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相場心の時間と業績(2010年05月29日)
多くの皆さんは株式の原理を知りません。
ただ値動きだけで判断するわけですが、株価を支えるのは背景に存在する企業業績の推移です。どんな株でも会社が利益をあげれば株価は上がります。
しかし資本政策の上手い会社と下手な会社が存在します。
双日などは、この資本政策が非常に下手な為に株価が低迷したままです。日本の場合、総体的に業績の割に株価が低迷する現実が起きているのは清貧思想や排他的な村意識(鎖国制度)が背景にあります。
資本政策とは、株価対策と同意語と捉えて良いでしょう。
何処で資金調達をするか? どのような方法で資本を調達するか? 利益で溜まった現金をどうやって使うか? 企業買収もあれば配当で還元するやり方もあるし、自社株買いもあります。しかしお金を設備投資や研究開発に使う方法もあります。要するに、お金の使い方の話です。
逆に効率的に資本政策を実施しているのは、ソフトバンクが代表的な事例でしょう。本来なら、とっくの昔に買収されているか倒産していますが、巧みな資本政策により、綱渡りの資金調達を実施し、この環境下で驚くほどの効率的な方法で資本の生かし方をしています。今では、既に財務上の峠を越えて、成長企業の仲間入りに向け準備を行っています。2012年は同社は再び飛躍の年となり活躍するのでしょう。理由は借金が峠を越し、次の大胆な行動に移れるからです。でも、まだ早いのですよ。最近、発行したSBの利率をみれば財務体質が改善していることが窺えます。2兆円の借金をして、しがらみのあるNTTと総務省と言う壁を乗り越える技は一流の経営者ですね。逆に同じ逆風だったのですが、残念ながら敗れたダヴィンチの金子さんは社会から一時的に消えます。もう一度、チャンスを与えたい経営者ですが、どうなるのかな?
時代の読みは、非常に大切ですね。私など間違ってばかりいます。
今、ホットな話題は下落する株価の行方なのでしょうが既に底入れをしたのでしょう。戻るパターンは、幾つかの見方がありますが…。今日はその話題より、株式が一番ホットな時期はいつか?…と、言う話しを連載しようと考えています。今日はそのさわりですね。
基本的に株が一番、上がる時期はいつか?
皆さんは業績が良くなった時期に買いますね。ところが株価が上がるのは、業績の先が見えない時期なのです。ツガミを例に見れば分かります。受注が大きく伸び始めたのは10月からです。一連の経済対策が効果をあげて中国は不況から脱出しました。そうして設備投資ラッシュになったのです。消費が増して需要が膨らみ商品を増産し、設備投資が更なる需要を喚起するのです。
先ずは、消費の回復→増産→設備投資→所得の向上→再び消費に向うGDPを増やす好循環が生まれます。ホンダのストライキは所得の向上の現象です。池を連想して下さい。石を投げると波紋が広がります。最初は小さな輪ですが、だんだん大きくなって広がりますね。これが経済の仕組みです。中国は国民全体に購買意欲があります。家が欲しい、車が欲しい。中国は今、日本の3種の神器の時代背景です。日本社会には清貧思想が跋扈しています。「出る杭は叩かれる」基本的に異端を認めませんね。最近は少し変化してきているようですが…。
経済の基本構造は世界中、何処でも一緒です。不景気なると消費を刺激する為に需要を創設しなくてはなりません。だから日本の場合は財政出動を繰り返したのですね。そうして借金の山を作ったのです。効率的な資金を使わずに従来型の公共事業投資を繰り返したのが自民党です。自民党の政策失敗です。まぁ、結果論は誰にでも言えます。あの資金をITなどの成長分野に投じることが出来れば、日本は最強国家になったでしょが、残念ながら産業構造の転換が出来ませんでした。「鉄は国家なり」の古い考え方の人が主導権を握っていたからです。
株式の物色は先ず、大きな景気循環を考え産業を選びます。
今は時代の変遷の最中で、ITを中心とする新興株が時代をリードする産業でしょう。スマートフォンなどの活躍で、業績を伸ばしているのが携帯ゲームの会社ですね。グリーは代表例でDENAも最高決算を更新しています。時代をリードする「いつでも何処でもの…ユビキタス社会」の代表的な会社が一番です。
二番目は景気循環に絡み業績が向上する会社です。
多くの会社は景気循環により利益が左右されます。三面等価の法則ですが、GDPは限られるので、日本国内だけでは小さなパイのシェア争いに過ぎません。新興国(BRICs)と言う新規需要を創設されたので、そこでシェアを奪いに行きますが中国もしたたかで…外国資本を規制しています。世界中を見ても、中国のような形態の自動車産業は珍しい例でしょう。技術を奪い自国優先の考え方です。
最近は中間所得層が育ち始めているアジア圏(インドネシアなど…)の活躍が日本の生産を支えています。このような需要予測から銘柄を選びますね。株価が上がるかどうかは方向性なのですよ。業績の躍進度の角度問題なのです。分かりにくいでしょうから、イメージ図を提示します。株式投資は、この業績の増益度を予想するゲームと考えて良いですね。通常の景気循環は、過去最高利益が目安になります。だから四季報などには、その数字が載っています。
しかし…こんな株式はあまり面白くないのです。一番目に掲げた時代変化を創設する産業のリード株が本当の成長株なのです。昔は自動車を作ったトヨタも、テレビを作った松下も成長株として持て囃されました。最近の成功例はゲームの任天堂かな? しかし近年は製造業では完全に世界競争で負け続けています。グローバル化の考え方が浸透していないからです。ところが最近は変化が生まれています。ようやく老舗の日本企業が体質改善に向っています。その兆候は、日産のマーチのタイへの生産移転です。ホンダは部品会社を含め移動です。今回のストの影響はある意味で洗礼です。私が下期に円安を予想するのはこのような背景があるからです。日本は決断が鈍いのです。だから米国の回復に遅れます。故に、内外金利差も生まれ、円安に傾くと言う読みがあります。
だから、その中で一番恩恵を受けるマツダ―7261を狙っているのです。マツダは為替の影響が大きい会社です。会社想定レートは1ドル90円です。ユーロは1ユーロ125円です。私が一番注目しているのは、5月に中国の生産基地を移動させた事ですね。これまでマツダはフォードと長安汽車との3社の利害関係の調整で造りたくても車を造れず、非効率だったのです。そのタガが5月になくなりました。第一汽車との南京工場に生産を移行しました。アテンザは200万円クラスの車ですね。在庫が溜まっているのはデミオクラスの小型車です。販売加速する中国と、米国の復調が利益を支えると言う読みが背景にあります。
今は分からないのです、この読みが実現するかどうか…。
だからこそ株価面で一番面白いのです。秋口になれば数字が見えてきて中国の動向も米国の販売も、為替数字もみんな判明しますね。その時点で買っても、面白みがないのです。分かるかな? 実は不発でしたが商船三井と言う会社に、いれ込んだ時期がありました。コンテナ船の不調で、利益が上がらない時期の話で2010年問題が頭にあった時期です。昨年の春ですね。あの時に大きなファンドが業績の改善を見越し、株価を1000円に持っていけば、大量の空売りを飲み込んで相場になったと思います。でも仕掛け人は少数で金融危機の影響のあったのでしょうが相場になりませんでした。
今では2010年問題も知れているというのが通説になり、コンテナ船市況も回復し、おまけに不定期船のバルチック海運指数も大きく改善しています。業績の好調さは誰の目にも明らかで、大幅な増額修正になることでしょう。だから、この下げでも株価は下がりません。しかしここで仕掛けても大きな相場になりません。空売りが入らないからです。大きな相場になるには、人間感情の対立が大切な要素なのです。ツガミの相場も少し遅いのです。あと3ヶ月早ければ、もっと大きな相場になったでしょう。今はマツダですね。果たしてやる人が居るかどうか…。実はかたる君は007に燃えていますが、この銘柄も年末には判明しますね。だから今が旬だと思うのです。
この時間差の考え方は非常に重要ですね。業績と株価の関係で他人より半年程度、先取るのです。でも最近は市場に、相場心を理解するファンドの運用者が少ないのか…、あるいは勉強しないと言うか…下手な奴が増えました。目先の銘柄ばかり動いています。もっと大きなスケールで、ものを考える人がいなくなりましたね。若干、現在の相場に付いてコメントすれば、おそらく底は打ちましたね。
ただ中国がどう出るのか?
北朝鮮など…と市場では問題化されていますが、あんな国は問題にもなりません。軍隊が150万人も居るから大変だとマスコミは騒ぎますが、誰が考えても指導部をミサイル攻撃し奇襲すれば、バラバラになる烏合の集団でしょう。だから戦争になっても2週間程度なのでしょう。むしろ大きな需要が生まれますから、戦争が勃発して下がった所は絶好の買い場でしょうね。読めないのは中国の空母建設などの動きです。鳩山首相が福島さんを罷免して日米同盟の修復を図ったことは、やはり必要だったのでしょう。しかし窺った見方をすれば、韓国の哨戒艦沈没は米国の仕掛けかもしれませんね。色んな見方が出来ますが、時間的にピッタリなのです。
株は乱高下を繰り返しますが、やがて収縮し次にスップに移ります。ただ当面は不安感が背景に残るので業績面に安心感があるDENAなどが次の主役かな?