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株式教室

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大納会を終えて…(2009年12月31日)

株式市場が何故、異常な安値水準で推移するのか?
不思議な感じがします。まぁ、予てから述べているブルドックソースのような既得権力者の恣意的な閉鎖性があるのは勿論ですが、それ以上に日銀の過剰な反省があるのではないかと思います。わが国は日銀の金融政策の失敗によりバブルが発生し、その処理の為に多くの命が奪われました。中には自殺した人も大勢いると思います。銀行淘汰は経済の衰退を示しますが、リーマンの金融危機の影響もあり、誰も金融機能の重要性を認知していません。日銀当局が自らの役割を理解していないのではないかとも考えます。

かたるは新興株投資の失敗で大きな痛手を受けました。何故か?
随分、考えましたが結論は日銀が正常化を急ぐあまり、急激な資金回収に走ったので、株式市場にも資金が回らずに、新興株が急落したのでは…と考えています。勿論、ライブドア・ショックからの他の影響もありますが…。そのような考えに至ったのは、マネタリーベースの平均残高が2006年3月から急激に縮小しているのが統計数字から確認できますね。お金が市場から引き上げれば、物である株価も下がりデフレになります。前年度比でみて、これほど急激に資金を回収しているのです。ただ日銀の失敗はある意味で理解できます。それは平残水準でみると、残高が急激に増え乖離しているので、バブルの再来を恐れたのでしょう。だから資金回収に走ったのでしょう。しかし、いかにも日銀らしい自分勝手な論理ですね。市場との対話が必要なのに…市場が反応してから政策を変更すべきでしょう。

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この頃の経済成長はそれほど高くないはずです。ジャブジャブの資金供給がようやく銀行貸し出しに繋がった瞬間に、資金の吸収が起こっていますね。信金の含めた銀行界全体の貸し出しは2005年6月から増え始め、民需に繋がります。その後、2006年の3月にはマイナスにするのですから、僅かに8ヶ月間しかユトリを与えていませんね。1989年から2005年まで引き締め政策を継続し、ようやくバブルの整理が終ったのに…15年間も苦労したのに、飴玉は僅かに8ヶ月です。これでは利益の蓄積が出来ませんね。

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都市銀行もその時期(204兆3556億円)に一旦は底入れし上昇しますが、再び2007年11月(203兆7200億円)正確には2005年水準を下回るのですが、一応の二番底を入れます。ですがその後は横這いですね。都市銀行の貸し出し総額の140兆円の減少分が日本の需要不足に繋がりデフレを誘発しているのでしょう。

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2008年9月になって、ようやく継続的なプラス方向に日銀はマネタリーベースを持って行くのですが…、このような異常行動を日銀が取るから、経済は混乱するのでしょう。更に過剰な金融庁マニュアル規制などの様々な要因が貸し出しと株価を押さえているのでしょう。過剰債務問題を正常化に戻す為に小泉・竹中政策は、非常に強引な手法で金融界に恐怖心を植えつけました。UFJの岡崎副頭取と早川常務などの刑事告発などをみると今の金融庁マニュアルが正しいのかどうか…。正論を追求しても経済が疲弊しては意味がないですね。事の良し悪しより今の日本の現状を考えれば、明らかに政策が間違っているのでしょう。

マネタリーベースの供給は民間の需要に結び付いて…なんぼですね。つまり銀行貸し出しが継続的な伸びに繋がれば、資金回収の段階に向ってもいいのでしょうが、ようやく伸び始めた時に日銀は資金回収に走るのですから…。都市銀行は新BIS規制の影響もあるのかどうか分かりませんが、貸し出しは伸びてないのですね。…と言うことは、2006年の金融政策はやはり間違っていたのでしょう。このような数字の裏付けを読まないで、株が上がり続けると幻想を抱いたのが「かたるの失敗」に繋がったのでしょう。

更に貿易収支を見ると、2006年から2007年にかけての相場に乗れなかったのは、その後の読みが間違っていることが分かります。新興株に拘るあまり、外需である所謂、BRICs銘柄にも乗れませんでした。いまの経済状況と同じですね。株は正直ですね。貿易収支残高を見ると狙う銘柄も分かってきます。

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かたるは今でも銀行株支持派です。景気回復は金融拡大があって株が本格的に上がるからです。しかし民主党が正しい政策運営をしなければ、また駄目になります。つまり日銀がマネーを供給しなければ、内需振興に繋がらないし銀行株も上がりません。だから外需主導の銘柄が、昨年の金融危機以降、中心に上がったのでしょう。ここに来て日銀は当座預金残高を増やし始めています。この動向を見てから銀行株投資でも遅くないのでしょう。マネタリーベースとはハイパワードマネーとも呼ばれ「日本銀行券発行高」「通貨流通高」「日銀当座預金」の合計額です。

普段は少ないスペースで時間もないのでエキスしか書けませんが、このような解説を加えると、大納会の「今日の市況」解説で書いた当座残高の意味を、より一層、理解できるかと思います。個別企業の経営状態が瀬戸際にある時に、金融政策が拡大方向に向かっているか? 引き締め方向に向かっているかの?の意味は非常に大きいですね。自分が独立して事業を始める時も、このような経済環境を考えてから始めるかどうかを決めたほうが良いですね。この辺は運命の分かれ目になります。日銀のホームページには、様々な統計数字が掲げられていますから、自分なりにその意味を考えることは重要なのでしょう。

この年末年始の休みにビスタニュースで、あるお約束ありますから、その研究をします。IRNETは4日から、ビスタは正月の原稿からスタートします。皆さん良いお年を…。