金融規制を経て…(2010年06月26日)
金融改革法案がまとまり最悪の事態は免れたようです。
ただ注意を要するのは商品市況の動きでしょう。BRICsの参加により需要が増し、資源などに流れていたお金の量が制限されます。具体的には商社株などの動きですね。直接は関係ありませんが、BPの海底油田事故も一つの兆候と見られます。自然の原理として山が高ければ谷も深いもの。謳歌した時代の陰りを感じる次第です。4月からのポジション調整で、既に今回の金融規制対応が出来たのか疑問が残りますが、米国では金融株は上昇しており波乱要因の一つが消えつつあります。
残る市場の焦点は、これから始まる企業決算数字に対する市場の反応です。
足元の企業業績の回復を買わずに、未来の不安を織り込んだ株価が修正されるか…それとも不安が勝るのか? この点はポジション調整の進展具合なのでしょう。日本株は米国株の動向に影響され、ネガティブ方向に働いています。考えてみれば当然です。失われた時代が20年も続き、株は下がるものと考えているデフレ人間が大半なのです。残念なことですがジェイコム男君が持て囃される、短期売買が主流となっている市場の趨勢は如何ともしがたい。
日本はなかなか新規勢力を認めない既得権力者の社会構成ですからね。
江戸幕府と明治政府の戦いのようなもの。揺れる勢力図が市場に現れているのです。正常な経済状態ならありえない株価が実現し、正当な評価が働かない市場になったのは様々な原因があります。清貧思想が跋扈し行き過ぎた金融検査体制も一端を担っています。ブルドック問題の最高裁の判決は鎖国制度そのものです。でも報道によれば2012年に経済産業省は会社法を変えて、株式対価のTOBを促進させるそうです。この話が進めば株価を大切にするソフトバンクのような経営者が増え、ソフトバンクによるNTTの買収も可能性が生じます。オリックスが野村證券を買収するとか…、色んな選択肢が増えますから真の効率化が促進され市場原理が再び甦ります。株式は時代の方向性を示すものです。明るさを感じます。
欧州のストレステストが無難に乗り切れるとすれば、市場の焦点は金融規制から世界景気の見方が割れていることです。米国のオバマ大統領の欧州への働きかけは空振りに終ったようです。どちらが正しいのか分かりませんが、既存の経済学では深刻な金融危機から立ち上がったばかりなので、経済基盤は脆く、依然、政策支援が必要な段階でしょう。しかし日本の歴史を見れば、間違った方向性の政策支援は延命策に過ぎません。構造改革を伴う改革が求められますが、どうかな?人間は保守的な動物で現状維持を求めます。だから日本は失われた時代を20年も引っ張っているのです。欧州の選択が正しいかもしれません。
ホンダに続き多くの企業が日本を離れグローバル化の道を歩み始めています。嫌いな経営者ですが楽天もファーストリテイリングも社内公用語を英語に設定し、あまり目立ちませんが僕らの業界の大和証券も改革を実行しているように見えますね。その為に金融庁から警戒され特別チームが立ち上がったと言います。日本らしいですね。三井住友から抜け出し独り立ちしようと言うのでしょう。野村證券よりも好感をもてます。野村は営業キャッシュフローを稼がないのに、株価を崩した増資を実施し日本的なイメージがあります。過去の栄光で食っている会社のイメージですね。
個別企業はどうでも良いのです。
今後の焦点は企業業績が良いのに、何故、株価は下がるか?と言う疑問に、市場がどう応えるかですね。私は2004年のようなイメージを株価に抱いています。
覚えていますか?
2003年は外資系金融資本に助けられ、大幅高のあと調整波動が始まりました。しかし実際は新規公開企業などが刺激になり、日本全体が元気になった瞬間です。しかし回復し始めた途端に、邪魔者になった新興企業潰しが起こり、日本は折角のチャンスを失いました。多くのファンドが日本から撤退しましたね。折角、投資したのに、突然ルールを変える中国と同類の共産国家と外資の目から見れば映ったのでしょう。「ハゲタカ」などと文化の違いを指摘され…戸惑ったことでしょう。
でも民主党政権の誕生は、経団連にもショックだったようです。
東芝、日立が市場から追い込まれ、否応なく方向転換を求められているのが、昨今の状況でしょうね。国際会計基準が真の競争を求めています。何れトヨタは負け組みに成り下がり、ホンダが上位企業として残るかもしれません。まだかなり両社には差はありますよ。驕れる企業文化は腐るのが自然の道理でしょう。リコール問題から、トヨタがテラスに出資するとは驚きでした。この見方は二通り、時間を稼いだ経営判断と言う可能性とトヨタ技術陣の敗北です。トヨタほどの会社ですから、豊富な研究開発費があります。何故でしょうね。
そうそう、皆さんには株価が大切ですからね。
先程の企業業績をどう見るのか?と言う話です。市場が懸念しているのは欧州の動きや金融規制により流動性が細り、景気がダウンするという見方が背景にあります。だって家を建てるのも借金をしますね。お金を貸すのは銀行ですから、銀行が世界中から虐められ、利益が減るからリスクはとれません。故に貸し出し態度は厳格になります。何故、私が過剰なサラ金規制を批判するか? これと同意語ですね。お金は使う為にあります。効率的な使い方をする人は冒険をします。その冒険を規制すれば、経済が沈静化するのが道理です。
日本には実例が存在します。
松平定信が行った清貧思想の極みの「寛政の改革」です。田沼時代に賄賂が横行し乱れきった世直しが大義名目でしょうが、棄捐令は頂けません。まさにサラ金規制の過払い問題と同じですね。あの当時は札差しが全滅し経済が疲弊していきます。「白河の清きに魚すみかねてもとの濁りの田沼恋しき」時代の趨勢ですね。
でもかたる君が明るいのは、謎だった中国株の動向です。おそらく半年から1年程度で復活を開始するでしょうね。世界の流れを見れば、欧米の時代から金融危機を切っ掛けに流れに変化が生まれるのでしょう。日本は幸いこの動きに追随しようとしています。アジアのインフラ整備に多くの企業が関わり成長を模索しています。ホンダや日産はタイに生産工場を移し対応していますね。
今は端境期に位置していると考えています。その時代の流れを作る重要な働きは情報でしょう。残念ながら日本人は情報の価値観を知りません。情報にお金をかけるという意識がありませんね。これまでは東西冷戦の恩恵を受け、日米同盟により日本は保護されGDP成長が実現できました。しかし1985年のプラザ合意は自立を求める動きだったのでしょうが、改革を実現できずにそれまでの延長と考えた誤りがバブルの崩壊です。しかし社会の仕組みがエスカレーターだった為に上に人がいませんでした。だからダッチロール現象に陥り墜落した日本経済は失われた時代を強いられましたね。
しかし…民主党政権誕生から、改革を決断した姿が今の日本経済でしょう。大丈夫でしょう。2015年ごろ財政バランスは崩れ、インフレ社会に突入するので、最後は円安、金利高で、物価が高騰し食うものがなくなる時代まで想定していましたが…今は回避できる可能性が出てきましたね。百姓の友達は大切にしなくては…と考えていました。でも会社法の改定や特別会計にメスが入るならギリギリ間に合うかもしれません。まぁ、どっちにしてもここまでくれば、あと僅かな期間です。
皆さんにはこのような話は退屈でしょう。しかし基本的な方向性は非常に大切です。金融法改正が商社株に繋がるなんて誰でも読めます。今の焦点は企業業績と株価の見方ですね。仮に金融法の影響が処理済で更なる懸念を生まなければ、新興勢力(BRICs)などの発展が勝り半導体価格も堅調に推移して世界景気は成長しますね。米国の経営者は雇用や設備投資に依然慎重です。つまり失速する懸念を考えています。日本もそうだったのですが…あまりの改善で必要最小限度の設備投資などが増え始めています。中国は過剰な状態ですよ。でも成長しているから谷は浅いでしょうね。だから半年から1年後の上海総合株価指数が注目されます。そろそろ上向いてもおかしくありませんね。北京の不動産価格など…みると、そう感じます。当然、失敗した1309のETFも復活します。
仮に2004年型なら、世界景気の失速を織り込んだ半導体株式が復活します。だから新安値を付けた人気株のエルピーダは意見が割れますね。幸いエルピーダの坂本さんは積極派ですから、既にDDR2からDDR3に戦略を切り替えています。だからこの安値は買い場になりますね。
要するに目先の株価よりどちらに流れるか?
ここが重要ですね。エルピーダやルネサンスエレク、東芝などの半導体に収益が影響される会社は世界の景気動向に株価は影響を受けます。だから金融規制から流動性が失われ世界景気が失速するなら、当然、最先端に売られるグループになります。しかし考えて御覧? 半導体は歴史的な不況を経験し世界競争から淘汰された業界です。足元の市況が回復しても財務内容はメタメタですね。設備投資もまだ露光装置だけ…こんな状況です。ニコンの株価も低迷しいくら競争に負けているとは言え世界第二位の会社の株価が低迷するぐらいの状況の設備投資しかしていないなんて可笑しいですね。
欧米の人口よりアジア圏の人口の方が遥かに多く、これから購買力が増えるのですね。中国の所得倍増論を市場が評価しないわけがありませんね。だから東芝をはじめエルピーダ、ルネサンスエレクなどの狙い目も存在しますね。延長線上で東京エレクやニコン、東京精密などの選択肢もありますね。株の考え方は基本が大切です。多くの人は株が下がると不安で安値になった株を売りますが、世界の状況が求める方向性に株価は動くものです。それが市場原理に沿った市場主義ですね。株式対価のTOBを促進させれば、ブルドックによって紙屑になった株券にお金の価値が甦ります。だから株価は、当然、理論価格まで最低、上がりますね。
例えば三菱UFJ銀行の純資産は612円もあります。僕が経営者なら、先ず自社株買いをして金庫株にします。自己資本比率規制の問題もありますが、総資産を圧縮するために店舗を売却しリースに切り替えますね。自分のところでリートを創れば良いのです。都心にある駅前の三菱UFJの店舗は有効活用されていますか? 純資産価値とはそう言うことですね。裁定の役目を担うのがハゲタカファンドの役割です。放漫経営をしているから株価の価値が低いのですね。経営者は株式オプションをもらい給料を抑えれば良いのです。野村など企業価値を喪失させ高い給料をもらっています。あの程度の経営者ならごまんと人がいます。だから会社法の改正は必要です。
今日は長くなりました。通常は株価が下がれば買い場なのです。
政策対応により市場原理の働く世界に戻るのが、会社法の改正です。効率化を促進させる特別会計のメス。日本の方向性は不良債権処理に揺れる欧米より明るいね。