地方自治の確立(2011年09月10日)
日本も鉢呂吉雄経済産業相の「死の町」発言から、上げ足を取る責任論に発展しそうで、くだらない次元の政争で時間を費やすレベルではないと思うが…情けない。僕は予てからオバマ大統領の清貧思想の考え方には反対だが、行き過ぎた金融システムを是正するために、この位の姿勢が必要なのかもしれない。小泉・竹中の時代の竹中大臣の姿勢を、僕はやり過ぎだと批判をした。今もその弊害を引きずっている。故に金融機能が停止しており、どんなに努力をしても片肺飛行で、飛行機は離陸できないでいる。
米国の経済対策は、なかなか優れているとおもう。事前予想は20兆円規模だったけれど35兆円に膨らみ、雇用対策中心のカンフル剤を打ち続けるようだ。公共事業費も教育部門と差し押さえ住宅に限定されている。しかし人間と言う動物は、慣れには驚かず、ゆでガエルのような面を持っているから、市場には大きなインパクトを与えないのだろう。むしろECBのドイツ出身のシュタルク専務理事が辞意を示し、ドイツの意向が抗議の辞任により反映されたとして、市場はギリシャの不履行を連想し大幅安した影響を、米国も受けている。
一方、日本は資金使途を決めないし時間も自由なお金を3兆円予算に組むようで、地方自治の活躍が期待されそうだ。中央官僚が資金使途を決めるから無駄が多い。現場に裁量権が移れば、普通は効率的に住民の声が反映された画期的な枠組みになる。この予算が執行されれば高く評価されるだろう。ようやく生きた公共事業が再開されるが…現場にその責任能力があるかどうか…。この話を見た時に、竹下内閣の「ふるさと創生」事業の1億円のばらまき政策を連想した。地方自治体は金を購入したり、温泉を掘ったりして有効性が疑われるものが、かなりあったから…。
日経新聞では「中国経済、軟着陸に不安」となっているが、今日の日経紙面は悪材料のオンパレードの印象です。金融機関の持ち合い解消もそうだし…。一面トップの三菱商事のブルネイガス田開発が光るぐらいのもの。
市場原理主義なら、ギリシャはヨーロから離脱しギリシャはユーロからドラクマに変更すれば政策手段は増える。早く先例を確立すれば、ユーロ危機問題は、新しい時代へ向かうことが出来るだろう。他人の借金を、豊かだからと言う理由だけで払わさせるのは適わない。ただドイツはおかげで車の輸出が伸びて、ユーロ安の結果、経済が潤ったので文句は言えないが…。ざっとこれまでのニュースを解説すると、こんなところが焦点かな?
今、世界で起こっている現象は、先進国と新興国のバランスが崩れたんだね。地震と同じで地殻が安定するまで余震は続く。今はまさにパラダイム・ショックを世界中が味わっている。ところが時代遅れのケインズ経済学派の政策運営を実施しているから、的が外れで効果が薄い。9.11テロから10年を明日に向かえ、3.11から半年が経過する。奇妙にも半年の時間差のズレ。
金融ショックは2007年3月にニュー・センチュリー・ファイナンシャルが、6月にベアスターンズが破たんに追い込まれ、情報力の乏しさからCDSの存在を知らずにサブプライムローンだけかと思っており失敗したが、2008年にはCDSが表面化しリーマンが倒産、AIGも緊急支援の対象になった。問題にするGSE(フレディーやファニーメイ)だが…住宅環境まで改善せずに、今日に至っている。まもなく混乱から4年が経過するが、基本は亀裂が修正されないで、ギリシャ危機なども生まれている。
そもそもの根本はジャスミン革命のように、情報化の進展が世界を変えている。ケインズのような政策はグローバル化に対応していない。いくら雇用の創設の為に努力をしても、先進国と新興国の戦いでは、多くの物質的なモノの価格はデフレになる。つまり生産力の強い新興国価格が標準になっていく。一番の例は液晶テレビだろう。ところが日本は組織改革の遅れから、石器時代の識者が「モノづくり大国」を目指す発言を多くする。GDPは付加価値の量で決まり、付加価値とは物質的なものより、目に見えない感情や時間に高い付加価値がある。イチローが200本安打を達成するかどうかとか、なでしこサッカーの試合だとか、森の風や川のせせらぎ。絵画、音楽、ファッションなど…文化的な価値だね。
カタル君は挫折したせいもあるのかもしれないので、このような物質的な豊かさに疑問を覚えているのかもしれないが…、でもこのような環境下でも成功している人は大勢いる。時代革命のインターネットからスマートフォン関連のサービスは新しい風を巻き起こしている。アニメもそうだが…。ここで奇妙なことに気付く。ハードはアップルなどに支配されており日本の地位は非常に低い。しかしコンテンツは…どうだろう? まもなく日本のお財布携帯は世界標準になる。
この将来性は画期的だと思うよ。早くデファクト・スタンダードを確立するためにアジア圏で端末を配り、提携して使えるお店を増やす努力をすればいい。日本の話だけではなく。その為にキャッシュレス社会のモデル都市を確立しないとならない。あの頃は漠然としていて…サイバードを選んだが、MBOになり代わりに選んだINDEXは経営方針の間違いから失速、でもDENAは華が開いてきた。携帯コンテンツのコンセプトだね。
このお財布携帯はカーナビ、ウォシュレット、カラオケ以上の素晴らしい発展性を感じるね。GPSが完備されており、犯罪も減るし、税務署も必要なく透明性が高まる。だからカタルが首相なら間違いなくフクシマを未来都市のモデル事業にして、キャッシュレス社会を構築する。さらに中国は既に難しいので、インドネシア、ベトナム、タイなどのアセアンを情報網で結びキャッシュレスの経済圏を確立させたいね。
さて株式市場。基本的にドルの基軸通貨不安から、世界経済の景気循環説もあり、資金の引き上げが加速し、一時的な避難先としてTB(短期国債)などに資金シフトしたのだろう。かなりの規模でリーマン・ショック以来の規模だと言う。故にコア30が新安値を更新したのだが…本来なら日銀が資産デフレの進行を重く見て、組み入れ額を増やさなくてはならない。スイスフランのように無制限で、介入する強硬姿勢が必要だと思うが、残念ながら現状はトヨタのように構造改革に否定的な見方が多い。
市場は物質から文化と言うか時間と言うか…新しい価値観への修正が始まっているのだろう。故にトヨタが沈みDENAが浮上する構図が続いている。この動きに未来都市建設が始まれば、相場は新しい流れを感じ浮上する可能性がある。その意味で重要なことは、3次補正の地方自治体の裁量権を加味した予算対策だね。今の所、宮城がリードしている印象を持っているが…村井さんは51歳で、僕より5歳若い。防衛大出の異色のイメージだが、就任後、財政難を理由に自らの退職金の廃止を決めるなど、行動力と公共性は楽しみな存在だ。3兆円と言う規模からして、1兆円は宮城に配られるだろうが…有効的な使い方が出来るかどうかに地方自治の将来がかかっており、非常に注目される。
この流れは新しく市場からコンセンサスを得ることが出来るかもしれないね。