アジア戦略(2009年04月25日)
先日、麻生総理が掲げた「未来開拓戦略」のその後の詳細は明らかではありませんが、日本が高成長できる道は一つだけだろうと思います。中国と協力してアジア経済圏の実現に向けた具体的な作業に入ることです。ブロック化との批判を受けるかもしれませんから、アジアに限らなくても良いのですが、アジアは人口が概算35億人と多く、限りない成長が見込める素地があります。
しかし海に囲まれた日本人には、もともとグローバル感覚がありません。日本の経営者で世界を意識しているのは、限られたグローバル企業だけでしょう。自動車や車ですね。しかし業績の好調な企業を見ると分かりますが(例えばダイキン)、日本から脱出して世界を目指す企業が高株価を実現しています。代表的な企業はトヨタやソニーを多くの人が思い浮かべますが、車両メーカーも成長を実現しています。更に早くから「中国を制する企業が世界を制す」と述べたソフトバンクの孫氏の発想は素晴らしいと思いますが、残念ながら現実は今のところ一流の夢かな?
このような発想を持った経営者は成長を遂げています。意外と思われる企業を、この不況期にビスタニュースでは採り上げました。「ピジョン」ですね。どう考えても少子化の国の企業で、業績がジリ貧になるはずです。ところがピジョンは早くから、アメリカ、中国に進出し国内の減少分を補っています。一方、万年、低迷を余儀なくされている代表的な事例が百貨店業界です。統合をしながら凌いでいますが成長戦略を描けずにいます。スーパーも同じですね。
しかし希望の兆しが市場では見えています。重厚長大の「鉄は国家なり」と述べた新日鐵がミタルの買収危機にあい株式の持ち合いを実行しましたが、そのおかげでグローバル化に目覚めました。代表的な事例がブラジルのウジミナスへの出資比率を26%に上げています。まだ本格的とはいえませんがタイやベトナムなどの新興国へも進出の布石を打っています。新日鐵に限らず住金も最近インドへの進出を発表しました。あの日立が経営の失敗を問い、庄山、古川両氏を退任させけじめをつけ、インフラ整備に注力すると言います。もともと日本の社会インフラ整備の実力は世界で一番でしょう。アジアの新興国は社会基盤が未整備で、この分野は高成長分野です。近年、商社は電力などのインフラ整備を世界的に実行しています。あとは政策です。日本が限りない成長を加速できるチャンスです。
残念ながらバブルの清算に手間取り周回遅れの日本のようですが、世界に先駆け金融拡大の失敗を克服した最先端国との見方も出来ます。今こそ日本は真のグローバル化に目覚め行動を起こす時期でしょう。昨日も少し述べましたが、グローバル化に対応できる邦銀は三菱UFJだけです。(アメリカ16行、中国13行)三井住友はアメリカの支店は4行で中国へは僅か1ケタ台、みずほは、コーポレート銀行を抱え、三菱に追随していますが中国の10店舗のうち半分が事務所扱いですからね。アジアの首都をはじめ日本企業や現地企業を応援して収益化を目指す戦略が必要でしょう。