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ケネディクスの決算を受けて…(2014年11月15日)

さて今日は、先日発表されたケネディクスの決算数字の検討です。基本的にケネディクスは不動産ファンドの組成により商売が成り立っています。カタルが問題にしているAUM(受託資産残高)が問題になります。このAUMは自己勘定を含む、他人資本によるケネディクスの管理下にあるファンドを示します。私募ファンドやリートですね。不動産の値上がりなどは私募ファンドやリートに帰属しますが、そこから発生する「フィー」は様々な形で吸い上げられる構造になっています。

ファンドを組成する時から管理期間中と、更にファンドから不動産を売却する時まで、その値上がりに対する成功報酬などが…様々な形で手数料として吸い上げられます。個別契約により、そのフィーは様々ですが…過去の業績推移は大きくAUMが増える時に、連動してケネディクスも業績が向上しています。(まぁ、当たり前の話ですが…。)安定収益は、そのファンドを管理する手数料ですね。ビル管理の手数料などを示します。継続的に不動産業を営む以上、ファンド間の不動産の譲渡は、継続的に発生します。故にカタルは証券マンの預かり資産に匹敵すると…今日の市況で話しました。

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会社側が発表しているAUM残高では、時間概念が理解できませんから…カタルが独自に作成したグラフを見て頂くと…基本的に大きくAUMが伸びる時に営業収益が増えていることが理解できます。このグラフと合わせて、月足の株価チャートも一緒に掲載しておきますので…その連動性を頭に叩き込んでおいて下さいね。日銀の異次元緩和からハローウィン緩和により、日本は、ようやくデフレの悪夢から脱出しようとしています。その核が「不動産」や「株式」の資産ですね。日銀の買い入れている国債は、経済活動を支援するお金にかかるコストを減らす為のものです。金利が低くなれば住宅投資など含め経済的なコストが減り需要が生まれます。住宅ローンを計算した人は1%の金利の違いが、どれだけ返済金額が違うか…金利の意味を理解できますね。20年とか…30年と言う期間の金利負担はすごい金額なのです。

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更に日銀は株式のパッケージであるETFを買い入れ、同時にリートも買い入れています。つまり、株式と不動産を買っています。日銀には無限のお金が存在し、一方、株式や不動産は限られた数量なのですね。当然、需給バランスを考えれば…時間の問題で、どんどん資産価格は上昇します。一方、大きくの金融機関には、行き場の失ったお金が国債の形で眠っていましたが、その国債を日銀はガンガン買っていますから…日本のお金は自然に動き出しますね。資産商品に向かい、設備投資に向かうのですね。あとは外債など…ですね。故に、円が売られているのは自明の論理です。

さて基礎知識が理解出来れば…何故、カタルが、ケネディクスを「デフレ脱却の象徴銘柄」として「1300兆円の逆襲」と述べているか?理解が進みますね。株式の物色の流れは時代推移が決めるのですね。大手不動産を除き、兆円単位で不動産を支配下に置いている企業は、現状ではケネディクスだけでしょう。地所や三井不動は持っていますが、売ることはしませんね。ケネディクスは不動産を動かすのが商売なのです。何故、日銀の政策強化で、魅力が更に輝き出すか? 31日のハローウィン緩和で、日銀がアクセルを踏むと…途端に株価はストップ高になって反応したか…理解できるはずです。

実は細かい数字を掲げ現状を説明しようかと思いましたが…面倒だし、アホらしく思えますね。小さなことに、拘る場面ではありません。ただ一つだけ、今日の市況でも述べましたが…非常に環境が好調なために、利益の先送りを実施しているようですね。おそらく押さえようとしても、それ以上に、利益が溢れているでしょう。その事例が大阪中央区のKDX南本町ビルの売買です。帳簿価格が36億94百万円となっており、譲渡損失が14億95百万円となっています。金融庁などの検査により、時価とかけ離れた不動産は減損会計を余儀なくされていました。その物件の処理も進んでいます。大きく時価とかけ離れた売買は出来ないでしょうが…現状の不動産市況推移からすれば奇妙にも見えます。おそらく利益の先送り分が含まれている処理と…推測しています。既に日本の不動産市場の実態はピーク時に近い価格に戻っている筈ですからね。このように…今期で表面化できる全ての含み損を抱えた物件を処理した筈ですね。つまり来期から利益を圧縮する材料がありません。

加えて時代背景が大きいのです。地方銀行などは、国債に眠っていた資金を何処かに振り向けねばなりませんから、その資金がリートや私募債ファンドが受け皿となる訳ですね。だから物件さえあれば、需要は山のように存在するのです。問題は、それだけ多く利回り商品〈貸しビルなどの不動産〉を抱えているかに…掛かっているのです。素人は分かりませんが、お金があるからと言って、不動産が買えるわけではないのです。金利採算に見合う不動産を手に入れるのは、実は非常に大変な作業なのです。

この事実は、先日売買が行われたパシフィック・センチュリー・プレスのオフィス部分の部分売却ですね。買い手はシンガポール政府投資公社だそうです。ピーク時の価格に迫る1700億円だそうです。ダヴィンチが2006年9月に2000億と言う馬鹿高値で買い、2009年12月にセキュアード・キャピタルが1400億円で買い取ったものだそうです。だいたいピーク時より半値になった物件も、1割から2割程度の損で処理が出来る水準だと言う事ですね。当時、ダヴィンチが買った価格でも、利回り採算は2%程度と言われていました。返済が出来ているのに…金融庁が、強引に減損会計を強要したのですね。実はこの時期にケネディクスも、KDX豊洲グランスクエアのビルなどを、カーライルなどの外国資本に売却しています。ヒューリックなども…親会社のみずほ本体が、買っていましたね。系列がない所は売却に苦労し、外資系がうまい汁を吸ったわけですね。

不動産市場は、相対売買故、作為的に利益操作が出来ます。取引実態に応じて価格が恣意的に決められていると言っても、過言ではないでしょう。実態を知れば…如何に、AUM残高が魅力的なのか…。この意味の理解が進むと思います。実は2014年末の目標達成に、カタルは少々懐疑的だったのです。僅か四半期に2000億円ものファンドを組成できるのか…カタルは疑っていました。でも水面下では…物凄い勢いで、改善が進んでいるのでしょう。この動きはハローウィン緩和で、更に加速されたわけです。カタルが最低4桁水準の株価は、既に確定していると述べている意味が理解できると思います。最後に…この環境を示唆するオフィスビルの動向もグラフで掲げておきます。確りと…現状の時代推移を感じてくださいね。

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