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市場原理主義(2011年11月26日)
本日の一面も欧州問題ですか…という事は、あの報道は偽物でしょうね。予算権への介入やユーロ共同債の話です。昨日の続きですが、「効率的市場仮説」と言うのは隠れた材料も株価に織り込まれていると言う、株価は何でも知っていると言う仮説ですね。だから市場では「材料出尽くし」と言う言葉があります。あるいは「噂で買って事実で売れ」と言う格言みたいなものも存在します。
一方、私は昨日違うアプローチをしました。資本主義が栄えた原点は、市場原理にあると言う市場原理主義の話です。効率的な資金配分を機能させるために市場が存在すると言う話です。何をするにもお金が必要で優秀な経営者に資金を預けようとする原理ですね。国債金利は安全ですが1%です。リスクはありますが企業経営者に委託すればROEが10%以上の企業がゴロゴロ存在します。
本来は裁定が働き資金が動くのですね。ところが清貧思想の跋扈でコンプライアンスの誤った見方が定着し市場活動を歪め、ブルドック問題やオリンパスのような企業統治問題が、日本の市場を殺しました。故に野村証券の株価は凋落しています。
この効率的市場仮説の市場と現実社会の情報交換が株価の変化になって現れ、今回は国債価格の変化ですが、市場と現実社会が結び付いている現象の一つです。何も現実社会だけが市場を動かすわけじゃないのですね。今回は逆のケースです。市場参加者は常に制度の歪みを探しています。その歪みである穴を見つけると、その問題点を是正させようと市場を動かします。歪められた現実は効率的な資金配分を歪めるから、それを是正させようと混乱を起こすわけです。つまり市場価格が現実を変えるのですね。常に交互に情報を交換し価格と現実が交錯し合うのが市場原理主義ですね。このような現象のお蔭で、効率的な資金配分が実現され、人類は進歩を促進させるのです。
ブラック・ショールズ以来、オプションの原理が解明され、金融デリバティブ機能が高まり効率的な資金配分を促進させるためにスピード違反を犯したのが、サブプライムからCDSの金融危機でした。しかしこのスピード違反がBRICsの躍進を側面支援し、人類の成長の幅を広げました。市場経済に新興国が参加してきましたね。その為に先進国だけでできていたルールを変える必要が出てきたので、日本の失われた時代や欧州危機が生まれています。日本はようやく福島の原発汚染地の政府による一括買い上げが話題になり始めました。だから私は東電を1兆円程度の罰則で免責にしろと述べたのです。故に東電を買ったのですね。しかし政府の選択は責任逃れでした。だから失われた時代は続き、株価は低迷しています。
正しい選択をすれば、日本株は何時でも上昇できます。既に技術も確立され国民もある程度、現実が分かり始めています。年金の3号年金問題など、予算もそうですが、政権が交代したおかげで、いろんな点で問題点が見えてきましたね。自民党は偉そうに言っていますが、みんな彼らが失敗した選択を繰り返してきたから、今の失われた時代の現実があるのです。さて話を戻しましょう。市場は現実を正しい方向に促すのです。その現象がアイルランド、イギリス、ギリシャ、イタリア、スペインと連鎖しています。冒頭で書いたように、日経新聞が報道した予算権への介入やユーロ共同債の構想が浮上したと言っていましたが、あの報道は嘘だと言ったのはイタリアの国債利回りが上がっているからです。
しかしやはり構想はあるのでしょうね。最近、イギリス国債とドイツ国債の利回りの逆転が起きています。何度も言いますが欧州問題でユーロが安くなるのは輸出競争力の強いドイツが有利なのです。故にドイツの輸出依存度は30%を大きく超えています。勝手な振舞いですね。中国は20%台の筈です。日本は11%ですよ。世界の投資家はこの歪みの解消に賭けますね。具体的にはイタリア国債を買ってドイツ国債を売ります。これが最もアクティブな市場原理に沿った投資ですね。
だって通貨だけでなく財政も一体化しないと持ちませんね。ギリシャやイタリアが離脱するか?EUの組織を維持するなら予算権などの財政問題も統一しないとなりません。だから市場にその兆候が出てきたのかもしれません。ドイツ国債の利回りが上がれば反対しているドイツはいずれ従います。2.2%前後の利回りが4%、5%と上昇しイタリアは落ち着くのでしょう。イタリアは輸出競争力がないわけじゃありません。ギリシャとは違いますね。まぁ、どのような選択をするか分かりませんが、日本のように間違いだらけの選択を繰り返せば、日本同様に失われた時代に突入しますね。
これが効率的市場仮説の市場原理主義の考え方です。市場が実体経済を動かしている現象が欧州危機なのですね。何も現実社会だけが市場を動かしている訳だけじゃありません。カタル投資はハイリスクなので、正しいと思う政策に大きく投資しますが、市場、現実社会の選択が間違っていれば、当然、投資成果は上がらず惨敗します。常にハイリスクを心がけ可能性の高い投資を心がけているつもりですが…なかなか現実社会はカタルの思うような選択をしないのですね。200円台の東電は本来なら年金ファンドが買い、長期投資しても良いですね。配当を実施しないからこの株価なのでしょうが、どの程度の損失か分かりませんが、何れ時間の経過で回復する割引債価格なのでしょう。
欧州問題も正しい選択を実施して欲しいね。さて本日は昨日の効率的市場仮説から市場原理主義をさらに考えてみました。だから皆さんもドイツ国債の利回り推移を見守っていてください。ここでの中規模なハイリスク投資なら、イタリア国債を買うことですね。7%を超える水準は10年間で2倍になる投資です。日本国債よりずっと効率的ですが、馬鹿な日本の機関投資家は逆に売っていますね。本当に市場原理が分かっているのでしょうか?日本国債を売りイタリア国債を買うなら分かりますね。いずれROEの高い日本株は上昇します。
下のグラフは一足先に緊縮財政を実施したイギリス国債とドイツ国債のチャートです。24日にドイツ国債の利回りが、イギリス国債を一時的に上回りました。昨日は再び戻っています。イタリア国債は7.26%ですね。グラフは24日現在のものです。
