、問題の焦点は金融デリバティブから実体景気の悪化を懸念しているようです。金融不況だけなら在庫調整だけで、短期間に実体景気は立ち上がると…、一過性の問題だと判断していたのですが、どうもオバマ大統領は清貧思想がお好きなようで、金融機関の経営者批判を繰り返しているようです。理屈は正しいのですが、この姿勢を貫けば多くの罪のない人が、混乱のとばっちりを食うことを理解していないように感じます。非常に株価は微妙な段階になってきましたね。今の米国は日本が失われた時代に突入した狭間に居るような環境なのでしょう。「株価や土地の価格は実体経済に関係ない」と言った元日銀総裁の三重野さんになるのかどうか…。
世界には、うなるほどの待機マネーがあります。
このボックス相場での考え方は二通りです。
今日の市況でも解説しましたが、ここから下げが加速し再び整理を余儀なくされるか? それともダメ押しの形で絶好の買い場になるか? 全ては米国の金融政策に影響されます。実はこのボックスチャートは多くの銘柄に共通しています。通常は株価の位置が問題になります。高い株価位置なら、明らかに二段下げと決定付けられるのですが、株価の位置が安い場合は、多くの場合、ダメ押しの買い場になるのです。ここ1ヶ月が世界経済にとって非常に重要な場面になります。
日本は歴史的なチャンスを迎えています。
長年の清貧思想を耐えてきたおかげで、政府紙幣でも何でも出せる環境なのです。ここで投資を加速し、アジアの情報インフラの覇権を握れば世界に飛躍できるのです。中国が現在、その道を歩んでいます。