未来かたるが開催!みんなによく分かる

株式教室

« 機は熟している | 最新の記事 | 揃い踏み »

市場の焦点(2012年08月04日)

市場には様々な焦点がありそれぞれに見所があります。一つは日本村社会の象徴の「規制の虜」インサーダー事件に絡み金融庁は野村証券に対し、業務停止命令ではなく業務改善命令だったですね。原発事故報告で明らかになった業界と規制当局の馴れあいを示す規制の虜現象は至る所にあります。一方、情報を利用した二次的な役割のジャパン社は登録を取り消され実質的な倒産です。フェアな基準がない、裁量行政は今に始まったことではありませんが、権力者は許され弱小の新興は潰される日本村社会のこの構造が、世界競争に負ける社会環境を生んでいるのではないかと、フェア重視の米国の仕組みと比べると考えさせられるわけです。

もう一つは話題になっているのは「ドラギの空手形」の話ですね。
昨日の日経新聞夕刊のウォール街ラウンドアップに西村さんが上手く状況を描いていましたね。「ボールは誰に渡ったのか?」今後の市場の焦点で面白いところですね。更に雇用統計を受け、失業率は上がりましたが、雇用者数は増加しました。家庭側と雇用者側の集計に違いで異なる結果が生まれましたが、これを受けNY市場は大幅高しました。完全に日本化現象に陥っていない米国との印象を受けます。まだ市場原理が働いているようです。理由は益利回りの考え方の違いで、株が買われているのでしょう。JNJはどの社債より配当利回りが高いと言う理由でPER21.9の高いと思われる株価水準を維持しています。この理屈なら邦銀株の方がずっと割安ですね。

まぁ、数々の焦点はありますが、今日のカタルの選択は、揺れる市場の的であるシャープの話を探ります。シャープは数年前まで世界トップの液晶メーカーで最先端を走っていたのです。ところが経営戦略の失敗で競争に敗れました。もともと薄利多売の過酷な競争環境に挑んだのが間違いだと思っています。「ものづくり大国、日本!」の掛け声は「鉄は国家なり」と同等の時代錯誤した虚しさが残る言葉ですね。政策官僚は一度、新聞配達の世界を見てみればいいのです。時給500円程度の過酷な労働環境の中で応募者は殺到している現実があります。東京都の最低保証賃金は、たしか837円の筈ですが…シャープが希望退職者を募集し、ルネサスが大量の失業者を創りだす現実を日銀総裁は円高容認の発言で笑っているのです。末端の労働環境は厳しいものですね。

この背景は明らかです。政策の失敗を国民に押し付けているのですね。何度も言いますが間違ったメディアの報道により国民は誘導されています。韓国では税金を投入して電力料金を下げて産業育成を図っています。その為にサムソンは最高利益です。まぁ、語弊はありますよ。こんな書き方をすればね。極端な話、減価償却基準も違うし、メーカーを保護するか、絞りたてるかの違いですね。ここにきて大企業が続々と株価下落に見舞われています。ソニーにパナソニック…嘗ての名門企業が内部留保を切り崩し、体力勝負を余儀なくされているわけですね。極端な解説ですが、ハンデ戦で負け続けているのに更に重量を課すのが政策でしょうかね?

国家戦略が明確なら別に文句は言いません。ただ明らかに視界不良な状態を迷走していましたね。民主党政治は官僚の肥大化を念頭に置いているように感じますね。選挙に勝った当初の「国民生活第一」と言うキャッチフレーズは何処かに飛んで官僚政治の復権です。このやり方で失敗したのですね。だから失われた時代に陥ったのです。それを再びやり直しています。消費税法案の通過を目前にして、早くも前提条件の名目成長率の目標を反故にする発言が、民主党の藤井裕久税制調査会長から飛び出しています。「成長と消費税を関連付けるのは間違いだ」と述べていますね。淡い望みの「カタルの仮説A(消費税)」を覆す発言です。

この仮説は優秀な官僚は、理由があって政策を転換しない。その理由は「消費税率の引き上げ」デフレからの脱却は難しい事ではありません。それを実行しないのは消費税の引き上げで、引き上げが確定されれば名目の世界に戻ると読んだのがカタルの仮説です。しかし大蔵官僚出身の藤井氏の発言をみると、逃げの布石を早くも打ち始めています。呆れる官僚政策と言うか、官僚意識ですね。太平洋戦争に敗退しても生き延びる為に、決断を遅らせたミッドウェイやガダルカナル島の戦いを見ているようです。

何故、カタルの仮説が生まれたかと言えば、パナソニックの凋落など一流企業の凋落を見てデフレ政策を転換する頃間と考えています。消費税が引き上がれば、今度は名目GDPが膨らめば税収が自然に増えますから、政策官僚にとっても使えるお金が増えるので、真剣に政策転換を図ると考えた訳です。実に簡単なのです。地価と株価を上げれば消費は増えてインフレ型の経済に向かいます。折しも国債価格は空前の馬鹿高値、利益を成長の原動力に繋げる好環境ですね。銀行は貸し出し競争に向けて準備万端です。実はカタルの邦銀信教も、真髄は政策官僚の政策転換にあります。長く読んでいただいている真の読者には、多少、解説を省いた端を折った表現でもご理解いただけると思います。

株価を考えるうえで背景が非常に重要なのですね。足元の表面上の数字も重要ですよ。最近の市場関係者は短慮ですから仕方ありませんが、未来の利益は政策に影響を受けます。ニトリが上がり続けるのはデフレ政策が背景にあり逆輸入しているからです。自動車が逆境下の中で利益の蓄積を残せるのは、自前の販売網構築と現地生産からマーチのように逆輸入を選択しているからです。シャープが負けたのは、ヤマダ電機の存在や亀井工場に固執したからです。巨額の設備投資を実施する箱もの工場は、直ぐに陳腐化するのです。スピードが命なのに…時間をかける日本村社会の構造が負け組を量産していますね。

日本村の恥部を見れば分かります。鳩山から始まった沖縄問題は誰かが英断を持って独断的にスピーディーに走らねばなりません。馬鹿じゃないか…と考えますね。ご理解が得られる道理がない。根底にある日米同盟から軍隊のあり方まで考える難しい問題に蓋をしているから、こんな曖昧な形が残るのです。島国根性のいやらしさが、日本企業の敗退に繋がっているのです。みんな同じ土壌なのですよ。分かりますかね? 誰もが心に抱える安心・安全の求める豊かな暮らし、こんなものはあり得ないのです。何処まで妥協するかどうか…その線引きを何処で切り、理想を追い求めるか?の選択ですね。

誰もが桃源郷を求め憧れますが現実との戦いがあり、時間に追われる訳です。消費税も定数問題もTPPもみんな待ったなしで決めつけて、先を急がねばなりません。議論はうんざりですね。立場により主張がそれぞれ違うのが当然なのです。国民的な合意などあり得ないのです。国民は政治家が決めた結果をみて、次の選挙で自己主張すれば良いのです。全ては結果次第です。任期満了を待って時間を与え政策の権限を委ね、その結果を選挙に反映するのが民主主義でしょう。一旦、与えたはずの時間途中で、ワイワイ言うメディアはどうかしています。だから国民が惑っているのです。好きなようにやればいいのですね。野田さん。残された時間内で、自分なりに正しいと思う行動を取ればいいのです。

株屋は、私のように政策が間違っていると批判する前に、間違った状況下でもその環境の沿った銘柄を選べばよかったのです。こうあるべき論で、選んだ結果が敗北ですからね。敗者はみじめなものです。視点を変えて市場を眺めれば、国家戦略会議の銘柄だけが上がる訳なのです。

規制の虜か…悪代官に悪徳商人はいつの時代にもいるのでしょう。