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何故、外人は日本株を買うのか?(2010年01月16日)

私は「かたるの失敗」を経て、中央銀行の金融政策が、相場に与える影響が大きいことを実感し始めています。世界には無限のお金があります。お金は最も有利な所に流れるのです。水は高いところから低い所に流れますが、お金は金利の低い所から高い所に流れます。景気が良いとか…悪いとか…の印象は、個人の余剰資金(可処分所得)が増えるかどうかです。今回の金融危機は有効的に資金を拡大させる為の金融デリバティブ革命の挫折です。CDSは非常に優れた手段だと思いますが、市場が未熟な為に拡大スピードに追いつけなかった弊害と、金融界自らがこの成功に酔った印象を持っています。オプションなど様々な金融デリバティブ商品の開発が、ごく限られた人達だけの手段で、一般化しなかったから拡大に市場が追いつけなかった。その崩壊ですね。AIGをみているとそのようにも感じます。

しかし日本は古い殻をなかなか破れませんね。民主党はある意味で突破口になりつつあります。しかし時代認識の低い経営者も多く、困ったことです。真の意味の競争社会でないために実力のある人が、責任ある地位につけないのでしょう。でも変化はしています。経済を活性化させることは簡単なことです。90年代に自民党は古典的な財政出動で景気を立て直そうとしますが、借金を残しただけで効果はなかったですね。日銀が失敗しているからです。昨年末に『FRBと金の賭け=ミルトン・エズラッティ氏』のレポートを読んでFRBの行動を見ていると、なるほど…経済とはこういうものなのか。と感心させられます。

しかし、これだけ必死になって金融政策を打っても直ぐに回復するわけではありません。その理由は米国の商業銀行の株価を見ると分かります。リーマンショックを克服したのはIPモルガンだけです。他の金融機関は依然、回復途上ですが入院中のイメージですね。克服したJPモルガンもやっとの印象ですね。昨晩の米国金融は下がったようですが、FRBが確りしているから心配ないですね。日銀とは違います。その日銀の迷走振りは過去のデータから分かります。

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私は日銀の金融政策が、銀行貸し出しに現れると思っています。つまり景気が良くなれば貸し出しは増えるし、この貸し出し残の推移に気を配るのが日銀の大切な役割だと考えています。勿論、資産価格の推移と物価の安定は当たり前ですが、持続的な経済成長を創る役割も担っているのです。今は需要不足から来るデフレで日銀には責任はないとの態度で、景気悪化でデフレ状態だから、仕方なく金融緩和をしていると日銀は思っているのでしょうが、諸外国の中央銀行の活躍と比べると日銀は無能集団ですね。その理由は下のデータです。基本的に継続的にベースマネーを増やし続ければ成長を維持できるのです。市場経済にとって成長とは、人間にとって成長とは、適度のインフレ状態を示すのですね。だから常にベースマネーは前年度比でプラス状態が望ましいのです。

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グラフを見ると分かりますが、1986年の11月から日銀は10%を越えるベースマネーを供給し続けます。その供給をやめるのは1990年の3月からです。株も土地も上がり続け資産バブルを創ったのは日銀なのです。この当時の古い資料が手許にないので分かりませんが、おそらく銀行貸し出し残高は異常に増えていたのでしょう。その動きに呼応して8月頃から銀行の貸し出しの伸びは鈍ります。慌てた日銀は1991年11月からベースマネーをマイナスにもって行き、この状態が1年間続きます。1986年11月から90年の4月までの長い金融緩和姿勢で、異常なバブルを作ったのは日銀だったのです。

その後、マイナスまで落としたショック療法は異常ともいえます。…が、ここで政府は住専の処理を誤り連鎖破綻の火種を作りました。過剰貸し出しの処理が終焉を迎えるのが、やり過ぎた小泉・竹中改革でしょう。この過剰な強権体制の金融庁政策は未だに残っています。金融界は過剰な清貧思想に包まれているから、なかなか景気が立ち直らないのです。この間に金融商品法かな? 個人情報保護法案など過剰な反応が次々に立案されます。サラ金法などもその一環でしょう。しかし日銀のなりふり構わない対応により、ようやく金融機関に元気が出てきたのが2005年10月です。しかし日銀はバブルの反省があるのでしょうね。恐くなって過剰に引き締め政策を実施したのが2006年のマイナス水準のベースマネーの動きです。

あれほどすごいバブル形成を演じたときでさえ、僅か1年のマイナスで、しかもこれほど減らしませんでした。2006年3月からベースマネーはマイナスの世界です。2007年7月に一旦プラス水準に戻しますが、再びマイナス水準も散見され2008年8月までマイナス水準が見られます。世界が未曾有の金融危機なのに日銀は、僅かな対応で、しかも最高でも8.2%しかベースマネーを増やしていませんね。日銀にも言い分は色々あるでしょう。しかし貸し出しが伸びてからはじめて、その段階で市場は日銀の政策を認知するわけです。継続的な貸し出しの伸びを、政策目標にすべきでしょう。市場経済下では、日銀が緩和姿勢を取れば、外人投資家は株を買うし土地も買います。彼らは儲かるから参入しますが、日銀が清貧思想に拘れば、外人投資家も参入はしませんね。残念ながら日本人は自ら行動はしません。みんな家畜だからです。僕らは考える人間になりたい!

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