未来かたるが開催!みんなによく分かる

株式教室

« 時間軸を変える | 最新の記事 | 産業構造の転換 »

日本の現状(2009年10月24日)

日本経済が混迷しているのは規制の問題です。
経済活動の原理を理解してない政策指導者に問題があります。2002年から2003年は厳格な不良債権処理を巡り銀行界と小泉改革は対立しました。その結果、強引に市場原理機能を働かしたのが竹中手法です。産業再生機構はその象徴的な組織でした。厳格なマニュアルを用いた為に金融庁の組織が硬直化し、UFJ銀行が三菱銀行に併合された為に金融庁には逆らえない空気が生まれます。その為にガチガチのコンプライアンスが誕生しました。法令遵守は正しいのですが、その法律は人間が豊かになるための道具のはずです。ところが竹中手法の為に、そこにおける裁量の余地が排除され厳格化されたのです。その結果が下の銀行貸し出しのグラフですね。(出所はhttp://www.stat-search.boj.or.jp/index.html)

r20091024a.gif
r20091024b.gif

日本にはそもそも不良債権など存在しないと言ってもいいような内容です。金融機能が萎縮している姿が分かると思います。そもそも3ヶ月だったか…忘れましたが、厳格なマニュアルが存在し、それに沿って処理されます。金融機関は貸し倒れ損失を、相手先の企業が存続していても積まなくてはなりません。だからJALも日本政策銀行の融資が増え、民間の大手銀行の貸し出しは減っていたのです。しかもJALは要注意先でいくらかの損失を見込み既に引き当て金を積んでいます。みずほ銀行などCDSを自己勘定で買い倒産したほうが利益になる構図になっているのでしょう。(推測)

金融機関だけでなく公認会計士の厳格なマニュアル姿勢が新興企業に打撃を与えました。例えば50億円で買った企業でも赤字が出ていると言うだけで、その50億円の価値の減損会計を迫ります。USENやインデックスなどはその為に多額の処理損を計上しました。資産デフレも加速し不動産会社も同じ条件にあります。強引は債権放棄を迫る官の介入は貸し渋りを生みます。確実に利益が見込める融資しか実行しなくなります。日本にそのようなプロジェクトはかなり少ないですから、都市銀行の融資は低迷したままです。しかし2003年からの世界好景気の為に日本も引き上げられ、若干、日本の景況感が改善しました。その為に地方の金融機関は貸し出し姿勢を緩めました。しかし直ぐに金融危機が発生した為に再び貸し倒れ損失が発生している現実があります。だから地方銀行は公的資金申請や増資をしています。

しかし都市銀行はセーフティーネット(政府保証)の付いた融資には熱心ですが、それ以外は冷淡な対応です。住宅ローンでさえ年収基準が厳格化され年収の5倍が目処になっているようです。その様子を日銀の貸し出しグラフを見れば分かりますね。銀行には様々な規制処置がされていますが、その規制がなくなれば高収益企業に変身できる夢があります。
一例を挙げれば店舗の効率化運営ですね。都市銀行の店舗は駅前などの一等地にありますが充分に利用されていません。しかし現状は規制でガチガチに縛られて自由な行動ができない状態です。何故、銀行株は上がらないのか? 原因は資産デフレ政策が基本でしょう。あとは株式持合い解消かな?株式市場で問われている増資懸念など些細な問題です。亀井発言もJAL問題も何れも僅かな影響です。

実は米国を始め世界もそうなのですが、金融規制問題が金融機能を危険に陥れている現実が垣間見られます。自己資本の増強も報酬問題も自由な金融機能を歪める可能性があります。特に重大な懸念はリスクウエートの問題です。(重要な事なのでビスタのレポートで解説します。)この時期に過度の規制を実施すれば、景気は深刻な事態になります。金融改革で先行しているイギリスの株価などに注意を払う必要があります。日本のマスコミは日経新聞のように悲観色ばかり強くて…実体を歪めていますね。正しいデータを素に分析する能力が記者にないのでしょう。長引く清貧思想が人員構成を歪めたのでしょうね。嘗ての日本は興銀の行員のように二分されていました。平時の人事と乱世の人事がメリハリをつけて演じられていました。しかし現実の日本はマニュアル人事を実行し、この体制に異常に感じない連中が主導権を握っています。

民主党政権は強引な手法を用いて改革に乗り出しています。今までの状態になれた日本人には受け入れられない思いを抱く人も多いでしょうが、JAL問題は日本全体の象徴でもあります。企業年金制度問題はJALだけではありませんね。物理的に不可能な要求は通りません。自分で考えれば分かりますね。25万円の若者の所得で20万円の年金をもらうのですね。少なくとも4人に一人です。現状は3人に一人ですね。まもなく2人に一人の時代です。と言うことは20万円でも無理で、10万円になると言うことですね。GDPが低迷しプラス成長にならないからこうなるのです。子育て支援、移民問題を真剣に考えねばなりません。同時に国境と言う壁を取り払う努力が必要ですね。

このようなレポートだと悲観されるかもしれませんが…転換点が近い可能性もあります。
ひょっとすれば、JAL問題の解決が日本株で直りの切っ掛けになるかもしれません。何故なら、小泉改革で揺れた復活のパターンであった2003年のりそなへの公的資金投入と似ているのですね。あの時は不良債権問題ですが今回は年金問題です。民主党政策の信認が市場から得られるかどうか…瀬戸際なのです。