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金融相場(2009年05月09日)
何故、金融機関が景気回復期に株式市場で買われるのか? 今日はこのテーマで原稿を書きます。
景気循環と相場の相関図は、昔から決まっています。
景気循環とは景気が良いか、悪いか? と言う波ですね。一般的な感覚では景気が良くなると人々の行動が活発化になり投資や消費などが進みます。そうすると、巡りめぐって可処分所得が増え成長への好循環が期待できるわけです。米国はここ30年ほど非常に上手く経済運営をしています。だから一人あたりのGDPが伸びているのですね。ところが日本は政策が間違っていた為に、GDPの伸びが見られませんでした。だから株価は1989年以降一貫して、株価は下がり続けたのです。最近では得意部門の製造業でも世界競争に敗れています。先日の決算を見れば分かりますが韓国のサムソンや台湾のTSMCなどはこの1―3月期に辛うじて黒字計上しましたが、日本のエルピーダや東芝は大きな赤字になっています。
昔「鉄は国家なり」と言う言葉がありました。半導体は「産業界の米」とも言われましたが、ここでも競争に敗退しています。得意と思われていると薄型テレビでも、最近は世界競争のなかでは存在感が問われています。今のところ、車は辛うじて首位を保っていますがトヨタの赤字決算に見られるように、これからはどうなのでしょう。経営者は今期も赤字見通しと、平気な顔で環境に甘んじています。その点、同じ不況下でありながら業種は違いますが、日本電産の永守氏は立派ですね。
話は逸れましたが、内閣府が発表している景気ウオッチャー調査(街角景気)や、日銀の短観などはその動きを示しています。例えば、この動きを業況判断指数としてグラフ化されています。このグラフの動きを相場は推測しているのですね。景気がどんどん悪化すれば株価はどんどん下がりますし、景気が回復すれば株価は上がります。基本的に上場企業の利益が増えれば、従業員の給料は上がり可処分所得が増えるのです。ところが先ほど述べましたように、残念ながら近年の日本人の生産性は低いのです。故に競争に敗れるのですね。法人税が高いとか…先日のグッドウィルのように契約社員のあり方を問う動きがあると、社会的な維持管理コストが上がります。安全を過度に求めれば生産性は落ちると考えて良いですね。早い話が日本のスーパーと海外のスーパーを比べてみて、トレーやラップのコストが日本では余分に掛かります。その分、製品のコストアップに繋がります。
社会問題になった赤福の製造年月日問題などは、過剰な要求ではないかな?と考えるわけです。しかし汚染米を食品に添加するのは、安全性でも譲れない部分ですが…。難しい判断が問われる綱引きですね。更に最近感じるのは日本人の資質の問題です。昔は我慢したものですが、少子化時代で甘やかされた世代が、社会の生産性を落としている可能性があります。兎も角、景気の回復はGDPの向上が問題とされるのです。GDPとは付加価値の大きさです。日本人が原材料に対しどれだけの付加価値を付けたか? キャンバスと絵の具が10億円の絵に化ける。ゴルフの石川遼君などは、GDPに対しかなり貢献しているでしょう。まぁ、一般的な教科書での解説は小麦粉からパンを作り、付加価値が生まれますね。要するに値段が上がった分を経済学的に計算するのです。近年の日本はGDPが伸びてないのです。
先ほどの景気循環の話に戻りますが…
全ての経済活動の源は金融です。世の中、行動をするにしてもお金が掛かりますから、お金が必要な人の所に充分に回るような環境を作れば良いのです。そうすれば消費が伸びるのです。ところがお金を稼ぎ出す能力のない人までお金を与えると不良債権になり生産性が落ちます。サブプライムローンとはそう言うことなのです。返済できないことを承知でお金を貸したのですね。それを可能にしたのがCDSなどの金融デリバティブ商品です。しかしCDSを否定しては駄目ですね。非常に優れたアイディアですね。リスク回避できる商品です。だから人類の活動を高めますね。
資本主義経済は効率的な活動の限界に挑む競争だと思って良いでしょう。リスクを分散して活動を活発化させる。この考え方がROEです。ROEを高める為に、安全性を求めキャッシュを積んでも駄目なのです。借り入れを起こして、付加価値の高い生産性を維持しないと高いROEは得られません。日本の製造業の売上高営業利益率は低いですね。5%も行けば素晴らしい企業のように感じますが、世界の一流は30%台ですね。トヨタなど3流の時代なのです。ヤフーの方が素晴らしい生産性を持っているのですね。日本人の認識はピントが外れているから世界競争に敗れるのです。
長くなりましたね。分かりやすく解説をすれば長くなるし…読むほうも大変でしょうから続きは明日のコラムに譲りましょう。明日は景気循環の景気回復期に、何故、金融株が上がるのか? その辺を解説したくて、原稿を書き始めたのですが、本論に入る前に分かりきったことですが、皆さんの知識のおさらいをしました。