« 本物の過剰流動性相場なのか? | 最新の記事 | 金融相場かな? »
記事の解釈の仕方(2012年03月03日)
株価を決めるものは、人間の心でしょう。
先ほどNHKのテレビでポルトガルの「ファド」(Fado=運命) の放送をしていました。なんでもアマリア・ロドリゲスと言う有名な人の「カモメ」をテーマにしていました。魂で歌うファッドか…。
最近のニュースで注目されるのは、金融危機の影響から倒産を強いられたGMがプジョーに出資すると言うニュースですね。金融機関とは違いかなり早い立直りです。同時にもう一つ驚いたのは、日本では考えられない市場経済の仕組みでしょう。普通ならあり得ません。2009年に破たんするのですから、僅か3年で他の企業に出資するなんて…市場経済と言うのは再生を促進させ、やり直しができると言う事。そうして日本人の感覚にないのが、目一杯に与えられた原資を使って経営者は一所懸命に頑張ると言う姿勢の違いですね。オリンパスも大王製紙も企業統治のあり方を問われました。フジテレビの買収事件も新日鉄の株式持ち合いも、全て日本式の経営結果の姿です。市場原理の世界では与えられた原資を有効に使うのが経営者の務めですが、日本の経営者は保身に傾いてないでしょうか? 果敢に挑戦を繰り返すGMの姿は、市場経済下の経営の仕方を改めて考えさせられました。
此方のニュースの方が重さは大きいかな?
ECBの資金供給の規模を巡る話ですね。当初は100兆円、直近の予想は50兆円。現実は57兆円でした。私は20~30兆円じゃないか?とも考えていました。信用力が問われないのなら、1%での多額の調達はリスクがなく利ザヤを稼げます。短期債に投じれば利ザヤが抜けますからね。しかし逆説的に言えば、それだけ欧州の金融機関は痛んでいるとも言えます。本来は中央銀行の力を借りなくても自力で利益を捻出するのが普通ですね。中央銀の力を借りると言うことは、それだけ体力がないとも捉えられます。ドイツが原則論を振り回すのはモラルハザードの問題でしょう。EUの価値を高めるには自制が必要です。
円高が最近まで定着していたのは、日銀がFRBやECBのように多額の支援をしてないからとも捉えられますね。しかしその割に日本の銀行株の水準は低評価です。その背景はおそらく総資産経営なのでROEが低いからですね。無駄な資産を多く持っているからです。この点はGMの経営手法と違う点ですね。店舗などは借りても収益を上がられるはずですね。もしそれで利益率が下がるなら店舗は売るべきでしょう。これがROEの考え方です。しかし20年以上に及ぶ資産デフレを減損会計で処理してきた経営者は失格でしょう。本当なら早めに売り、政策の転換で自前の物件にするのが筋ですね。日本の銀行が総資産経営をしているのは自己資本比率が低く資産規模が大きいことから分かります。
しかし日銀が本当に政策を転換し、世界の中央銀行の意向を受けるなら、デフレからインフレへ日本は転換したなら、今度は総資産経営が生きてきます。更に円高から円安の流れにある筈です。この仮説が過剰流動性相場に繋がっています。しかし…この3か月間、スター株らしい動きを見せるものはなく、先物から全体相場が上昇しているようにも感じますね。世界の中央銀行が100兆円、100兆円とベースマネーを投じているわけで、信用乗数効果は、少なく見積もっても5倍はくだらないでしょう。だから日経平均株価も上昇し、11月末の250兆円から2月は287兆円と37兆円も膨らみました。この現象は世界の中央銀行による流動性の供給の影響です。今は僅かな金額ですが…金融政策の効果は時間差があります。そうしてバランスが、一度、変化すると加速するのです。
だからグラフからも分かるように…本物の相場ならこんなものではありません。それはこれからの日本の政策にもよるわけです。1983年からの相場は1985年にプラザ合意があり、その対応に日銀が致命的な政策ミスを犯した結果、バブルが発生しました。1983年からの動きは5倍ですね。しかし2003年からの動きは2倍に過ぎません。今回は先進国の技術革新と言う産業革命に匹敵する情報化革命から未来都市の夢がありますね。最後はロボットが一般家庭に登場するかもしれません。一回目の過剰流動性は1983年から1989年と6年間続きました。2回目は2003年から2007年ですが実質的には2006年でしょう。およそ半分の3年でした。今回はどうでしょうかね?
果たして、本当にデフレからインフレへ転換し、先進国の成長が約束される情報化革命から未来都市建設の相場に移行するのでしょうか? 夢は大きく、可能性のあるシナリオの一つなのです。
