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日本化現象(2014年10月04日)

最近のNY市場の動きには、些か…嫌なものを感じています。カタルの考え過ぎならいいのですが…。基本的に株価の乱高下は、需給バランスが崩れ始めていることを示しますからね。10月1日1.40%の下落、そうして3日の昨晩は1.24%の上昇です。1%に及ばないものの…9月24日は154ドル高の0.90%の上昇の後、25日は264ドル安の1.54%の下落、26日は167ドル高の0.99%の上昇と…比較的に大きな幅で株価が上下しています。雇用統計は大幅に改善されましたが…テクニカル面は気に食いません。株価が高値圏にあることを、念頭に行動されると良いのでしょう。

レームダック化しているオバマ政権、先進国に広がる日本化現象。この日本化現象は大切なので解説します。基本的に…ベルリンの壁崩壊から市場経済に参入した中国などのBIRCsの台頭により、先進国の空洞化が起りました。産業構造の転換を迫られたのです。この動きは、現在進行形です。日本は米国の庇護の下、加工貿易で先進国の仲間入りを果たしました。しかし1985年のプラザ合意を切っ掛けにして…グローバル化の嵐の洗礼を受けたのが、「失われた時代」です。この現象は日本だけでなく、先進国全般のものです。米国は早くにグローバル化を達成しており、シェールガス開発で優位に立っています。一方、日本もようやく、日産マーチの生産移転で極みに到達しました。最近は最貧状態の労働環境も変化しています。「すき家」問題や建設業全般ですね。しかしEUはこの洗礼に苦しんでいます。移民政策の兼ね合いもあるのでしょうが、基本的には東欧への生産移転です。

その為に製品価格の下落、所謂、デフレ化現象が各地で起こっています。これは技術進歩の加速化が後押ししています。ファブレスメーカーの動向をみれば分かります。代表的な事例はアップル製品を作っている台湾のフォックスコンです。生産基地を労働単価の安い中国に据え、日本の貿易赤字を生産しています。ただ最近は変化し始めていますが…。このように、一例を掲げましたが他の事例は山とあります。EUでも同じ現象で苦しんでいます。ようやくG20で租税問題が話題になりました。欧州委員会はアイルランドがアップルに適用している法人税の優遇処置は、EUの競争法に違反するとの見解を示しました。欧州の金融危機が、一段落しているから…このような処置が表面化します。

同じように米国の経済が改善しているので…、オバマは地球温暖化に対し、前向きな対応に変わったのですね。京都議定書を反故にしたのは…財政難と金融危機の為です。同様に…中国も変化し始めています。この話は重要ですが…話が逸れるので、これ以上は触れません。先ほど、日本化現象は、現在進行形と述べました。明らかに峠は越えましたが…日立の年功序列改革は始まったばかり、未だに日本は労働環境の整備で揉めています。カタルはROEの記事を、日経新聞は盛んに採り上げなくてはならない…と述べ、ようやく最近、日経にもROEの文字が躍るようになっています。

この意味は不採算の産業を、捨てることなのです。利益率を基準に、儲からない売り上げ重視の経営をやめようと言う事ですね。トヨタは、ようやく2014年3月期で売上高営業利益率が8.92%になりました。しかし日産自動車は4.75%でしかありません。カタルは、当初はゴーンの支持派でしたが…最近は、批判派に変わっています。彼は日産の経営資源を生かしていませんね。部下には厳しく当たりますが…自分は一体どうなのでしょう。株価は、ずっと横這いです。まぁ、矢継ぎ早に、新興国への生産拠点を設けているので仕方ないとも言えますが…。

今度、重工が、社会基盤整備の鉄道車両開発に乗り出すそうですね。既に川重や日本車両など…日立も含め、激戦区への進出です。どうも…解せませんね。MRJがようやく軌道に乗り始めているのに…。カタルが述べる総資産経営とは…、個別利益を無視した売り上げ重視の戦略です。重工の様に悪戯に…手を広げるべきではありません。むしろ得意分野の特化に努めて、適正利益の確保に、重点を置くべきですね。東芝が先頃、リストラを実施しています。エーザイも、日立化成も…です。昔なら考えられなかったのですね。パイオニアの指名解雇問題は、有名な事件でした。小説になるほどです。GEが、何故、長い期間、NY市場の指標銘柄に選び続けられるのか? 指標銘柄に採用されることは…米国を代表しているのですね。そのGEは、儲かっている分野でも…売却し撤退していますね。先ほど話題にした売り上げ営業利益率が低いからです。10%以下の商売など…やめるべきなのです。

これがROEの基本的な考え方です。確かに…借り入れを増やし、財務レバレッジを高めればROEも上昇しますが…基本は、強い企業を創ることですね。ソフトバンクは…最初は経営基盤の確立、次はコンテンツの充実ですね。「文化の価値」に、彼は気付いているのでしょう。グローバル競争の究極は…個人の能力で、付加価値の創設なのですね。人間にとって一番必要な…大切な能力は、創造力です。無から有を生み出す能力ですね。文化的な価値は、多くの人を魅了します。お金を持つと分かりますが…お金など、使い道はないのです。だから金持ちになると、芸術家のパトロンになりますね。モーツァルトを養うようなものです。後継者を育てようとしますね。人を育てるのです。教育事業が一番、価値があるかもしれません。

ソニーは未だに日本化現象に苦しんでいます。豊富な経営資源をドブに捨てているのです。全く…生かしていませんね。宝の持ち腐れです。しかし…1万円を超える高株価の経営者は、何れも素晴らしい経営をしていますね。村田などは…たかが部品会社なのに…、不動の地位を築いています。昨日もNHKで…、民主党のあれは…前原さんが、衆議院の代表質問で、実質賃金が伸びてない事を、安倍首相は問うていましたが…。最初はそうなります。物価上昇率が、先に上がります。賃金などの人件費は、経済の遅行指数なのです。でも希望が生まれるのは、名目の世界なのですね。名目成長率を重視すると…段々、「やる気」が溢れる社会構成に変化します。モチベーションは、非常に大切なのです。まぁ、どっちにしても…日銀が量的緩和を不退転の決意で臨むなら、最後は、名目の世界が重視される方向に動くのです。こんな事が分からないレベルだから…日本は何年も失われた時代を過ごしているのですね。

経営者も同じです。基本的な考え方の変化の時期を迎えているので、これまでの経験則が生きないのです。だからソニーの小手先改革は、ある意味で仕方がないとも言えます。産業構造が大きく変化しているのですね。ハードよりソフトなのです。日本は、早くクラウド環境を利用した情報活用立国にならないとなりません。少子高齢は、ある意味でチャンスなのですね。人手不足の「すき家」問題は、構造改革のチャンスなのです。

2003年からの立ち上がり…は、「みずほ」株が、いきなり10倍になりました。しかし今回の金融株の動きは、鈍いですね。自己資本比率問題で増資したので…その影響もありますが、基本は2003年からの立ち上がりより弱いですね。あの時は外資が主導して経済を引っ張りました。しかし今回は邦銀が中心なので、本物の成長過程なのですが…上昇角度が鈍いのですね。まぁ、その分、息の長い上昇過程が続くのでしょうが…。ソニーがもたつく現象は、ある意味で、日本の構造改革の進展速度を示しているとも言えます。ソニー株は、一つの指標でもありますね。

少し難しいかな…。カタルは実践を通じて…、嫌と言うほど、煮え湯を飲まされ続けてきました。だから、日本経済の立ち位置が良く見えますね。なかなか改善しない株価の動きにイライラさせられることもあります。JAの萬歳さんレベルの人間が、この国を形作っている訳です。前原さんの国会質問のレベルの人間が、国をリードしているのですね。株価が上がっている以上、やっている政策は正しいのです。ここ1年以上、株価がもたついているのは…量的緩和の浸透度合いが、金融庁などの認識と打ち消し合っているためですね。でもマネタリーベースが伸びている以上、最後の結果は、もう出ている訳です。

カタルが最も気にしているのは…FRBが日本と同じ過ちを犯さないかどうか…と言う事ですね。もし通貨供給が過剰なら…もっと弊害が出ています。しかし実際は、金融デリバティブの恩恵を受け、大きく伸びた中国は、大気汚染などの正当な経費を払わされ、停滞し始めて爆食が消えたので、原油価格は下げ始めています。既に鎮静化しているのに…FRBがブレーキを更に踏み込むことはありませんね。市場経済は上がってくるデータをもとに…臨機応変に政策対応する事なのです。雇用は改善され始めていますが…、取り立てて騒ぐほどではありません。時間をかけ…緩和をやめて様子見をすべきで、直ぐに引き締めるのは…大恐慌後の失敗を繰り返すことになります。

時代は、まだスマートコミュニティーの世界が、確立されていませんね。日本化現象と騒ぐこと自体が…日本化現象が続いている構造改革の時期なのです。新しいスマートコミュニティーの世界が加速すれば…金融を引き締めても良いのでしょが…。引き締めを悪戯に急ぐべきではありません。日本はこの構造改革に、一番苦しんだのです。その日本には新しい産業の芽は育っていますが…未だに経営者の認識は変わっていません。ROE経営の真の意味をよく理解してほしいものです。

最後に…米国では、ポストシーズンが始まっています。青木のいるロイヤルズとアスレチックの試合は、すごい試合でしたね。日本でもソフトバンクとオリックスの試合は延長戦にもつれました。昨日のロイヤルズとエンゼルス戦も延長戦でした。先ほど、名目の世界はやる気を増長すると述べましたが…、如何に、人間の成長にとって「やる気」が重要か…野球を観ても分かります。所詮、最後の勝負を決めるのは「精神力」なのですね。株式投資の世界も同じです。様々な困難が途中でありますが…自分自身の精神力が問われているのでしょう。