雑感(2010年08月07日)
最近の相場は目先筋の動きだけが目立つようです。
先物の動きに左右される比率が増し個別株が乱高下します。東証と言う地位が地盤沈下を起こし流動性の欠如から正しい株価が形成されないので歪な展開が続きます。先日の日清製粉による酵母工やNBCへのTOB価格が妥当価格なのでしょうが、市場に資金が不足し異常な株価が現在は形成されています。日清製粉と言う会社は常識的な会社ですね。これが変な会社の子会社なら、親会社は理論価格を無視して、安い市場価格でTOBですからね。今のように非常に安い株価でもTOBがかからないのは、ブルドック問題を代表とする株主の権利である支配権が、途中でルールを変える日本社会の特異性から無視されている為でしょう。だから経営者は、株価に関心を払わなくなったのでしょう。いつまでこんな状況が続くのか…嘆かわしい日々が続きます。
株価の尺度であるPBRと言う純資産に対する株価倍率は1倍を割り込む企業が続出しています。都心に資産を抱える都市銀行も同様です。更に、毎年稼ぎ出す利益の何倍まで株価を買うかと言う尺度であるPERも10倍を割れる企業が続出しています。株を買う投資家層が機能しなくなったためです。確かに証券会社は、昔、野村證券を中心に悪いことをしていました。今の相撲界ではありませんが、ヤクザとの取り引きもあったし、株価操作を平気でしていました。しかしその反省から、業界には清貧思想が蔓延し、過剰なコンプライアンス重視で、正常な機能を失う事態になっているのが今の東京証券市場でしょう。
恥ずかしい話ですが、ルールを無視した勝手な増資が横行し、悪く言えば詐欺に似たようなものです。それも日本を代表する銀行や証券が、経営の失敗であけた穴を補填する為に増資を実行しています。だが不思議な事に経営者は責任を取りません。一度、支配権が脅かされると、今度は日本の社会全体で正常な投資行動をとった投資家をグリーンメラーと呼び、ただの金の亡者扱いで批判します。東芝も日立も大型増資を実行しました。経済界が挙って詐欺を働いているようなものでしょう。これじゃ、まともな投資家が育つ道理がありません。政治も迷走し、経済界の指導者もモラルを忘れ…資産デフレが元凶なのですが、何故か、日経新聞もマスコミ全体は、デフレ=消費者物価だけにスポットをあてています。
あきれる投資家は市場から逃避し、市場は流動性の乏しい博打場化しているのが現状なのでしょう。銀行も貸し出し機能を放棄して、融資業務をやめて国債を買う鞘取り機関になり下がり、仕事を放棄するような法律が横行しています。都市銀行の中小企業融資などは政府頼みで保証協会の保証がなくては融資をしない清貧思想が当たり前になっています。
鳩山政権が誕生し、沖縄基地問題から安全保障問題に発展し、徴兵制度、軍事費問題と論点が発展するのを望んでいましたが、マスコミの低脳さは呆れるばかりで…。基地移転を国外に望むなら自国の軍備力強化が必要になるのが当たり前なのに…。その論点を隠し基地移転だけにスポットをあてるのですから…この国の識者は何処に消えたのでしょう。過去の蓄積がものを言い、財政は悪化していますが国債は1%を割れる人気です。どうも最悪のケースに向って動いている印象ですね。
経済界はとうとう痺れを切らし諦めて、第二の空洞化が始まっています。この組織改革にあと2年程度かかるのでしょう。ようやく車が動きましたから方向性は決まりました。三洋電機が金曜日に137円買いになり、松下を上回る価格のTOBを期待しています。本当はわが国の金融機関や日立などの大企業にTOBがかかれば市場は面白いのですが…残念ながら日本の魅力が乏しいのと、金融機関が痛んでいるから躍動する資金が足りないのでしょう。
今でも私は、株は下がれば買い続ければ、いつかは上がるという考え方です。
今では珍しいインフレ思考のバブル型人間です。資金力さえあれば株価は面白いように上がり続けるようになります。ただ一定のルールは必要でしょう。常識を外れる基準まで買ったのは過去の話です。未来を語り小惑星イトカワの欠片を採取する「はやぶさ」のような未来技術に資金を投資できる社会環境を作りたいものです。
前向きな精神が失われ21年か…長いなぁ~。