整合性(DENA)(2011年07月16日)
株価と業績の整合性とは…何か?
このようなテーマで株式相場を考えてみたいと原稿を書いています。最近「今日の市況」では整合性と言う言葉を使い、整合性があるからもっと買われてもおかしくないとか…この銘柄は整合性がないからとか…述べています。この整合性とは主にPERやPBRなどの指標から見た考え方を加えています。例えば、東レは成長分野を抱え良い会社です。炭素繊維の使用先は加工技術の発達や量産化により用途が広がり、他に分野も…例えば繊維なども高機能繊維の需要が増えていますね。電子分材料なども好調です。しかし一株利益の現状は過去最高利益を更新中とはいえ、40円台で株価は600円前後ですからPERは15倍程度の評価です。つまり今後の成長性を加味してもPER20倍の800円が限度の株なのでしょう。仮に素材価格の利益率が上がっても一株利益50円の壁を超えるのは大変でしょう。
ところが日立は既に52円の利益を掲げ、更に効率化により60円を目指そうとしていますからPERを15倍としても750円の価値があると思われます。東レの成長性と日立の効率化の成長性は、どちらが優位でしょうか? 現状の判断は五分五分でしょう。それなら日立の株価は割安感があり、東レの株価より日立の方が整合性は高いのではないでしょうか? 最近人気になってきた鬼怒川ゴムも、一株利益が65円で中国の需要や日産の戦略を考えれば落ちることは考え辛いですね。そうすると株価の600円は安く、整合性が高いと言えます。ただ大型メーカーとは違い、単品の収益ですからブレが大きく、多少、割引が必要になります。リスクが高いからですね。
こんな風に考えると大阪チタンは整合性がないですね。いくら好業績の変化率を示しているとはいえ、一株利益が100円程度の予想で株価は5300円台なのでPERの評価は50倍を超えていますね。この背景は市場シェアの話が出てきます。世界でチタンを輸出できるのはロシアと日本の二大メーカーだけと言う特殊な事情があります。だから日本製鋼所も外人評価は高いですね。世界シェアトップの独占的な供給先の評価はどうしても一番高くなり、PER評価も上がりますね。この辺の感覚が、株価の評価が変化し分かり辛い所ですね。
今日はこのような考え方を土台にして、カタル銘柄のDENAの評価を考えます。DENAの一株利益は250円です。故に株価は4000円と言うことはPERで16倍ですね。しかし下のグラフを見てください。このところ、収益自体は伸びていますが変化率の観点からすると明らかに落ちています。故に一株利益250円の価値は持続性が乏しいから、PER10倍だと言うトロのような意見が生まれます。そうなれば株価は2500円ですね。

ところがカタルの見方は違います。最近、スマートフォンは世界の流れになりインフラが整ってきました。ノキアが敗退したのはスマートフォンの戦略が理解できなかったので、経営判断が遅れたのですね。ところがスティーブ・ジョブズは早くからパソコンからスマートフォンやiPadなどの携帯端末が主流になることを読んでおり、開発してきました。故に先駆できたわけです。
この背景を裏付ける資料が、先ほどのDENAの2009年後半から2010年の売り上げの伸びですね。日本のスマートフォンの需要に合わせるように伸びてきた携帯ゲームの需要です。私も何人かのお客様が、以前、買った高値の株を持っており、あの急激な上昇波動の背景が、最初は理解できませんでした。故に買い増しではなく、売りを優先させたのです。ところが後になって、この売上数字が明らかになってきます。故に昨年から私は第二の任天堂と言う位置付で推奨してきました。ファミコンが世界制覇する連想ですね。今回はインフラ整備をせずに済みます。アップルだけでなくサムソンや多くの携帯端末メーカーが環境を整備してくれますね。
何故、グリーではなくDENAなのか? グリーも、最近、海外戦略を進めています。先日も中国に進出しましたね。しかしDENAは3年ほど前からこのグローバル化を睨み動いていました。当初は3人程度の人数でしたが…。今では、いよいよ本格的に軌道に乗りますね。日本相手の商売で、この数字です。今度は世界展開ですね。故に高評価なのです。おそらくPER50倍程度の評価が、今年の後半に生まれるのではないかと思っています。まだ数字には出ませんよ。しかし株価は先行して上がってきました。
僕が失敗した2009年後半のあのイメージを連想していますね。あの時は複数のヘッジファンドが相場に参加していましたね。だからPERの評価が、少なくとも30倍程度まで年内に変わり、実際の数字が250円から400円に変わるときに1万円を超えると考えていますね。任天堂よりスピードが速いのは、複数の会社が環境を整備してくれるからです。ゲーム機を売るのは大変ですが、既に世界中に数億台のスマートフォンが稼働しているのです。2009年後半の…あの業績の伸びが再現されると考えている理由です。