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株式教室

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経営判断(2011年09月17日)

市場全体のリスクが減り株価が戻ってきましたが、力強い上げではなく内容は悪いものです。なかなか日本独自の成長路線を感じる相場にならないのは、日本の政策が的を得てないからですが…折角の震災をと言うチャレンジを、チャンスに変えないと日本は成長路線に向かうことが出来ずに、最後は円安で物価高の最悪の展開になり、公務員の大失業時代を迎えることになり、当然、年金も大きく減らされます。日本航空の破たんは年金生活者の負担も余儀なくされ、今回の東電もおそらく年金額を減らさせるのでしょう。まぁ、彼ら年金生活者は、他の一般企業から見れば優遇されていましたから仕方はないのでしょうが…同じ構図が、一般国民のレベルまで広がるのは時間の問題ですね。しかし世界は日本の金融危機時のイメージですが、日本は一度すべて綺麗にしていますから、チャンスなんですが…ね。

デフレ先進国の日本が、世界に示す先進国のデフレ脱却のスタイルは産業革命と同じく、技術革新による社会基盤の大変革なのですね。産業革命により鉄道が普及し、車の社会になりましたが、今回は「情報」がキーワードでしょう。ジャスミン革命の意味は情報なのです。ウィキリークスの情報漏えいはフェアな精神を求め、公平で公正な社会形成が求められているのでしょう。キャッシュレス社会の構築はキーワードの一つで、お財布携帯機能は日本が世界の誇れる機能です。キャッシュレスとGPSを結び付ける新社会整備の国は、税務署も警察も必要なくなる時代の効率化を大きく進めますね。更に原発を切っ掛けとしたエネルギーの見える化からの効率化は、資源の少ない日本ならではの取り組みになり、小さな話ではコンバーター機能を有した家電などは世界標準になります。

日本の成長を再加速化させるためには、新興国と同じ土壌で戦う意味がないことは公的資金投入を実施したが、台湾に移転するエルピーダを見ても分かりますし、米国のソリンドラを見ても明らかです。先進国内の社会基盤を未来型に変えることですね。幸い日本はITSの技術や交通渋滞を緩和するソフト技術は豊富にありますね。何故、これらの最先端の技術を伸ばさないのでしょう。車などやめてロボットを作って売りだす時代でしょう。アトムは時代のニーズですね。介護ロボットに力を入れ商業ペースに乗せればいいのです。力があるうちに始めないと世界のデファクト・スタンダードを握れませんね。

さて今日は株式教室に見合った話題をひとつ、下のグラフは新日鉄の売り上げや営業利益などを示したグラフです。2004年新日鉄の売り上げは2兆7493億円で営業利益は1429億円です。翌年、売り上げは3兆円に迫り2005年の売り上げは2兆9258億円なのですが営業利益は2244億円に膨らみます。そうして2006年は3兆3893億円に膨らみ営業利益は4299億円に膨らみます。この時にライブドア事件が起こり前後して新日鉄は株式の持ち合いを銀行とはじめ、折角解消したのに昔に戻ったのですね。三村さんは自己保全に走ったのでしょう。新日鉄への愛着が強かったのでしょうが…会社は上場した時点で公器ですね。あれほどの人物でも市場原理意識が芽生えてないのですね。
フジテレビの日枝さんも同じでしょう。

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兎も角、本題です。ところが現在の売り上げが3兆円を大きく超え4兆円もあるのに営業利益は1656億円に過ぎません。2004年の売り上げ2兆7493億円時とほぼ同じですね。何故でしょう? そうです。原材料費が高騰しているからですね。鉄を作るためには鉄鉱石と石炭が欠かせません。両方とも中国の影響もあり高騰していますね。その様子が下の鉄鉱石の価格推移です。2004年当時から見て鉄鉱石価格は4倍になっています。石炭は3倍弱ですね。つまり原料価格の上昇分を製品に転嫁できないのです。どうして転嫁できないのでしょう。国際競争力がないからでしょうか?

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仮に新日鉄が大リストラ時代を経て直ぐに、原材料を確保するために鉄鉱石鉱山や石炭の鉱山に投資しておれば、このギャップを埋めることが出来たはずです。1990年代後半の大規模なリストラ後の経営戦略が間違っていたのでしょうね。この時期、三菱商事は若干遅れていますが、石炭の鉱山に社運を賭けて投資しています。だから新日鉄にできない道理はないのです。経営判断が如何に難しいか…現在の低迷は高値で実施した株式持ち合いの減損会計を実施しているので、その影響も被っていますね。つまり三村さんは経営者としての資質を欠いていたのでしょう。経営判断ミスは好調な時に起こるのですね。「勝って兜の緒を締めよ」

さてこの程度は分かりますね。現在は鉄鋼収益の源泉である車を作る薄板鋼板は、間もなく炭素繊維などの代替え製品に時代の変遷で移る可能性は強いですね。新燃費規制は車の軽さを求めます。故にコストさえ克服できれば代替えは一気に進みます。新日鉄の戦略は難しいですね。円高で生産基地はどんどん海外移転していますが、新日鉄は簡単に高炉を建設できません。つまりものづくり大国を標榜する日本ですが「鉄は国家なり」なんていう認識は時代錯誤も甚だしいのでしょう。その甘言に乗せられ鉄鋼株を保ち合いした銀行の経営者も3流だと言うことですね。

このように結果論は誰にでも言えますが…現実の判断は難しいのです。現在は株価が上昇する材料は乏しく、悪材料は山のように並べられます。故にどうしてもネガティブポジションに傾いています。しかしキャッシュは唸るほどありますね。希望と言う光が見えればお金は正常な方向へ一気に流れ出します。定期金利が1%に満たないのに…3%以上に回る株式はゴロゴロしています。不思議な現象は続いています。

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