« 下準備 | 最新の記事 | 成長を支える文化 »
007の決算背景(2014年08月16日)
金曜日の007(ユビキタス)の株価上昇は、決算を受けた上昇のようですね。カタルは決算発表が14日かな?…と思っていたのですが、一度、ホームページを覗いたのですが…トップページには案内がなく見落としていました。IR情報の所に決算短信が載っていたのですね。昨日は、友達の証券マンから連絡を貰い、カタルの間違いに気づきました。読者からも連絡を頂き、ありがとうございました。
事前に述べているように、1Qは基本的にサプライズが生まれません。故にあまり気にしてなかったのです。ゴメンね。むしろ7月10日に公開されている会社説明会の模様の方が、007の現状を良く示していると思います。35分程度なので…聴いておくと良いのでしょう。ビデオは此方です。
もともと007は、前期に陳腐化したソフト資産を減損会計しています。通常、研究開発は費用計上ですが…、製品開発の可能性が高いと資産計上する事が出来ます。日本の会計法では多くは費用計上しますが、国際会計では資産計上しますね。先日の日経新聞には自動車事業を事例に、解説記事が載っていました。ソニーもそうですね。不採算事業を縮小するのに…思い切ったリストラ損失を計上する事があります。ただソニーは価格管理が甘いのか…いつまで経っても目標追随能力が低く、信頼性が低いのです。売れる資産があるうちにリストラを完了させ、収益基盤を確立させねばなりませんが…今の所、見えませんね。今日の日経新聞には、車のカメラセンサーの話が載っていましたが…ソニーの規模から考えると、この程度では浮上しません。カタルは、ソニーが好きです。でも…折角の経営資源を活かせない経営能力の欠如に、些か、うんざりしています。
決算短信をみると…こんなものでしょう。一応、ソフトの減損会計を実施し、確実に収益化が芽生えているように感じられます。ロームに電力線を利用した「HD-PLC」技術にも関与していることは、大きな芽の一つになりますね。スマート家電の活用に欠かせません。近未来の技術です。更に京セラのプリンター(複合機)に採用されたSQLは、QBにも拡大採用される可能性も秘めています。カタル自身も良く技術内容を知っているか…怪しいのですが、車から様々な情報が吸い上げられ、全てをクラウドにアップするわけではないと思います。一度、末端端末であるIVI(車載情報機器)などに情報を蓄積し、その情報から取捨選択するのだろうと考えています。その際にユビキタスのSQLが活用されると考えています。実際にデジタルカメラでは既に、この情報を引っ張り出す技術が応用されていますね。更に会社説明会ビデオの社長解説にも、同様の説明がありました。
ARM社と提携しているアットマークテクノ社と共同している商売など…幾つかの種まきは、確実に成果を挙げつつあるようです。売り上げに貢献するだろうと思われるHEMS関連の売り上げは、これからなのでしょう。基本的に会社説明会の解説を聴くとスマート・コミュニティーに大切なクラウドの通信に、的を絞って製品開発しているので、必ず、活きてきますね。もっとも、この部分が核になるからですね。スマート・シティーの創設は情報の活用に尽きます。車の事例を示せば分かり良いでしょう。リアルで上がってくる渋滞情報をクラウド上で通信を利用して拾い、そのデータを活用するわけです。カーナビと言うより、IVIが目的地までの最短時間を計算し提示するようになる訳です。
果たして007の企業業績の底打ちが確認されたかどうか…。残念ながら、この決算短信だけでは判断が付きませんね。可能性は非常に高いのでしょうが…。前期に計上できず減額したQBの売り上げ計上もある訳で、本当に収益化が見えているのか…カタルには確信が持てませんでした。ただ冒頭に発表されている数字だけをみれば、1Qの売り上げが126百万円で、中間期は322百万円となっており、通期の目標が800百万になっているので、この数字の推移だけを信じれば…業績は底打ちし、改善に向かっていると考えられます。ハッキリ言って、この程度の数字では、割高な株価を更に大きく、高値に放り上げることは出来ませんね。
でも確実に、種はまかれているので…何処かで一斉に開花する可能性もあるのです。今、世の中は急速にクラウド化が進展し、007の狙い通りの社会に近づいているからです。相変わらず、夢はピカ一評価ですね。カタルを惹きつける魅力は充分なのです。問題は日本と言う国が、この手のソフト資産に対する評価が低い日本人の気質にあるのです。太平洋戦争に負けたのは、ある意味で情報戦に負けたのですね。グローバル評価では、このようなアイディアと言うか…。究極の付加価値を有するソフト資産を、日本人はもっと評価せねばなりません。だから、みんな文化や芸術は海外からの逆輸入式になるのです。藤田嗣治を始め、村上隆など…多くの芸術家は日本で評価されず、海外で評価され、逆輸入されています。哀しい事ですね。株の世界も、日本発の独自指標が生まれても良いのに…。
本日の日経新聞には米国、ドイツ、日本の国債金利推移が載っており、欧州を初めとする先進国の日本化現象が載っていました。この記事の解説が少し必要でしょう。この日本化現象は…、日本には村社会のなかで育んだ独自価格が存在していました。洋服などは良い事例でしょう。昔、Tシャツでも2000円、3000円は、当たり前でしたね。此処に挑戦したのがユニクロです。鎖国制度の日本独自価格を打ち破ったのです。先進国のデフレ化現象は、日本のグローバル化が遅かったために、先進国の中で一番、体制転換に時間が掛かり、最初に洗礼を受けたのです。この動きは台湾のTSWCが誕生した1987年に始まるのです。プラザ合意から2年後の動きです。ファブレス化ですね。何も日本だけでなく、東欧を抱える欧州も同じなのです。日本の場合、中国の躍進で一番打撃を受けました。故に円安になっても貿易赤字は、なかなか改善されないのです。
では…どうしたら、先進国は、再び潜在成長率を高められるか?
スマート・コミュニティー化に尽きるのです。情報の活用です。日本はこの分野で遅れており一般認知化が低いので…、逆に、高成長が期待できるのです。カタルは物流速度の変化で、よくこのスマート化を解説しています。渋滞情報を活用すれば運搬速度がどんどん縮まりますね。最近のネットショッピングの製品配送は、早くなりましたね。物流リートが活用され情報投資が進んでいるのです。だからダイフクの株価が上がったのですね。工場の生産効率でもそうなのですね。仕事が出来る人のやり方を、一般化すればいいのです。ソフトバンクの孫社長が基調講演で述べられています。スマフォ、タブレット、クラウドの活用を訴えていますね。この導入により生産効率が2倍に上がったと述べていました。
この生産効率が、どの程度か記憶が定かでなかったために、今、ソフトバンクのホームページに飛んで生産効率を調べていたら、なかなか見つからず…7月15日の孫社長の講演を1時間近く聴いていました。カタルの発想と、全く同じことを思っているようですね。一度、時間があれば聴いて下さい。1時間と4分だそうです。時間がない人は、最後の4分間のソフトバンクが作った、コマーシャル・フィイルムを見てください。僅か4分です。この時間の中で情報革命の素晴らしさが、ご理解頂けると思います。だから007なのですね。何故、カタルが、ユビキタス(007)に惹かれるか? この技術進化の為に経営資源を投入し、社会革新に貢献しているからです。クラウドを利用するためには、通信機能が必要になります。ソフトバンクの孫氏の基調講演は此方から(最後の4分だけでも聞いて下さい)
残念ながら今回の決算数字だけで、007が確実に底打ちを完了し、進化が感じられるとは断言はできません。しかしその可能性は、かなり現実化していますね。何より、種を蒔いた技術が開花しそうなのです。カタルは何度も述べています。日本には国民を力づける希望を、先ず与えねばなりません。その為には名目成長率が、実質成長率を上回る社会構成にすることです。やる気のある人が、報いられる社会の構成を確立せねばなりません。過去の負の遺産の為に、時間を割く時代は終わったのです。これからは未来の遺産を前向きに築くのです。その為にまず必要なのは、行動に繋がるお金の流れを正常化させねばなりません。故に、必要なのが信用創造の復活なのですね。つまり株や土地の価格を右肩上がりにする事なのです。株の世界はROEの活用ですね。土地はインテリジェントビルや人間工学に基づいた街づくりにより、生産効率をあげる付加価値の創造です。最近の事例では丸の内や日本橋周辺(室町かな?)などの開発ですね。信用創造が確立されると…お金が生きてきます。
埋もれる企業のキャッシュ・ポジションが、一気に活用されるのです。そうすると…イワシ民族の日本人は、怒涛の如くスマート・コミュニティーの確立に突っ走ります。此処で登場するのが、情報革命ですね。クラウドの活用が始まります。もともとチェジニアで起こった「アラブの春」は、情報革命の走りなのです。もっと前のスタートラインは「ベルリンの壁の崩壊」ですね。グローバル・ゼーションは、情報に解放により起ったのです。今度は、この情報の活用が始まるのです。クラウドが伸びると言うのは、そういう事なのですね。
ロームが電線での通信を活用するために、007の技術を応用したのはそういう事を示しているのです。村田が007のような小さな会社に資本参加したのは、そういう事なのですね。何故、007に惹かれ、カタルが、ピカ一評価を与えているか? 確かに今の実績は実力が伴っていません。おせいじにも…株価が安いとは言えませんね。企業業績からみれば、明らかに割高でしょう。しかし情報革命の時代が、これから一気に進化すると…どうなるか? 日本が成長するためには、「信用創造機能の復活」と「スマート・コミュニティー」の進展に、掛かっているのですね。だからカタルは、「ケネディクス」と「007」や「J・TEC」をカタル銘柄に指定しているのです。今日は、007の業績について触れ、その背景を説明した次第です。リンクした会社説明会、ソフトバンクの基調演説を聴くと、かなり長くなりますが…時代背景を御理解されることが、株式投資で成功できる秘訣なのでしょう。それでは、また明日。