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相場底入れは本物か?(2009年03月28日)

果たして相場底入れは本物か?
市場の話題はここに集約されるようです。その意味で少し長い期間で相場を考えて見ました。そのチャートが此方です。1989年に過剰流動性相場が崩壊しました。過剰流動性とは多くのマネーにより相場が支えられる現象です。実体経済の裏付けのない現象は時間の問題でいつかは壊れます。一時的な落ち込みは外部からの資金調達によって支えられます。しかしそのような仮需のお金は自己資金ではありませんから返さなくてはなりません。だから長く続かないのです。丁度、業績の裏付けのない株価は下がる原理と同じです。夢で買うのは良いのですが、その夢が実現しなければ株価が下がる原理と同じです。ベンチャーリンクがいい例なのでしょう。1998年後半から始まったITバブルはインターネットと言う情報分野に革新的な変革をもたらしました。夢が終わり光通信やソフトバンクは大きく株価が下がりましたね。その後、利益が確実に伸びたヤフーは再び高値を更新しますが多くの企業は挫折しました。

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2003年からの相場を、私は再生相場と捉えていましたが、しかしグローバルの視点が足りませんでした。確かに国内では郵政民営化を代表とされる構造改革ムードが盛り上がりましたが、これも夢に終ったようです。現状は揺り戻しが起こり既得権を守る政策に振れています。今から思えば1933年制定されたグラススティーガル法(銀行業務と証券業務を分離する)が、1999年のグラ. ム・リーチ・ブライリー法により実質的に解除され、投資銀行業務が栄えた恩恵を受け始めたと言う認識の方が正しいのではないかと思っています。実質的に世界中に信用供与の枠がCDSなどの発展により大幅に増えるのです。その為に日本でもリーマンなどが、これまでは絶対にファイナンスが付かない事業にもお金が流し、日本経済を活性化させたのです。しかし既得権力者は自分達の「失政のみそぎ」は終ったと思い、再び跋扈する動きの発端がライブドア事件なのでしょう。こうして揺り戻しが始まります。この日本の構造問題の流れは変りませんが、グラ. ム・リーチ・ブライリー法により過剰投資の弊害は終わりを迎えようとしています。世界中の中央銀行と政府が空前の規模で金融・財政政策を実行していますから、ここで相場は立ち上がるのでしょう。ゴールドマンサックスの株価の動きは11月の末が底値になり、その後、上昇しています。この点、私は11月25日にシティーバンクへの2度目の公的資金投入と政府保証により、底入れ宣言をしたのは間違いではなかったと今でも思っています。

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何故、その後、全体市況は下げたのか?
まだ事実は分かりません。米国の政権交代が影響したのは事実なのでしょう。幾つかの仮説は考えられます。通常ならあのまま(1月の相場の上昇を維持して)株価は上がる筈だったのです。私はオバマ政権の清貧思想を疑いました。彼の保護主義を市場は懸念しているのかもしれません。あまり話題になってないようですが、市場原理主義者から言わせればGMを救済するのは間違いですね。究極の保護主義です。仮にこの相場が立ち上がらず再び下落するようなら、後世の歴史検証の中でGM救済は糾弾されるでしょう。ドイツやフランスの自動車、台湾の半導体メーカーなど…多くの保護主義的な動きがあります。金融システムを守る為に銀行への援助は必要ですが、他の産業は市場原理に委ねるべきとの考え方が、市場主義者の見方でしょう。しかしこの考えが正しいとは限りません。全ては結果論ですから…。

何故、相場は底打ちしたと考えるのか?
早い話が過剰に推し進めた整理がついたからです。日本でも不良債権処理の時に、異常な価格で不良債権処理を実行しました。そのために銀行は巨大な赤字を計上しました。同じことが世界の銀行で…、最たる部門の投資銀行部門で起こりました。その経過を示すのがオリックスの株価です。この株は日本の投資銀行だと思って過言ではないと思います。見事に世界で起こっている現象が鏡映しになっています。2006年には既に逃げに入っているのです。早いところでは2005年から撤退を始めました。利益を求めたマネーは不動産が駄目だと分かると、資源の投機に傾斜します。その現象が原油価格の上昇と言う結果に現れました。38150円まで買われたオリックスは、叩きに叩かれます。私は1万円を割れた辺りから注目し始めました。最初の打診の入れたのが12月の始めです。1月にも追撃買いを入れましたが…、しかしあえなく撤退を強いられました。

2月の24日に出来高が大きく膨らみ底入れを確信しました。『今日の市況』に掲載しています。株価は1854円です。しかし買えませんでした。そのオリックスは最近ようやく短期指標の13週線を株価が上回りました。これで長いトンネルから抜け出せたのでしょう。いくらなんでも常識が…。最近、私は純資産価値に再び注目しています。日本を代表とする会社が黒字なのに、何故、一株辺りの純資産を下回るのでしょう。この現象が不思議ですね。

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何もオリックスの株価だけをみて、相場の反転を確信しているわけじゃないですよ。
なんと言っても大きいのはFRBの不退転の決意を感じているからです。世界経済の要は米国金融です。その米国の中央銀行が、資産を1兆ドル単位で増やしているのです。平時の資産規模が1兆ドルなのに、それを2兆ドルに増やしているのに、さらに先日、1兆ドル増やすと宣言しました。米国経済が3倍に追加されたと考えていい現象ですね。大勢観が大きく変化した以上、だんだん強気派は時間の経過と共に増えるでしょう。しかし昔から言います。『強き相場は懐疑の中で生まれ、悲観の中で育つ』と…常に疑念に包まれながら相場は育っていくのでしょう。