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甘えの構造(2010年11月06日)
経済の要は金融です。何故、日本がこれほど長く低迷しているのか?
一言で言えば「構造改革」の失敗です。日本の歴史をみると、明治維新の頃は「富国強兵」政策により殖産興業を成し遂げ、欧米に追い越せ追い抜けの精神で頑張ってきて、日清戦争、日露戦争を経て欧米から一定の容認を受けましたが、第2次世界大戦で選択を誤り敗戦、二度目の復興を、戦後、アメリカの庇護の下で成し遂げました。しかし1985年のプラザ合意の前後から自滅する訳です。この自滅は構造改革の失敗と言われています。
この構造改革では、90年代は3つの過剰問題が指摘され改善されてきました。
「過剰債務」(不良債権問題)「過剰設備」(生産基地の移転で空洞化)「過剰雇用」(人員の流動化)、日本は世界ルールから身を守る為に様々な規制を引いてきました。戦後の復興は、大蔵官僚による計画経済の成功の賜物です。この背景には米国の庇護がありました。ところが一人あたりのGDPで肩を並べるほどになると…米国は政策を変更します。この対応に戸惑っているのが現在の姿でしょう。
内外価格差の問題はニトリ・ファーストリテイリングや楽天などの流通経路の変更により改善され、日米同盟の問題は未解決。為替の問題も未解決(日産マーチはタイに生産移管)、雇用の流動性も未解決(官僚などの役人の人件費削減問題や派遣問題など)、今の農業問題が絡むFTA、EPA、TPPなどの問題は、内外価格差と同一の問題ですね。既に農業は壊滅しており、兼業農家の大半は高齢化が進み生産性が著しく低いのです。更に人口構成により少子・高齢化問題が大きなテーマになっています。企業年金などの問題も未解決です。
政権担当者はこれら日本が抱える様々な問題に対処せねばなりませんが、大衆迎合主義を貫き大きな政府を目指しています。しかし現実をみなくてはなりません。先頃、菅内閣はB型肝炎訴訟で和解をしました。なるほど…国に非がないとは言えないでしょうが、生きている以上、様々なリスクは当然です。実は私の母も輸血が原因で肝硬変から肝癌で死んでいますが、あの時代は分かっていませんでした。血友病の治療中にエイズに感染した川田さんの問題もありました。帝京大学の安倍教授とミドリ十字の癒着が問題になり社会問題になりました。でもあの問題とB型肝炎問題は同一レベルなのでしょうか? 詳しくは知らないから、なんとも言えないが、2兆円もの和解金の規模を考えると…何故か、もっと議論の余地があったんじゃないかな? この問題は別としても、今の政策は、なんとなく、大衆迎合主義の傾向が強すぎるように感じます。
米国では共和党の主張は、経済対策は必要ないという立場ですね。健康保険問題も財政悪化に繋がり個人の自己管理との立場です。他人依存型の日本人と自立意識が根付いている米国人と考え方がずいぶん違うものです。日本ではなんでも「お上頼み」です。「お役人様、補助金で助けてくだせぇ~。」と農業や産業団体は叫びますが…間違っていないかな?
僕は31年間、証券マンとして、明日の日本を信じ、市場はこうあるべきで…行動をしてきました。しかし結果は失敗でしたね。この心の影で甘えがあったように感じています。いつも政策批判を続けるということは、その背後には期待する気持ちがあるのですね。でも現実はその期待を裏切られ続けて、人生が終ろうとしています。だから気持ちを整理するために会社を辞めます。そうすれば別の視点で、物を見られるかも知れないからです。勿論、食えないことが条件の第一条件でもありました。でも昨年の年収は800万を超えていますが…。今年はいくらかな? まだ計算していませんが600万か…その程度でしょう。僕は原理・原則を貫きたいのです。正直に言えば、株屋としてではなく、投資家になれるかな? 空売りを違和感なくできるのかどうか…。自分の心と向き合いたいのです。だから会社を辞める事にしました。
警視庁のテロ関連の重要書類が流出したり、海上保安庁の尖閣問題のビデオが流れたり、何処か日本はおかしいですね。そりゃ主義・主張は異なるのでしょうが…いくらなんでも卑劣な手段です。東電の増資と同レベルの現象に見えます。かなり、みんな追い込まれていますね。僕と同様にいろんな事を考え、皆がそれぞれ追い込まれて生活しているのでしょう。株式教室だから…QE2の問題から発展した考え方を書こうと思っていたのですが…相場を考えていると、どうしても日本の構造問題にぶつかり、色んな社会現象が気になるのです。今度は証券マンのカラーがなくなり、もっと自由に本音が書けるかも知れませんね。