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雇用統計(2009年08月08日)
かたるの失敗以来、最近は統計資料を注意するようになっています。
何故なら、大勢の流れには逆らえないからです。どんなに良い銘柄を見つけても全体が下がれば個別株は影響を受けます。市場全体の動きが良くて…個別企業の業績の良い「旬の銘柄」は株価が上昇します。日本の場合は政策ミスの為に、無駄なお金が使われ資金効率がとても悪くなっています。一つは時代変化に社会体制が変化してないわけです。
分かりやすい例を言えば、所得倍増論からの悪夢から脱出できなのですね。日本は第一次産業から二次、三次と発展してきました。農業からの転換の為に公共事業投資を増やし農家が建設業を兼業するようになります。北海道などはその依存度が高く、社会資本整備がされた後も、雇用を守る観点から無駄な財政出動が継続的にされてきました。田中角栄が金権政治の原点を代表するように、政治家と公共事業投資が結び付き、汚職と談合による生活からなかなか脱出できなかったのです。この分岐点が1985年頃なのでしょうね。
円高を修正するプラザ合意は、ある意味で日本の分岐点だったのですが、官僚にも政治家にも軌道修正する意欲がなかったようです。その為にバブル経済に突入し、長い償い生活を余儀なくされているわけです。アメリカのGDPはその間に一人あたり4万ドル台へ上昇しましたが、日本は過去の清算に戸惑い、失政の為に未だに苦しんでいます。今度の選挙も配分の話しが主流ですね。自民党が10年で100万円の所得増を打ち出したのは、アメリカ並みの水準へと言うことなのですね。
国は借金漬けで、財政出動の余地がありませんが、知恵次第でいろんな政策が発動できます。産業構造の展開が必要なのですね。不況の割りに、未だに建設業は淘汰されていません。上場大手の建設企業は統合されませんね。しかし日本を見てください。田んぼの周りの農道まで舗装道路です。金融淘汰が進み大手銀行も証券も統合されました。最近、キリンとサントリーの統合が話題になっていますが、世界競争の観点から考えるとそれでも小さいですね。武田製薬も第一三共も、近年、やっとグローバル展開をし始めたばかりです。
資生堂は中国では一流ブランドと一般的に言われていますが、決算数字を見れば苦戦していますね。セグメントを見るとアジア・オセアニア地区は前四半期が221億円で今四半期は191億円ですね。何故、伸びないのでしょうか? 自動車はすごい伸びなのに…。経営者がなかなかグローバル展開を加速させていません。国内の産業構造の変化が必要だし一部上場企業の経営者は、国内より海外に目を向けなくてはなりません。日本株が低調な理由は産業構造の転換を拒み、海外に目を向けないからです。
戦後未曾有の金融危機、大恐慌と比較される今回の危機ですが、米国は今も所、順調な回復過程を歩んでいます。雇用統計が昨日は発表され改善傾向が示され、株価も高くなっています。日本人だけですね。出口論をワイワイ言うのは…。大切なことは、金融危機は数年で傷が癒えないことです。日本は失敗していますね。表面上は利益が生まれても内部の蓄積を全て吐き出したのです。分かりますかね? 10年の蓄積はたった一度の失敗で大損になる事を、今回のかたるの失敗で学びました。急いで出口論を問えば、蓄積された利益を放出したばかりの金融界に負担をかける事になります。ここが非常に重要な所です。インフレは金融機関を強くしますが、デフレ政策は金融機関を弱くしています。ボディーブローのように効いてくる目に見えない弱体化政策を日本が続ける限り、PBR1倍割れ企業が放置される事になります。
上場企業の60%もPBR1倍割れがある事態が異常なのですね。勝ち組は4割の政策だということですね。上場企業ですよ。多くの人は非上場企業に働いているのです。かたる君は失敗を踏まえ、大企業ばかりに取り組んでいますが、基本は同じことですね。株で儲けるには損をしないこと。大企業は普通の経済状態なら勝ち組です。だから下がったら買えば良いのです。さて二段上げに入ったアメリカ株、乖離率が膨らみ始めています。2ドル台でウロウロしていた負け組みのシティバンクも、昨晩は一時的に4ドル台に突入しました。米国経済は着実に輪を広げている感じです。さて世界の落ちこぼれの日本も追随できるでしょうか?