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時代の流れを見極めて…(2012年04月21日)

1989年に日本のバブルが崩壊し、信用創造のコントロールが不可能になる現実に直面し我が国の金融機関は、明治以来、蓄えてきた長い期間の蓄積を、全てふっ飛ばし清算してきました。この政策の失敗は、元日銀総裁の澄田さんや先日亡くなられた三重野さんに責任があるのではないかと考えています。勿論、金融政策だけでは難しいので、同時に元総理の宮澤さんの政策目標の所得の5倍で家が買えるようにするために、地価の抑制策を採用したことにも責任はあります。

考えてください。円高阻止の為に低金利政策を採用し、大量の資金供給をして無秩序に銀行貸し出し競争を刺激しておき、サブプライムローンなんてもんじゃないのです。高騰した地価価格の120%貸しなどを、平気でしていたのです。この背景が土地は下がらないと言う「土地神話」。これを支えていたのが、相続税価格などの二面性のある土地価格です。今では時価に税制面も近づいてきましたが、むかしは相続税も固定資産税も時価が基準になっている訳じゃなかったのです。燃え上がる炎の最中に、採用した緊縮政策を三重野さんと宮沢さんは採用したわけですね。フルスピードで走っているのに…急ブレーキを踏んだわけで、乗っていた乗客はみんな振り落とされました。日本の成長を支えた一つの原点は地価と言う資産なのですね。

当然、銀行は膨大な不良債権を抱え、ようやく処理が付いたのが2003年の話しです。この時も国家責任とはせずに、東電と同じ方式で民間企業に国の失敗を押し付けました。そのとばっちりを食ったのが三菱に吸収されたUFJ銀行でしょう。昨日、私は沢井製薬の話を持ち出しました。銘柄選別は非常に大切ですが、どのようにして選ぶか? その一例を示しました。確かに日本全体はデフレで沈んでおり、全体が浮上する時代ではありません。その理由は様々ありますが、加工貿易による大量生産時代の考え方は古くなり、構造改革が必要なのですね。しかし、なかなか日本は過去の成功体験を引きずっており変われませんでした。

私が間違えた失敗ですね。2003年に本当に脱出できると考えていましたが、小泉さんの後が続きませんでした。不幸にもヘッジファンドの影に怯え、2006年にホリエモンが潰され、折口さんも同じ運命を歩みました。権力争いは恐いな。(話は変わりますが、中国の薄熙来氏も同じ絵図にみえますね。)この当時、新日鉄の三村さんは、銀行と再び、株式の持ち合いを再開します。折角、時間をかけて時代を進めてきたのに…過去の亡霊が再び出現し失われた時代を長引かせました。「鉄は国家なり」インフラ整備が終わった先進国で、「ものづくり大国」などと言う時代遅れのキャッチフレーズを付けて政策を先導し、メディアも国民を誤って煽りましたね。しかし…エルピーダは、結局、競争に敗れシャープは台湾企業の軍門に下り、パナソニックやソニーは変身をなかなかできませんね。

でもこの失われた時代で成長している企業として、沢井を紹介したのは銘柄選別のヒントが隠されているからですね。昔、ベンチャーリンクの松本さんにお会いし、彼はこう話していました。政策が変化する潮目にはチャンスがある。当時は保険の販売が解禁になり彼はこれを利用しようとしていました。保険販売代理店のフランチャイズです。私は、金融は時間がかかるし無駄な投資をせずに、カーブスを安定的に軌道に乗せるべきだと主張したのを覚えています。でも彼の発想にも一理あり、沢井製薬の成功はその一例ですね。規制緩和はチャンスなのですね。時代の流れと規制緩和…今は農業にもその芽があります。

また前置きが長くなりましたが…銘柄選抜の極意と言うか、時代の流れを読む重要さを伝えたいのです。失われた時代の中でも沢井製薬は上がり続けています。先日、お話しした僕の好きな企業の一つピジョンも、その口ですね。一見すると少子高齢化が進み、赤ちゃん用品をメインに生産するピジョンが成長する筈はないと思い調べたら、早くから中国に進出しており資生堂と同じで中国でブランドを確立して販売店網を築いていたのです。今はインドにも拠点を設けましたね。たしか…。国内がダメだから、早めに米国や中国で足掛かりを築いたのです。

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アップルはパソコン販売だけに拘っておれば、世界一の企業に成長は出来ませんでした。早めに携帯端末に開発を絞ったので成功したのでしょう。私は、本当はソニーに期待していました。何故ならゲームや映画部門を持っており、ソフトを提供できる足掛かりがあるからです。だからテレビを売るのではなく、ネットテレビのソフト資産を売る会社に変貌すれば、まだまだ飛躍の機会があると思いますが…果たして平井さんはこのアイディアを採用するでしょうかね? 技術に溺れるようでは、出井さんと同じ失敗を繰り返すだけでしょう。出井さんの発想は良かったのですが、時代の流れを読み間違いましたね。株式投資と同じで難しいですね。早すぎても遅すぎても駄目なのです。

新聞に東西回廊などのインフレ事業の話が載っておりODAだそうです。どうして民間資本を使わないのでしょう。ここに我が国の官僚組織の限界がありますね。日本政策銀行などを使い盛んにアジア展開を企てていますが…ある程度は方向性が合えばものになるでしょうが…エルピーダの反省がありませんね。浪江町の都市移転計画を三井不動産などと共同で民間資本を使い未来都市建設をすればいいのですね。今の金利情勢なら復興国債の金利分ぐらいは国民の寄付で集まるでしょう。ここにも相場の芽がありそうです。

スタートTにも注目しています。昨年、ソフトバンクと共同で立ち上げたアジア部門に…期待しているのです。発想はグリーと同じです。僕はソフトバンクに期待していましたがまだ早いようですね。ソフトバンクは国内競争に勝つ為に財政面でゆとりが出てきたので大量の設備投資をしている最中で…資金面で新たな挑戦は難しいでしょう。太陽電池なんかは…まだ資金的な段階ではありませんね。あんな事より、アジアで情報網の覇権を握って欲しかったのです。アップルと同じことを通信会社は容易にできますね。

時代の流れの読みが、大切な一端が理解できましたか?
国内製造業ではファナックに注目ですね。心臓部の制御装置であるNCの開発が源です。ロボットがロボットを生産するわけで、先進国と新興国の人件費のハンディがありません。しかし日本は電力料金や税金、設備の償却期間など…色んな制約があり、いくら人件費の構造が低くても、やはりどうしても開発要員などは必要で労働コストが上がれば、国内に置く意味がなくなりますね。日産はどうするのでしょうね。日産は高級車ブランド、インフィニティのグローバル本社機能を新たに香港に設置することを発表したのですね。これは一つの実験ではないかと考えています。まぁ、この話は長くなるし、またの機会にして…。

取りとめのない話が続きましたが…規制緩和や時代の流れが企業を育てるのですね。逆風下で正論を貫き時代に逆らって生きてきたので…デフレ環境の証券市場で、買いだけで臨む馬鹿は私だけでたくさんです。やはり時代の流れを見極め流れに乗る方が楽で成功する確率は非常に高いですね。難しい局面で無理して買う銘柄を探す必要はないのですね。既に現場を離れた訳で、様子を見ればいい訳なのでしょう。新しい流れを探しながら…潮目を的確なタイミングで捉えたいなぁ~。