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金融システムの混乱を考える(2010年05月08日)

物事の捉え方は色々あります、そして考え方もいろいろです。
基本的にどれが正しいか誰も分かりませんが、暗中模索というか試行錯誤しながら、より良い方向に向かうように努力するのが人間なのでしょう。米国の共和党と民主党の違いも知らなかったかたる君は最近、ウォール・ストリート・ジャーナルやフィナンシャル・タイムズに関心を向け、なるべく読むようになりました。

イギリスの選挙が話題になり保守党が193から306に躍進しましたが過半数は取れず、政権を担ったブラウン首相の労働党は345から258になり、キャスティングボートを握る自由民主党は63から57となりました。これで13年間続いた労働党支配が変化するのかどうか? イギリスも産業革命以来低迷しマーガレット・サッチャー首相(保守党)の金融改革で金融立国になり成長してきたけれど今回の金融危機で再び迷走しています。

オバマ大統領の考え方に対峙するティー・パーティーの市場原理優先の考え方(共和党)がある一方で、金融危機の反省を受け弱者救済を掲げる民主党の考え方のオバマ率いるSECが、市場原理派の総帥であるGSをやりこめる構図が昨今の動きです。表面上は順調に回り出した世界経済の動向を受けた、金融規制の第二幕は医療改革を成功させたオバマ政権の主眼でしょう。私にはギリシャ危機などより、此方の主導権争いが市場に表面化しているように思えます。ようするに共和党と民主党の覇権争いですね。金融危機の表面化により、市場原理主義の行き過ぎが問われ、その修正の度合いを模索している過程の現象なのでしょう。

勿論、ユーロ統一通貨の矛盾を露呈したギリシャ危機も表面上は存在しますが、考えてみれば的外れな解説ですね。ギリシャのGDPは実質で1800億ユーロ、名目で2380億ユーロです。GDPは30兆円弱の国ですから財政赤字がGDP比で133%と言っても3165億ユーロですから120円としてもたかが38兆円の話です。むしろ、この問題波及の連鎖を問題にしているのでしょうが、既に各銀行はギリシャ国債などの持ち高を発表しています。それに連鎖の額も金融危機のCDSの発行額が62兆ドルとか言われたレベルと水準が違いますね。既に確かに統一通貨ユーロの矛盾の露呈は表面化していますが…どうもこの問題はダシに過ぎませんね。

それより議会証言に問われる「影の金融システム」のCDS市場の金融規制問題も方が大きな問題ですね。このおかげで本来はリスクの取れない種族の躍進があるのです。BRICsの高成長は、ある意味でこの金融デリバティブ発展のお蔭ですね。今回のNY市場の暴落は発達する金融システムへの警鐘とも捉えることができます。市場にはたくさんのプログラムが存在し勝手に動くのです。予期せぬ動きはプログラムされていませんから混乱が生じます。米国は問題が生じると、必ず原因を探求し対策を講じる国です。このプロセスが公開されているから覇権国家なのですね。ところが中国も含め、日本の仕組みはこのシステムが闇に隠されています。民主党政権の良い所は「仕分け作業」のように公開し始めたところですね。ここが自民党政権と大きな違いです。

私にはそろそろ次の光明が見え始めています。勿論、確証はありませんが、あるアイディアが昨日からの検証の結果、沸いてきましたね。なんどもIRNETの読者には金融規制の話しをしています。根が深いのです。表面上は回復している米国経済ですが、まだ砂上の楼閣に過ぎません。それはFRBの資産構成がまだ修復途上だから…。ギリシャ危機に隠れて存在が希薄ですが、FRBは金融機関の貸し出し態度は改善していないと述べていますし、フレディマックが106億ドルの資本注入を要請しています。オバマ大統領が清貧思想を堅持しすぎると日本の再来になります。ここに今回の問題の背景があります。

でも昨日からの検証の結果、あるアイディアが閃いています。此方はかたると共に歩む読者にレポートを提供する予定です。おそらく今回の混乱は、短期で収拾すると思います。理由は日銀の行動の素早さですね。日経新聞はあまり書いていませんが、変わったものですね。あの保守的だった日銀の対応が…今回の動きは市場関係者にとって安心感を与えています。方法論には違和感を多少抱いていますが、方針が市場化したというか…、バブル崩壊の時に三重野元日銀総裁は、株や土地が下がっても実体経済に影響がないと言っていたのですよ。ようやく20年経って、日銀も反省をしたのでしょう。嬉しいことです。白川さんは頼りなさそうな人ですが、なかなかどうして…本物の日銀マンかな?

でもシステム上、一度ひび割れた市場の修復は、どんなに早くても最低2週間程度必要になります。それは追証の整理などのシステム上の問題です。2006年の崩壊と大きく違う点が幾つか存在します。要約すれば下り坂と上り坂の違いでしょう。

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