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金融規制について(2010年05月15日)

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昨晩のNY市場は多少安くなっています。今回の株価の下げは日本発ではなく外部要因です。基本的に日本の銀行は冒険をしませんから大きな損失は出ない構造です。景気が回復し、何故、銀行株が上がらないのか? 答えは金融規制でしょう。私が何度もIRNETで述べている金融規制の背景は、金融危機は強欲な人達が勝手に起こした失敗で、その責任を善良な人々が被っている…という一般的な感情が規制に結び付いています。しかし仕組みを詳細に見ると一定のルールは必要ですが、金融デリバティブ全般に規制を設けると世界経済を支える金融が萎縮し経済が縮小の道を辿ります。果たして日本の失敗を米国が歩むのかどうか…。一番の懸念は、一時的な理由である銀行への自己資本強化よりその点ですね。CDSなどの仕組みはよく出来ています。本来は決して貸す事ができない人達にお金を貸して挑戦させることが出来た仕組みです。リスクを犯しお金を貸したいけれど自分自身はそんなにリスクを被れないから、保険料を払いリスクを分散する仕組みで冒険者が頑張ったのが、ここ10年程度の世界経済の躍進です。

この恩恵を一番、受けたのが中国ですね。
本来、共産党一党支配の体制はリスクが高くて進出は出来ませんが、リスクを分散する投資家が存在したので投資資金が人口の多い途上国に流れ、その動きを鄧小平などの指導部が機敏に感じ取ったのですね。1992年に南巡講和、その後、経済の躍進期の90年代末期にCDSなどが開発されました。盛んになったのは1999年に米国で商業銀行と投資銀行の垣根を設けた1933年のグラス・スティーガル法が、グラム・リーチ・ブライリー法により撤廃されたからです。そうして2000年代に入り花が開きます。このおかげで世界中の鉱物資源が値上がりしました。ジム・ロジャーズは商品にいち早く注目し大儲けしましたね。

ユーロの混乱も金融規制に繋がります。混乱の切っ掛けは投機によるという市場原理悪者論が今の世界の流れです。この現象は日本が犯した過ちの道を世界は辿っているように見えます。オバマ大統領が中小企業の資金繰りの話題で演説しているように、金融危機が切っ掛けで銀行は貸し出し規制を実施しています。日本と同じですね。危ない相手にお金を貸さない。金融規制を強化すれば、忽ち経済は泥沼の2番底に陥ります。米国経済は危ない綱渡りを演じています。オバマさんは僕のような市場原理派ではありません。だから市場が脅しを仕掛けたのが、今回の金融ショックの真相ではないかと窺っています。ギリシャ問題はどちらでも使えます。

楽観的に考えれば、問題にならない規模の国の些細な現象ですが、深刻に考えればユーロの崩壊になりますね。何故なら、国の政策とユーロの通貨の価値観は別の次元のレベルです。だからユーロ圏は予算(財政政策)の事前承認に傾きましたね。国家の権限が縮小しユーロ圏の政策が優先されます。地方の財政と国家の財政の比較を考えると分かりやすいですね。北海道は貧しいが名古屋は良いとか…こんな話です。地方予算に国が口を挟んでいるわけです。いずれユーロは一つの国と言う認識になるのでしょう。ドイツ語もフランス語も秋田弁や沖縄の言葉のようなものでしょう。普通の日本人が聴いてもわかりません。

一般的に皆さんが考える金融規制は銀行の自己資本増強です。
日本は総資産経営で効率化と言う概念が希薄ですから日立のような会社が多く存在します。三菱重工などもその筆頭ですね。しかし世界はROEが基準です。だから冒険を犯し東芝の西田さんは構造改革を実践しました。彼は異色なのですよ。イランの女性と結婚しイランの現地採用で社長になった異例の出世なのでしょう。東芝はROE経営を実践するために冒険をしました。経営の失敗が倒産になります。安定ではありません。だから業績は大きく上下します。まぁ、日本的に部分も多く存在しますが…。兎も角、日立もそう変身すると宣言しましたね。でも、どうかな? 野村證券もあとがありません。みんな企業経営者は真剣にならないと…新日鐵の三村さんのような時代錯誤の考え方をする経営者は日本に多く存在します。みずほはその筆頭です。3人も会長職を置く会社で縄張り争いをして…馬鹿な時代認識です。

話が逸れましたが、金融規制の度合いが非常に重要です。2番底はこれから起こる可能性もあります。しかしオバマさんはたぶん一流でしょう。出が悪いから上流階級の市場原理を嫌うのでしょうが、米国は公平だろうと思います。でも、先日の1000ドル安の取り引きの取り消しはいただけません。市場原理派なら一度付いた価格を成立させるべきですね。あるいは取引所が買った人間だけには機会損失を補填すべきでしょう。恐怖を乗り越え投資した人が馬鹿を見るとは…いただけないルールです。

日本は郵政民営化を実践しましたが、亀井さんの時代錯誤から再び失われた時代に逆戻り、民主党の政策はいただけません。時間がないのに…今は3人で一人の年金生活者を支える時代ですが、まもなく2人で1人になります。それなのに貯金はゼロですからね。IRNETでは何度も「時間がない」と書きました。それなのに暢気にタレント議員を擁立か…国会議員が多いのでしょう。だから定数を半分にすれば良いのです。そうして公務員の人数を削減し効率化経営へ備えなくてはなりません。野村證券調べの正規の公務員の割合は、日本が人口千人辺り42.2人でアメリカは73.9人、ドイツは69.6人、フランスは95.8人と比較して低いほうですね。しかしこの数字には関連が入っていません。天下り先の公益法人などを含め第三セクターで働く人達です。デフレ社会だから公務員が好まれますが、インフレ社会になれば頑張る民間人が恩恵を受けます。

市場原理とは…弱肉強食の世界です。追証は待ってもらえません。時間をかけて議論している場合ではありませんね。日本の財政状況はギリシャ危機のおかげで話題にのぼり、皆が理解すようになりました。実社会も行動して失敗した人は辞める。生き残った人は高い報酬が約束される。戦いに敗れた人は再チャレンジです。僕のように再び挑戦です。市場と言うフィルターの淘汰を通して、経済は資金が再配分されて、より良い方向に活性化されていくのです。市場経済は常に待ったなしで改革を実践しています。この流れが国際ルールですね。日本の鎖国制度のルールで小さな土壌で縄張り争いをする時代ではありません。

ざっと書いたので、文章が洗練されていませんが大まかな概念を感じ取ってもらえれば…と考えています。株は心配ないと楽観しています。今は下値を確認する作業でショック安を演じた価格が下値です。二番底(この意味はチャートの話)が確認されれば、再び回復過程に向かい米国の金融改革法の進展を睨み市場は動く事になるでしょう。