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株価の背景(2010年03月20日)

株が上がるにはその背景があります。
理由がなく誰かが買うから上がるという需給関係だけの相場は長続きしません。何故なら、市場関係者が納得する業績が背景にない株価は必ず下がります。過去、誠備事件が日本にありました。加藤あきらと言う歩合セールスが野村證券の組織営業に挑み、市場の人気をさらいました。宮地鉄工と言う上場株式のオーナーとなり誠備銘柄が乱舞した時期がありました。しかし需給関係だけの相場でしたから株価に見合う背景がなく、最後は市場から否定されました。まぁ、この背景にはルールを途中から変える強引な日本的な村社会の恥部があるわけです。(フジテレビ買収問題などと同じ背景)最後は誠備潰しの為に、証券界は関連銘柄を担保に取らないなど…強引なやり方を使い、加藤さんをつぶしたのですが…。しかし彼らの資金が切れると他の参加者はその関連銘柄の株価を評価しなかったから仕方ないのです。

結局、株価は高値でも、みんなが納得する理由が必要なのです。ドルや円と言うお金もみんなが信じているから通用しているわけです。価値を知らない人にとっては紙でしか過ぎず、燃料としても効率が悪い単なる使いにくい上質の紙です。しかし皆がその単なる紙をお金と認めるから、価値が生まれ商品に交換できます。要するに株式も一緒です。みんなが安いと思えば株は上がるし、高いと思えば下がります。市場人気は一時的なものですが、その市場人気により常に市場評価される世界が株式市場ですね。高いと思えば手持ちにしていない株式を売る事だって出来ます。こうした様々な考えを持つ人の総合評価ですね。株価は常にその価値を評価され続けている産物でしょう。

それでは株式価値を決める最終的な市場の絶対条件は…やはり業績でしょう。
株式投資とは誰よりも先に、未来の業績を読むゲームだと考えて良いのでしょう。豊かになれるとは、どういうことか? やはり経済的な基盤が背景にないと豊かな生活は送れません。別にお金だけの問題ではありません。お金がいくらあっても人も気持ちは買えませんから…大好きな彼女をお金の力でものに出来るわけじゃありません。やはり精神的な魅力がなければ、人を惹きつけられませんから…。さて何故、こんな分かりきった事をテーマに書いたかといえば、あまりに短絡的な考え方の市場参加者が増えているからです。

その行為は適正な株価を形成するから否定するものではありません。しかし本来の株式投資は自分の価値観の反映ですね。この会社の製品は好きだから応援しようとか…。経営者の考え方が好きだから…とか。色々です。しかし株で儲けるとは…未来の業績予測が一番ですね。市場価格と未来業績の差が大きい銘柄が狙い目になり、誰よりも早く評価されていない株価の価値に気付けば株式投資は儲かる事になります。

かたるは2月28日ビスタの原稿を書くためにタマタマ、銘柄検索の作業をしました。
そうしてある銘柄を偶然に発見しました。単に株価が上がったから検索に引っ掛かったのです。何故、この株価がこれほど相場環境の悪い2月の時点で上がったのか?…不思議だったのです。調べたら意外な感情を抱き、新規に買い参加しました。その時点の株価は、なんと直近の安値から既に3倍以上に上がっていましたが安いと感じました。未来の業績はどんなものか? その想像力が実現すれば株価は上がります。

一例を掲げましょう。
先程、本日の日経新聞を読んでいたら、鉄鋼石価格とバラ積み船の傭船料の話しが目に留まりました。一見すると矛盾する記事です。だって鉄鋼石価格は新高値なのに、それを運ぶ船の料金は低いままなのです。更に驚く事に運ぶ量の少ない船の料金が、運ぶ量の多い船の料金を上回っていると言う記事です。調べてみました。かたる君は商船三井にご執心なのです。

パナマックス型の料金価格を示すBPIは4344なのに…ケープ型の料金を示すBCIは3522なのですね。パナマックス型の船とはパナマ運河を通れる小さな7万2千トンぐらいの船のことです。一方、ケープ型とは大型の16万5千トンクラスの料金の話しですね。無論、わが国最大の商船三井が保有している鉄鉱石の運搬船のブラジル丸は32万7千トンもありケープ型に入り、基本的にはかなり幅がありますが…一般的にパナマックスはケープの半分ぐらいと思って間違いないでしょう。何故、傭船料の逆転現象が起こるのでしょう? 港の違いもあるでしょうね。多くの港は水深が浅く大型の船が付けられないことも背景にあるでしょうし、中国の鉄鋼石メーカーは小さなところが多く、大きな船を必要としてないかもしれません。更に鉄鉱石の価格交渉中で鉱山側は価格上昇を狙い、出荷を制限しているのかもしれません。逆に大口需要家の鉄鋼メーカーも同様に鉄鋼石価格の決定まで在庫を消化する作業中かもしれませんね。まぁ、様々な要因が考えられますが、このような不自然な動きが長く続くことは考えられませんね。

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BCIとBPIのどちらの価格が、今後、全体の相場(BDI)に影響を与えるのでしょう? かたるの答えはBPIにBCIは鞘よせすると言うものです。つまりBDIが今後、急騰する可能性があります。リオ・ティントのCEOが中国訪問中で、昨年のスパイ事件問題がどんな形で決着を迎えるのか? この辺りの読みも株価に影響を与えますね。商船三井の株価を読む場合、原油市況、自動車市場、世界景気のコンテナ船市場など総合しないとなりませんが、稼ぎ頭の部門は不定期船のバルチック海運市況に影響を受けますね。

皆さんは簡単に株価が上がるか、下がるか、チャートなどで判断されるでしょうが、業績を読む場合、為替、燃料価格などを考えアナリストは業績を読みます。しかし少なくとも現実の株価を取り巻く環境はプラス要因でしょう。何故、商船三井の株価が12月半ばの450円前後から650円前後まで50%近くも急伸したのでしょう。明らかに何処かのファンドの買いですね。何故、彼らはこの株を買ったのでしょう? このような背景が分かっていれば、株価が急伸したからと言って安易に空売りなど出来ませんね。ツガミと同じ背景があります。ようやく最近、市場で噂されていた2010年問題(過剰船舶問題)が払拭されつつあります。新規造船の受注も見られ始めました。(この言葉である銘柄が思いつく人は、なかなかのレベルです。)

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株が上がるには、それぞれ上がる背景があります。かたる銘柄として現在採り上げているマツダだって…ちゃんとした株価が上がる背景が存在します。今日はタマタマ日経新聞で関連記事を見たので、手許との…何気ない記事から、株屋はここまで連想を膨らまさせると言う考え方をご紹介しました。

結果責任は誰にでも問えます。外れたとか当たったとか…。そんなレベルの話しではないのです。株価が上がる為の条件があります。その条件が満たされれば株価は狙い通り上がります。銀行株がなかなか上がらない背景もあります。逆に政策の変化で、あっという間に上がる事もあります。企業の株価もそうですよ。小さな会社は業績の変化が激変します。売上げが10億円ほど企業は、大企業と契約を結べば、あっという間に売上げが10倍に膨らむこともあります。

ITバブル当時、光通信の売り上げ推移の伸びはすごかったのです。1991年43億の売上げが、1992年―91億、1993年―116億、1994年―122億、1995年―261億、1996年―562億、1997年―1220億、1998年―1596億、1999年―2592億円となり、そうして2000年のITバブルの時は2808億円になります。つまり43億円の会社が50倍に売上げが膨らみ、利益の1億円がピーク時には69億円(1998年)になります。実に69倍になったのです。公募増資を実施したのが1999年9月47206円で125万株を新規発行します。これで発行済み株式数は30986千万株です。590億円の資金を集めました。しかし2000年2月に241千円と言う馬鹿高値を付けます。当時のEPSは334円です。PER721倍の世界です。

PERの概念では株価の説明が付かなくなり、PSRと言う時価総額と売上げを基準にした見慣れない指標が、もて囃されるのです。実に時価総額が7兆4676円までITバブルで膨らみました。つまりPSRで26-28倍です。当時のソフトバンクの売上げは1995年―968億円、1996年―1711億円、1997年―3597億円、1998年―5133億円、1999年5281億円、2000年―4232億円で、利益のピークは1999年3月期375億円で1株利益は365円です。発行済み株式総数は11035千株ですから、198000円を付けた最高値時で時価総額は2兆1849億円ですね。PERでは542倍、PSRで4倍から5倍のレベルです。

それでは当時誕生したばかりのヤフーは、1997年―4億円が1998年―12億円、199年―19億、2000年―56億円、発行株式総数は僅かに2万9232株しかありませんでした。株価のピークは2000年2月で高値は1億6790万円でした。たった1株で1億円を越えていました。時価総額は4兆9080億円でした。ピーク時の1株利益は6万3515円ですからPERで2643倍です。驚異的な数字ですね。PSRでも876倍です。売上げの100倍を越えて株を買っていたのです。876倍だから100倍なんてもんじゃありませんね。熱狂的なITバブルだったのですが…

驚くのはヤフーが、このあとも成長を続け株式分割を加味した株価比較で2000年2月の高値を実質的にまた抜くのですね。だからヤフーに関してはバブルと言う評価は当たりません。現在は3000億円近い売上げを誇る会社に成長しました。売上げ4億円の会社が僅か13年で2759億円の大会社に成長したのです。PERでは評価できなくてPSRと言う新基準が生まれた顛末です。成長株の領域とは…こんな評価なのでしょう。(勘の良い人は何が言いたいか分かりますね。)

今日は異例の長さで退屈したかな?
株価が上がる背景を見極めて欲しいと言う話です。