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気になるNY市場と日本株(2015年01月31日)
昨晩のNY市場の動きは、やはり気になります。この辺りの考え方を少し解説して置かないとならないと思います。NY市場は金融危機後、量的緩和を中心とする金融政策により、リーマンショックを緩和して経済活動を活発化させてきました。しかし米国金融株の動向をみると分かるのですが、実際はこの回復は砂上の楼閣なのですね。力強い経済回復とは違い、人工的に作られた現象のようなものです。その証拠にNYダウ平均やSP500は新高値を付けましたが、ナスダックはITバブル期の高値を抜いていません。此処にカタルが拘るのは、次の先進国の飛躍期が、スマートコミュニティーへの新時代との確信があるからですね。つまりSF(電脳社会)の世界への移行なのです。
更に、金融危機後、一度も大きな調整をせずに、米国株は上昇しています。長期的な乖離はかなり広がっており、何処で調整波動が入っても…不思議ではありません。そんな時にFRBが量的緩和を停止し、利上げを視野に入れていると言います。確かに最悪期から見れば、随分と経済は回復したのですが…、内部は盤石ではありませんからね。カタルの宿題である1937年問題が、懸念される所以です。大恐慌から世界景気は、一旦立ち上がりますが…人々は勘違いをして、マネーを絞ったのですね。その為に世界戦争に突入しました。今のイスラム国の台頭を考えると分かりやすいですね。
米国の出口戦略が、今は当然と見られていますが…、実際、金融機能は脆弱なままで、金融機関にはユトリの貯蓄がありませんね。金融危機で蓄積を吐き出した後なのです。日本のバブルの整理をみると、一度バブルを作り、潰した後の弊害は、嫌と言うほど時間が掛かるのが良く分かります。未だに日経平均株価は1989年に付けた高値38915円を抜いていませんね。日本人はこの25年の間、日本村の弊害から脱皮し、グローバル展開に向け、時間をかけて移行してきたのです。その閉塞感が「流動性の罠」に集約されていると言っても良いと思います。
オバマ大統領は、2000年代、前半の日本の金融庁と同じです。清貧思想の塊のような存在です。確かに…行き過ぎた金融デリバティブは破たんをしました。しかし、このおかげで新興国が台頭し、グローバル化は進みましたね。これまでは恐くて投資できなかった共産圏の中国などにも、リスクが限定されるCDSの開発のおかげで投資が進み、世界のグローバル化が一気に加速しました。しかし、その為に安い労働力を武器にした製品のおかげで、先進国の空洞化が進みました。米国は比較的に早くから中南米に門戸〈市場〉を開放していましたから、日本化現象と言う空洞化の弊害を受けにくくなっていました。しかし欧州は、東欧諸国の参入が日本の場合の中国と同じで、やはり日本化が深刻ですね。
でも一番の弊害は日本ですね。長いデフレ環境が続いたのも…このようなパラダイムショック(枠組みの変更)なのですね。全てはベルリンの壁崩壊からスタートしたのです。しかし本当は、その前段階の1985年のプラザ合意が切っ掛けなのです。この辺りの仕組みを何度も解説していますが…、これが理解されてないと、今、起こっている現象も、なかなか理解が進まないのです。故に、この話をしつこく、何度も繰り返しています。今日もパナソニックのテレビ事業の縮小が話題になっていますが、EMS(受託生産)の流れは、基本的に1987年にISTMの創設が、時代の分岐点になっています。ISTMはモリス・チャンがテキサス・インスツルメンツから独立して、台湾政府と共同で設立した会社ですが、ファンドリーとして躍進と遂げました。この流れに乗ったのがアップルです。しかしNECや富士通などは垂直型経営に拘ったのですね。リカードの比較優位と言う経済理論に逆らった結果、エルピーダなどの消耗戦を、日本は選んだわけです。メディアの「ものづくり」への拘りが、日本人の概念を、間違った方向性に誘導したのです。
今は、何が起こっているか? 切っ掛けは2009年から2010年に起きた100円を大きく割れる円高の政策を堅持したために、行き過ぎた生産移転が起ったのですね。その為に日本企業は、必要もない範囲まで、海外へ生産移転を進めました。空洞化が行き過ぎたのでしょう。だって常識的に考えてみてください。マーチなどの大衆車は、1台当たりの利益は5万円程度でしょう。それを、輸送費を掛けタイから運ぶと、いくら儲かるのでしょう。人件費の差は、年々、縮まっています。家電業界の最近の回帰現象は行き過ぎた空洞化の揺り戻しでしょうね。
しかし…人間の嗜好は、ものより、時間の有意義さに、お金をかけるようになっていますね。ゲームの利益率の高さは、その事を示しています。文化なのですね。幸せと感じる時間に対価を払うのです。物質的な物ではありませんね。パズドラやモンストは、単なる時間つぶしと言えば、それまでですが…、敵をやっつけて、ステップアップできる「達成感」を売り物にしています。
どうせなら…、株式投資の面白さに、時間を費やして実利益を上げながら、時間を潰して欲しいものです。カタルのレポートを、毎日読んでいれば…その内、その辺に居る証券マンより、ずっと高度の知識が付くと考えています。だからカタルは有料でも良いと思っていますが…まだまだ日本人は、情報に対する対価を払う事を嫌がりますね。ビスタニュースは、そんな失敗でした。カタルの狙いは、今でも良いと思っています。メディアが押しつけるニュースではなく、読者が書き手の順位を決めるのですね。対価を決めるのです。丁度、AKB48の株式版のようなものです。でも時代が早すぎたのでしょう。かたるの株の選択と同じですね。
話しが外れたので元に戻しますが、要するに、先進国における新時代であるスマートコミュニティーの時代進化が、いつ始まるのか? ここが焦点です。その事前準備が進行しているとも考えられますね。しかし流石グーグルです。スペースXに投資を決めましたね。時代は確実にステップアップしています。宇宙だけでなく、医療もそうです。再生医療のトップ企業のJ・TECの株価が、こんな水準で評価されている現実が、おかしいのです。国は地方創生も結構ですが、新時代の社会資本整備である衛星の打ち上げや、スパコンの利用促進などに、もっと力を注ぐべきですね。最近、民間企業のスパコンの利用率は上がっていると言います。信号機の運営など、そろそろ自動で運営されても良いですね。スマフォにはGPS機能が盛り込まれており、キャッシュを引き出した人間の追跡捜査も出来る時代になって来ています。監視カメラと併合すれば、振り込め詐欺など、一掃できますね。その前にキャッシュレス社会を早く創設すべきです。
民間企業は、ROE経営をもっと加速させましょう。社会的責任を果たすかどうか…トヨタの対応は、注目されます。何もラリーを再開したり、下請け企業の値下げ強制を凍結したりすることが、使命などと勘違いしないで欲しいものです。やはりROEの流れを、より鮮明にさせるべきですね。早い話、借金を増やして、自社株買いをしても、論理的には…充分な投資活動になります。
確かにNY市場の動向は気になるので…、週末の今日に市況にも、NY市場のチャートを掲載しました。GDPが予想より悪かったようですが、現状は乱高下を繰り返しており、強弱感が対立し始めています。日本株は世界で、一番、外部環境に恵まれています。日本企業は無駄が多いので、ROE経営に目覚めると、捨てる経営を出来るのですね。そうすると…利益率が上がり、ROEの伸びが大きくなります。だから論理的にも、株価2万円台に向けスタートを切れるのです。現状のPER18倍、ROE8%は妥当水準ですが、潜在的な伸び率が大きいのですね。ようやく自社株買いが、定着し始めています。日銀だけでなく、GPIFだけでなく、企業も株を買っていますね。その為に陽線率は上がり始めています。今日は、その様子を感じてください。「陽線率」とは…引け値と寄り値の差を数値化したものです。カタル独自の指標の一つですね。NY離れが鮮明になるかどうか…2月は、その行方が試されます。その為に、この時期の人気株には、注意を払わねばなりません。