気になる動き(2012年03月17日)
世界中の株式相場はバラ色に見え始めています。この要因の一つは欧州危機の対応の為にECBが100兆円の資金供給をしたことが一番で、二番目が米国の景気回復ですね。これはFRBの批判のあったQE2並びに不胎化QE3と言う幻想が人間心理に反映し、蓄積された企業の内部留保が投資に向かい始めました。つまり流動性の罠からの脱出に成功しつつあるのですね。日本では過去のバブルにおいて、この大切な時期に清貧思想が蔓延しさらに委縮したために、この流動性の罠の状態から抜け出せずに推移しました。
しかし一見すると、流動性の罠を抜け出したように見えますが…NY大学のトマス・フィリッポン経済学教授は、金融部門のGDP割合は7.5%が適正水準と考えていると言い現在は8.5%程度なのだと言う認識は必要ですね。失われた損失は簡単に取り戻せませんし時間がかかるのです。最近ではギリシャからイタリアに生きましたがスペインが再び話題に上るように…金融市場は常に上下しますね。

最近の悪材料は、VIX指数の5年ぶりの低水準の低下と言う事でしょうか?完全に警戒感が薄れています。確かに10週連続の陽線は完全な金融相場に見えますが…目先のアヤにも警戒すべきかもしれません。やはり注目はムーディーズがレーティングを引き下げた野村証券でしょう。信用を重んじる金融会社にとって致命的な格下げ問題は日経新聞がいくら好意的に捉えても…広範囲に影響を与えます。まずだんだん有力な顧客は逃げますね。だって倒産騒ぎのゴタゴタに巻き込まれたくありません。何しろ劣後債を発行して流動性を補ったのです。まだ野村土地建物、野村総研などと売る物はいくらでもありますから、直ぐにどうのこうの…と言う話しではありませんが、今の相場の力を見る上の試金石の銘柄の一つですね。

もう一つ気になる材料は、先日のNY市場の200ドルを超す急落ですね。3月6日の動きです。34億台だった出来高が42億台に膨らみ売られましたが、直ぐにFRBは反応し不胎化QEの話がWSJに掲載されたのは記憶に新しいですね。機敏な対応の後にFRBは過酷な条件下でも自己資本比率は低下しないとストレステストを発表しました。シティーだけが僅かに基準を満たさなかっただけです。昨日のNY市場の動きは微妙な動きですね。株価は小幅安ですが、出来高が51億台に膨らんでいます。6日の200ドルを超える急落と合わせると…VIX指数の動きも、ポジションの軽減化を促す内容に見えます。
このところ日経225のRSI80台の列挙件数は100を割り込み一時の勢いを失っています。当たり前の話ですが、どの指数も一服感が漂っていますから、当然、調整はあるのでしょう。どんな形になるかだけの話しでしょうが…消費税法案の動きも微妙な段階で大きくポジションを持つ場面ではないでしょうね。株の相場は仕手化の材料株の物色になるのではないかと推測しています。