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日銀短観より(2011年12月10日)

最近、日本経済の現状レポートを作成しているので、今の日本の状態をみつめ直す機会が増えています。例えば日本の失われた時代を象徴する資料の一つを掲示します。日銀短観には貸し出し態度と言うアンケート調査がありますが、大企業、中堅企業、中小企業へのアンケートを実施しています。大企業は概ね問題はありませんが、問題は中小企業です。下のグラフを見てください。

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どうでしょう。一貫して中小企業への貸し出し状態は厳しいと答えている人の割合が、一貫して多いマイナス状態が定着しています。2004年から2007年は改善されています。バブル崩壊による貸し渋りや貸しはがしが問題になったのは1998年の時期ですね。しかしITバブル崩壊からの落ち込みは小さく、外国資本の力で景気は復活します。

この時は欧米の銀行は金融デリバティブ機能を拡大させ企業買収を盛んにします。その恩恵を日本も受けて景気が浮揚します。代表的な事例は2006年の3月にソフトバンクがボーダフォンを買収する事例でしょう。小が大を飲みこむ効率化経営が絶頂期を迎えます。このような背景に怯え2006年に新日鉄は銀行との間に、折角、解消した株式持ち合いを復活させるのです。何も企業統治はオリンパスだけの問題ではないのです。非効率な企業の経営を変えることで、効率化が加速すると言う金融経済が実体経済を上回る金融バブルの時期ですね。間もなく、行き過ぎた金融デリバティブの反省が起こります。米国ではサブプライム・ショックからCDSの崩壊ですね。

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貸し出し態度だけ見ていると実感できませんが、同じく短観には資金繰りはどうかと言う項目があります。その中で中小企業は一貫して資金繰りは苦しいと答える人が多いですね。バブル崩壊以降、一回も改善されていません。これが「失われた時代」の現状です。昨日、掲げましたが可処分所得が増えないとこの感覚は変わりません。名目成長率の考え方がいかに大切か?資産価格の状態がいかに大切か? 日々の生活の他に潤いがないと駄目なのですね。日々の生活は給料所得で賄えますが、そんなものは消化するだけの食べ物と一緒です。

人間生活での資産とは土地や家であり株式ですね。土地と株は人間生活の二大資産なのです。資産デフレが改善されない限り潤いはないのです。「今日の市況」と合わせてみると、よく分かると思います。重視するのは名目成長率なのです。その為には資産デフレを止める政策が必要なのですよ。簡単なんですよ。株の損失を所得税から控除できる法律が生まれれば、所得のある人は冒険しますね。上手く行けば大儲けできます。合わせてキャピタルゲイン税は10%なら大儲けのチャンスが生まれますね。投資に失敗しても所得税が減りますね。チャレンジ精神が生まれますよ。合わせて日銀は毎月、理論価格までETFを継続的に買うのです。下値ではないですよ。上値でも毎月吸い上げます。土地に対する売却税も軽減させます。投機を奨励すればいい。土地担保融資を復活させればいいですね。眠っている土地資産が金融経済を拡大させ、実体経済への投資活動は増えますね。

何故、政策の変更で豊かになるか?
最初に掲げた、いや、資金繰りのグラフでも良いですね。バブル崩壊による日本経済の調整は1998年から1999年に終わっています。その後IT革命でITバブルが起こります。しかし再び二番底を入れますね。そうしてみずほは58円を付けます。この後欧米金融の力で日本経済は小泉・竹中改革の評価もあり復活しますが、ブルドックソースの問題や先ほどの新日鉄の株式持ち合いなどの揺り戻しが起こります。加えて欧米では金融危機が起こり、景気後退に陥りました。しかし中国の大規模な財政出動などで金融危機の回復が図られますが、今度はその財政出動の咎めで欧州危機に起こっています。

つまり1989年のバブル崩壊からの整理に10年かかり、ITバブルのIT革命で景気は復活しますが、行き過ぎた金融デリバティブの拡大が咎められ、金融危機が起こります。今はその金融危機の二番底である財政状態を咎めて欧州危機が起こっていますが、おそらく大きな落ち込みにならずに新しい景気浮上が起こりますね。世界人口は70億人以上に膨らみ世界は成長しているのです。今日は日銀短観の調査からみた経済状態を考えてみました。グラフの数字推移は良く景気実態を示しています。株価は最低状態ですが、資金繰りなどの実体経済を見れば恐れる事はなく、日本は意外に強いな。と実感できると思います。最後にROEの高い企業を掲げておきます。

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