市場主義(2010年10月30日)
失政が続く日本は失われた時代をなす術もなく続けています。
この10年、IRNETを続け毎日考えてきました。結局、日本と言う国は実力本位でなく、仕組みで成り立った属国と言うイメージです。政治と金の問題が問われますが、小沢氏が「普通の国にしたい」と言った理由が良く分かります。先ず、僕らは文部科学省が作成したマニュアルのなかで教育されます。小さい頃からの画一化教育で、決められ概念を植え付けられます。現在は社会に出てもそうです。就職するにも資格が必要で、そこに付随する関連団体があり、業界のルールにより社会を縛っています。この関連団体の上にお上の組織である各省庁が君臨します。
本来は日本国民が生活しやすいルールを定め、主従の関係では国民が主で、省庁は従のはずです。しかし…いつしかルールが先走り日本国民はマニュアルで自らを縛る方向性に傾きます。この理由は大蔵省の素晴らしい政策がありました。先進国に「追いつけ、追い抜け」と頑張った結果、GDPは右肩上がりで豊かな国を創設できました。1985年までの話です。しかしGDPが米国と並ぶようになると独創性のない日本は、目標を見失い自ら崩壊していきます。失われた時代は20年以上続いています。
大学生活を考えると分かります。僕の学生時代の勉強は教えられるものでしたが、本当は違いますね。教授と共に考え成長すべき期間ですが…日本の大学生の実態は貧困な時間です。NHKで以前放送されたマイケル・サンデルの授業を観て…「あぁ、これが大学生なんだ。」と言うのが実感でした。あの授業についていく為には、相当な事前の学習が必要です。そうして自分なりに考え、結論を出しておかないと授業についていけませんね。日本とえらい違いです。でも東大ではあのような授業があるのかもしれませんが…
既に官僚が設計した枠組みのなかでは、日本は負け続けるから皆が試行錯誤している姿が失われた時代です。しかし株式市場をみると2006年まで…大企業の社長の意識が…今の時代も寝ぼけた考えの上場企業の社長が大勢います。
右肩上がりの経済では、誰が社長をやっていても業績は伸びました。しかし失政が続く社会環境では100人に一人、いやそれ以上に才能が必要なのでしょう。ソフトバンクの孫氏を見れば分かりますね。総務省と言う壁、NTTと言う壁、世界競争との壁、更にユザーの壁と…たくさんの障害に対処しないと生き残れません。ギリギリの賭けを続け何とか危機状態を脱出した場面のようにも見えますが、グッドウィルのようにお上の反感をかえば、ほぼ完成されたソフトバンクも泡と消えます。金融界では小泉・竹中改革でUFJ(三和銀行)が実際になくなりました。
政策官僚に国民は何を求めるのでしょう。
年金制度が穴だらけと言っては保護求め、自分の努力が足りないのに社会の責任にする。かたる君の政策批判はそんな面もあったようですね。既に日本は団塊の世代の大量退職時代を迎え年金制度はパンクしています。フランスも受給年齢が伸びており日本も同様でしょう。いずれ70歳か75歳からに引き上げられるかもしれません。だって物理的に考えれば無理ですからね。こんな単純なことを隠して幻想を抱かせることがおかしいのです。計画経済が破綻しているのに維持しようと必死に誤魔化していますが無駄な努力ですね。やがて時間切れになり、強烈な円安、物価高の時代が来ます。
でもまだ僅かな可能性は残されています。
円高なのでチャンスですね。政策評価は市場が決めますね。市場は一時的には間違った判断を下すことはありますが、時間と言うフィルターにかけると概ね正しい判断をしています。世界から見て日本の株式の位置はどうなのか? 日銀の政策が正しいなら、株価は当然、上がります。日本の政治家の選択が正しいなら、株価も上がり雇用も増えGDPが増えるので、可処分所得も膨らみ国民が豊かになります。ところが間違った政策続きで、資産デフレが起こりGDPは伸びずに疲弊しているのが現状ですね。
最近、初めて資産デフレの話が取り上げられるようになりました。今まではデフレといえば消費者物価(CPI)ばかりでしたが、あの日銀が…ようやく自らの間違いを認め、方向転換を図りました。でも市場は冷淡ですね。足りない、認識不足だと更なる要求をします。米国を見ればわかります。金融危機は2006年に始まりました。信用力のない人間に売りつけたにも拘らず、住宅価格がさがります。当然、需給バランスが崩れますね。まだ4年です。日本は20年間もバブルの清算に追われ続け、りそなは未だに清算ができません。米国もフレディーマックなど、なかなか先は見えませんね。しかしFRBは果敢に努力しており、市場は一定の評価を与えています。
日本は市場の反応を見ずに、自分の政策は正しいと能力のない人間が政策の実行権を握って離しません。東洋電機を考えて下さい。会社は社長の私物ではありませんね。自ら経営能力がないなら、能力のある人に委ねるべきです。日本電産は自動車モーターに進出します。経営力の違いは株価に現れます。自分の努力ではなく市場が評価しますね。市場主義とは…常に政策が判定されている場なのです。だから市場の動向を見て改善しなければ、政策スタンスを変えて、更にスピードを速めなくてはなりません。自分が正しいと思うことは勝手ですが、常に評価を求められ、結果を追求されるのです。この競争に敗れたら敗退するしかないでしょう。