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チタンを例に…(2011年10月15日)
今日は少し専門的な解説をしましょう。実は僕も手探りの状態で分からないのですが…ただ僕が踏んだ手順を、皆さんは省くことが出来ますね。要するに勉強とは先人が積んだ教えで、先輩から学ぶことが出来れば、その分、試行錯誤の操作をする時間が省け、効率的な時間が使えると言うことです。
だんだん、日本も本物志向をするようになってきましたから、東大法学部なんかより経験を積んだ価値、キャリア(実績)に重きが置かれるでしょう。しかし…記憶力は、一つの能力の基準なので、馬鹿に教えるより、頭のいい一定の基準以上の人にレクチャーした方が楽だし効率が良いから、大企業は学閥を一つの選考基準として採用しているのでしょう。しかし人間で一番大切なのは「やる気」ですね。モチベーションが高い状態をどの程度、続けられるか? だから「好きこそものの上手なれ」との諺があるのでしょう。
ごたくは兎も角、かたるは金融危機以降、金融がやられると実体経済の回復が、非常に手間取ることを日本の事例で痛いほど学んでいます。加えて日本は捨てる文化を持ちません。狩猟民族ではなく、やり直す機会が仕組み上、構築されていませんね。だからなんとか頑張ろうとして無理をするから痛手が深くなります。その現象が2003年の金融危機で「みずほ」が10万円を割れ、53000円まで下がった現象ですね。この時に強引に、ミルトン・フリードマンの小さな政府の効率化論理を無理やり日本に導入したのが、小泉・竹中改革です。だから摩擦が生じ、2006年からの逆襲に遭いました。最高裁から経済界まで…すべての分野での揺り戻し政策です。
今も九州電力を巡り既得権勢力との戦いが続いていますね。東電の処理もそういう事が背景にあります。僕はどちらかと言えば、竹中改革もやり過ぎを主張し、論旨は理解できるし方向性は一緒だが、手順が違うと考えていました。同じことが、今回の枝野さんと電力業界で起こっていますね。2003年から2006年まで続き、巻き返しが起こり、そうして再び権力闘争が行われています。ただ「円高対応金融ファシリティー」の評価は低いですが、あの政策は素晴らしく…確実に企業間に定着し始めていますね。ユニクロのNYへの5番街進出など、ほんの一例です。ようやく日本企業はグローバル化に大きく動き始めています。トヨタはまだですが…だから前にトヨタと日産の比較を行ったのです。
しかし人間の感情は不思議なもので市場は大きな間違いをしています。我々は何度も、トヨタは日本、いや世界一の製造業だと言う誤った認識をインプットされたために、消去できないのですね。ルネサンスエレクもそうですね。企業経営者自らが改革できないのです。世界シェアNO1でもそうなのです。一つを解説すると…派生が長くなっていけません。
今日は最近、拘っているチタンの話です。チタンの解説は省きます。ネット上で探せばいくらでも転がっていますから…。
先ほどの話ですが、全体相場が盛り上がるためにはGDPが世界第二位の中国の政策転換が欠かせません。しかし残念ながら中国のCPIは6.1%と、予想通りの数字で下がらず、年内の転換が微妙になってきました。曇り相場の、晴れ間を狙え!と言う意味は、全体の相場は駄目だと言うことです。先ほど少し解説しましたが、日本は確実に変化しており、僕には長期波動に入ったと言う確信が育ち始めていますが、多くの人はまだ感じないでしょう。この長期軸ではなく、短期軸の注目点は、米国より中国です。米国は依然世界一のGDPを誇り、消費も世界一ですが…金融が痛んでおり完全回復まで、まだ時間がかかります。GSEの住宅関連処理の目途がつくまで、正常な歩みを続けるのは無理ですね。だからデッカプリングが世界を救うしかないが、欧州危機から新興国からの資金の引き上げがあり難しい。
故に晴れ間を狙うゲリラ相場なのですね。
そこで業績推移を考えるとチタンしかないのですね。航空機市場は受注残が非常に多く将来性も明るいし、更に増産の方向性にあります。石油価格は高止まり、WTIは指標じゃないですよ、北海ブレンドです。日本はドバイですが…海水の淡水化プラントも好調な筈ですね。ただ問題は為替だけですね。そこで10月初旬に終了したチタンの価格交渉が注目されますが、僕には調べる気もないし会社側も教えてくれるかどうか…。アナリストなら既にレポートを出している筈ですね。出てないと言うことは、証券界が3流の集まりだと言うことです。今、最も注目される業界の筈ですね。
日刊工業新聞のインタビューで東邦チタンの社長は、3月まで50%で4月から75%に上げ、下期には100%操業、来春に130%操業と増産予想を述べていましたね。あとは価格だけです。チタンの相場は金融危機の影響で低迷しており30ドル前後だったのが、7ドル台まで下げていましたが、現在は回復過程で12ドル台に上がってきています。ところが株価は既にかなり高評価していますね。東邦チタンなどは赤字表明したばかり、大阪チタンにしても株価はPER40倍近い評価です。この株価は正当な評価かどうか?
だから実験なのですね。環境は素晴らしいし業績面の裏付けも問題ないが、市場評価は割高じゃないかと言う不安が、常に存在します。だから株価が半値になるほど、今回は急落したのです。しかし多くの市況ものは現在高値圏で金も石油も高い位置ですが、これから需要期を迎えるチタンの相場は下値圏です。世界に良質のチタンを供給できるのは日本だけ。ここに外人が魅了される理由があります。何でもそうですが…製造業にとって操業率は非常に重要なファクターです。設備投資負担があり概ね80%程度の操業度を維持できないと赤字になります。加えて円高なので…。
そこで日刊鉄鋼新聞に次のような記述を見つけたので…この裏付けを取る為に調べたのですね。「スポンジチタン、輸出が急増。航空機向けが回復
財務省の貿易統計によると、今年1~7月累計のスポンジチタン輸出量は前年同期比22・2%増の6276トンとなった。単月では、7月に前月比36・5%増の1135トンと2カ月連続で1100トン超の高水準を持続した。直近では、06年のスポンジチタン輸出量が1万2千トン超の過去最高を記録しているが、6、7月とも年率換算でこれを上回る急増となった。」となっていました。
だから財務省の貿易統計に飛んでHSコードを調べたのです。でも数字が違うのですね。この記事と僕の調べた内容と…どうしてかな? だからHSコードを間違えたかと考え、再び詳細に見ると…この解説(http://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/data/81r.pdf)に行き当たり、やはり僕は間違ってないのかな?と感じています。財務省の統計で調べた数字が下の表です。国別の輸出量も分かるのです。ただ価格交渉は1割より上の水準らしいですね。2割に満たないらしい。価格交渉は不満ですが、操業率が、今までは50%だったのが4―9月期は75%で、10月以降が100%とコメントされており業績の変化率は劇的な筈です。

こんな事が分かっていたから、ずっとチタンを言い続け、4800円の大阪チタンを買い、そうして損をして投げていたわけです。その相場が6連騰で反転したわけです。僕がチタンに行く過程はB787の就航です。ようやく始まった生産ですね。増産投資をしてジャムコも赤字を継続していました。でも東レは他の分野も強く堅調ですね。一つの発言が他の分野に影響し、一つの記事の裏付けを取る。でも確かめられなかったので、本当は財務省に電話取材し、メーカーに問い合わせるのが正しいレポートを書くやり方でしょうね。
後はタイミングの問題ですね。ただ市場が「効率的市場仮説」を裏付けているのかどうか明らかではありません。つまり方向性が株価に反応するとは考えられないのです。欧州危機でギリシャ問題が再熱し発火する。全体のシステマチックリスクが増大し、どんなに個別の材料があっても半値に水準訂正を強いられました。でもLTEのアンリツは高値を維持しています。LTEも確かに良いが、所詮、測定器の地味な分野です。この辺の評価が問題になり、加えて市場全体の物色の流れも問題になります。
中国が政策転換すれば、こんな小さな株より他が良いでしょうね。何故なら、大きなお金が動くからです。今は曇りの合い間を狙った青空相場、つまりゲリラ戦。だから007も物色の対象になると考えたのですね。そうして僕が金曜日に玉を一旦外したのは、市場がこのアイディアに気付き始めたからです。市場から評価を受けると言うことが、認知されつつある訳です。先ほどのストリーが…。故に株式教室で書いたのですね。これで充分に伝わっているかどうか分かりませんが、ヒントにはなるでしょう。しかし株は一筋縄ではいきません。ましてや変動率の高い銘柄です。DENAは素晴らしい会社だが、今は完全に調整していますね。まだ調整過程でしょう。世間から認知を受けるとフルイを入れるのが筋ですね。
ただこの筋論が最近は狂っているから見えにくいのです。お金があれば問題ないのですよ。株の世界は資金力の世界なのです。無限にある手段を持っている日銀が負けている現状はおかしいね。昨年の10月に政策転換し資産デフレ対策を実施したのですから…。相場解説は兎も角、今日は試行錯誤の一例を掲げました。
787の就航を見て、世界情勢を考えればBRICsは人口が多く交通量が増大します。当然、航空機の需要が増えることはあっても減りませんよ。しかし世界で増産できるところは日本しかない。株屋なら絶対に見逃さない現象ですね。市況を見れば(これは参考値)30ドルまで大きく届かないと言うことは…値上がりの余地が大きいと言うことですね。3倍になると考えても不思議ではない。ピーク時の話ですよ。のり代があるかどうかなのです。デッカプリングは航空機の需要に重なるのです。
サルにも分かる論理ですね。
でも上がったから売ったのですが、また下がれば買いますよ。今日はチタンで解説しましたがエレクにも同じ論理があり、エルピーダに注目しているのもデカップリングの動きに連動するのですね。スマートフォンは水晶発振器の需要を押し上げ、おそらくWIFIの技術を必要とするでしょう。故に007と村田の提携の行方も注目されるのです。でも赤字ですね。先日、僕はマツダを空売りし、持ち上げられ損切りしましたが、やはり為替問題で赤字が確定し売られています。しかしマツダは素晴らしい会社なのですね。だから条件が変われば、仕掛け人が存在しますから、大きく跳ねる可能性を秘めています。でも今は駄目かな?
9月の米国の自動車販売、同じく中国も久しぶりの164万台の数字で好調ですが、此方は駆け込み需要ですね。材料を吟味する必要性がある。この吟味と相場観とテクニックの3つが揃わないと儲かりませんね。頭の中身を書くのは難しい。どの程度、理解されたかどうか…今日は長くなりましたので、もうやめにします。株を手掛ける裏には、単にチャートだけの話しでなく、沢山の要素が存在すると言うことです。