今日の市況(2008年04月22日)
かたる:NY市場はバンク・オブ・アメリカの決算が嫌気され金融株が軟調で下げたと言います。地銀大手のナショナル・シティが減配と70億ドルの増資を発表したとか…シティーバンクも60億ドルの追加増資を発表しています。イングランド銀行は10兆円の金融支援をすると発表していました。LIBORの高止まりに対する処置なのでしょう。規模が少ないと言う見方はありますが、実質的に公的資金を投入していることには違いありません。FRBと同じ手法で住宅債券を国債にと交換するのですね。一方、上海総合の株価指数は3000ポイントを一時、割りました。インフレへの警戒感が高まっているのでしょう。
日本株は過度の金融懸念から、欧州、アジアの外人売りにより株価が二番底を叩いたと言われています。ここに来て一目均衡表、騰落レシオ、乖離率ともに過熱指標が見られるので株価は一服するとの声が多いようです。下のグラフの形です。
トロ:おいおい、二番底を叩いた? そりゃ、お前だけがそう思っているだけだろう? まだサブプライム問題が終っているかどうか、定かではないよ。その証拠にイングランド銀行が公的資金を投入するのだから…。
神主さん:そういえば日経新聞にも、モノライン大手のMBIAの見方が分かれているとの報道がされていたね。
かたる:何故、このタイミングで報道するのかね? 書くことがなかったのかな? マーティン・ホイットマン氏の話は、ずいぶん前から投資していることは分かっているからね。まぁ株価は売り手と買い手の需給バランスで決まっているから、意見が対立するのは当然なんだね。最近、このIRNETの株式教室で、銘柄の争点を掲載しているが、色んな考え方があるわけで、その事実を自分はどう考えるか? ここが大切なんだね。
株価は人気だけで動くものではなく…いや、人気を操るのは業績や株価の動き(チャート)なのだろうね。多くの人は業績動向よりチャートを重要視するが、僕は業績の流れを考えるんだね。でも最近思うんだね。やはり株価は正直だな…と。でも前も紹介したように、ここに来て減益や赤字報道を受けても株価は意外に強い動きをしているね。今日だって、荏原なんて値上がり上位に顔を出しているんだからね。驚くよ。
時代や:みずほが最近一番人気を続けているが、かたるは以前のように熱心に薦めていないようだね。
かたる:基本的には株価が下がったといっても45万円だからね。当面は50万円程度で上がっても60万を越えるのは難しいのだろうね。そんなことを考えると、この時期に無理して買う株ではないように思うね。これから1年程度、上値が限られる株は面白くないもの。僕は基本的に、銀行株は買いだと思うよ。しかし概ね株価は横這いのボックス相場だと考えているんだね。ここに来て株価は大きく下がったけれど、狙いは別の所にあるんじゃないのかな?
時代や:どう考えているの。また新興株か?
かたる:うん。新興株は時代の背景を考えると、昔の自動車産業のようなものかな? 産業革命の頃は鉄道株? 基本的な技術進歩で携帯電話を主体としたユビキタス時代の要だと思うんだね。だって、考えてごらん。信じられる? 昔は、携帯電話などは夢だったよね。それが現実のものになり、ネットと融合し通信技術が僕等の生活を確実に変えているね。ソニーが提案しているように、おそらくテレビとネットは一緒になるよ。何より大きな成長が見込めるのは携帯市場のコンテンツなんじゃないのかな? 僕は前からモバイル・コンテンツの会社を狙っていたよ。サイバードは上場廃止になったけれど、代わりに買ったインデックスはひどいもんだね。今のところ…まだ諦めちゃ、いない。そうしてDENAはひょっとすれば、ひょっとするね。ビスタニュースに僕の基本的な考えを書いたけれど…
夢の大きさが銀行株とは違うね。おそらく何れは日本の金融機関は3つが1つになるだろうね。グローバル展開を考えると日本の金融機関が生き延びれる可能性は低いね。やはりシティーのような会社なのだろうね。日本はバブルの後遺症が強く、折角の中国への進出チャンスの時に、大きく出遅れたからね。UFJが唯一積極的だったので、三菱はラッキーだったね。中国を含めるアジア展開で飛躍するシナリオを抱いている会社が、これからの主役銘柄に選ばれると思うよ。先ずは、その前に政治への決別から始まり、日本経済の基盤を、もう一度、固めねばならないね。その動きがみずほの優先株の処理なんだろうね。
トロ:面白い見方だね。もう少し説明してごらんよ。
かたる:えっ? 無料で僕の知恵を奪うの? まぁ、良いか。じゃ、明日の昼飯ね。2003年からの株価上昇は、日本の金融危機を売った反動なのだろうね。基本的に…。だから再生銘柄がスター株になったんだね。産業再生機構などが象徴的な出来事だったね。しかし2006年に日銀は量的緩和の処置をやめ、地検がライブドアの入った。 僕は甘かったね。この動きをもう少し真剣に、深く考えるべきだったよ。明らかに構造改革路線に対する揺り戻しの動きだね。
昔、尊皇攘夷の時代に開国派と攘夷派が大きく割れたね。夷敵を討てと最初の声は大きかったけれど、次第に開国派に世論は流れて行き、遂には300年続いた徳川体制が終るんだね。同じことが、今、起こっていると思うよ。夷敵派だって開国論の意味を、充分理解しているが慣れ親しんだ体制を、そう簡単に転換できるもんじゃない。つまり揺り戻しが2006年にあったんだよ。しかし、ここに来て株が下がると、どうかな? やはり構造改革が…と思い始めていると思うよ。国民もガソリン税の行方を見て、一般会計と特別会計の違いがだんだん理解できてきたと思うよ。
後期高齢者医療制度が実施され、どんどん自己負担率が上がるんだね。僕が散々言ってきたね。時間がないと…。日本には構造改革を急がないと時間がないと…株価低迷をサブプライム問題の責任にしているが本当は違うね。Jパワー問題も含め論争になり、日本は二番底を打ったイメージが広がっているね。 直ぐに株価が上がるわけじゃないが、今度は本物の動きになると思うよ。
時代や:本物の動きって?
かたる:上がった株は下がらない。右肩上がりの株価展開だよ。おそらく今後、数年間は超強気相場の幕が開いたんじゃないのかな?
トロ:馬鹿らしい。本当にそう思っているの?
かたる:可能性があると思っているよ。
トロ:なら、お前の相場観は間違っているね。みずほの上値は上がっても60万程度で、銀行株は基本的に横這いだと言ったばかりじゃないか。
かたる:僕は6ヶ月から1年程度の下値持ち合いをイメージしているんだけれど…。何故なら、やはり時代の変化を実感するには、政権の交代などを含めた大きな動きが必要ではないか?とも考えているんだね。この辺の判断は難しいね。でももう大丈夫だと思うね。世界経済もサブプライム問題のおかげで、金融のグローバル化が確立されたように感じるね。
時代や:どうも分からないな。どうしてそう思うの?
かたる:だって…昔の相場は日本株だけを考えていればよかったけれど、Jパワーもそうだけれど、スティールもそうだね。誰が考えても日本独自のやり方が通用しなくなっているよ。株屋が外人動向や外国の経済の動きを気にしているんだね。日本の新聞よりアメリカ経済の動きなどを気にするようになっているね。例えば三菱商事の業績向上の源の「原料炭」の話しなどの読みは、中国の動きなどを見ないと分からないね。新日鐵が何故、3倍もの高値で成約させられたか? この背景を考える時に、中国などの動きは非常に重要だね。
話は飛んだけれど、グローバル化への新しい道が、株式市場の主要テーマになるんだろうね。このテーマの中で新興株、つまり新しい技術革新によって起こった産業が大きく飛躍するというデッサンを、僕は描いているんだね。このことは昨年のビスタニュースの「時代の背景」とあわせて読んでもらうと、よく理解できると思うよ。この時代の流れを理解できないと相場で儲けられないのだろうね。
トロ:偉そうに…損をしているくせに。
かたる:うん。時代が見えなかったんだね。…と言うより巻き返しが、ここまで強烈だとは思わなかった。仕方ない。また一からやり直し…。
投稿者 kataru : 2008年04月22日 17:55