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国策は何か?(2014年11月08日)
株式市場の基本は、「国策に逆らうな!」…言い換えれば「国策に乗れ!」と言う事ですね。それでは、今の国策とは…何か?
2014年6月「日本再興戦略」が発表されています。その文章は此方です。130ページに及びますから、カタルも面倒なので全部を読んではいません。しかし、この中で「稼ぐ力」を回復しようとなっています。…具体的には何か?…と、言う事が問題ですね。
この戦略の元は…昨年7月に経済産業省内に設置されたプロジェクト「持続的成長への競争力とインセンティブ―企業と投資家の望ましい関係構築」で企業経営者、投資家、研究者など40人以上が集い、約1年にわたる議論を経て今年8月、最終報告書(通称「伊藤レポート」)が取りまとめられました。この考え方が6月の日本再興戦略に盛り込まれています。そこでカタルがよく本文で採り上げているROEの向上の話が登場します。ようやく経団連も、この方向性で動き出しました。今日は、この話を中心に進めますね。
カタルは現在、日本の再生には信用創造機能の復権が必要だと述べており、「1300兆円の逆襲」の話をしています。要するに…デフレの失われた時代は、資産効果を無視して清貧思想に走り過ぎたのです。分岐点はバブルの清算が終わった1997年前後とカタルは述べています。その間、欧米を始め中国は、この資産効果マジックを利用してGDPを成長させてきました。資産効果とは…具体的には、株と土地の価格を上げることです。信用創造とは、このことを意味しています。(若干にニュアンスは違いますが…)
それでは株価の累積リターンと…ROEの関係を見てください。失われた時代の日本は株に於いては…全く資産効果がなかったことが上のグラフで分かりますね。一方、日本は総資産経営を実施し、規模の拡大を優先させてきました。嘗ての日立がそうです。重電から家電まで、利益率は関係なしに…売り上げ重視の戦略でした。これをカタルは総資産経営と呼んでいます。しかしここに来て、日立は変化していますね。売上高営業利益率を加味し、リストラクチャリングを実行してきました。その為に一株利益が向上し、株価も上がってきましたね。このように…日本の企業は、基本的に、非常に無駄が多いのです。この構造変化を促そうと…今、国を挙げて取り組み始めました。(グラフの出所は経済産業省より…此方です。)
そこで…外人投資家と事業法人の投資動向が注目されるので…、こちらに株式の売買動向のグラフを掲示しておきます。
さて…如何でしょう。需給面から日銀とGPIFは、株式の買い入れを進めます。この額は日銀が、毎年3兆円、GPIFは国内株式の保有を12%から25%に高めると言います。一方、国内債券の比率を60%から35%に落とすと言います。GPIFの運用残高は127兆円と言いますから…国内債券を乱暴に全て国債とすれば…76兆円の規模から44兆円に下げるわけですね。一方、国内株は15兆円から31兆円に増やすわけです。2年間で入れ替えすると、買い需要は年間8兆円、日銀が3兆ですからm合計で11兆円の買い入れになります。この規模は過去最大だった外国人投資家が2013年に株式を購入した金額15兆円に匹敵します。ただでさえ…持ち合い株式の整理が終わり…機関投資家の売り物がないのに…、新たな巨大な買い勢力が市場に生まれるのですね。この戦略は明らかに…国債に眠る資金を、強引に移動させることを狙っていますね。お金って…集まる所が活況を迎えるのです。
一方、日銀が買い入れる国債規模は、膨れ上がるばかりです。グラフはロイターのものです。国債に占める日銀の保有割合は増すばかりです。故に日経新聞が危惧して出口戦略と…述べている訳です。現在、日銀はこの国債の保有期間を7年以上に組み替えると言います。この期間内に、果たして国の借金を減らし始めることが出来るかどうか…。基本的に物価を上げて借金を減らす戦術を、日本は採用し始めました。日銀はETFも同時に買うので…国債の保有リスクを軽減させています。眠る個人金融資産を強引に動かし始めたのですね。
でも不思議ですね。カタルは日銀のハローウィン追加緩和を見て、黒田さんの不退転の決意を感じた訳です。それならば…野村証券や三菱UFJクラスの株が、ストップ高してもおかしくありませんが…、実際は小粒のケネディクスやアイフルでした。まさに日経新聞の報道に現れている様に…相場は「懐疑の中で…育つ」場面ですね。みんな疑心暗鬼なのですね。何しろ25年間も続いた清貧思想ですからね。なかなか融解しません。カタルの述べるガラガラポンは…まだ絶対に起りません。ジンバブエは兎も角、ドイツのハイパーインフレの引き金は、多額の戦争賠償金が切っ掛けでした。GDPの20年分を科したと言います。日本はまだ2倍に過ぎませんからね。更にその内訳も…全部、国内の過去の蓄積です。個人金融資産で充分に賄える金額ですからね。
しかし日銀が引き受けた国債が満期を迎え…リファイナンスされるようになると…、一気に日本は国際的な批判を受けますね。円の劣化が加速します。当面、心配は要りませんが…、この改革に手間取ると、最後はガラガラポンが控えています。果たして…経団連などが、国の政策通りに動き出すか、どうかが視点になります。つまり、ここが相場のポイントになりますね。キーワードは「ROE」と言う訳です。
日銀は、JPX日経インデックス400も買入れの対象としました。この採用基準はROE40%、営業利益40%、時価総額20%などの指標を、目安に選別されています。まさに国策と一致しています。日経平均採用の平均ROEは約7.46%です。上位には自動車や商社、銀行などが並びますね。
さて、原稿を書くのも…いい加減に、嫌になって来ました。いろいろ調べデータを作成したりするのも…、怠け者のカタル君にとって「しんどい」作業なのです。カタルの本日の原稿を参考にされ、気になったら…実際に発表されている資料を、自分で読んでみて…自ら考えておくと…良いですね。上がる銘柄は、既に決まっていると…カタルは何度も述べています。これから迎える年末年始は、外人投資家の動きが、最も活発になる時期になります。怯んではなりませんよ。データは…全てを物語っているのです。