今日の市況(2008年05月12日)
かたる:米国ではAIGの1-3月期の決算が78億5千万ドルと大幅な赤字を計上し、125億ドルの増資に踏み切ると言います。シティーは資産圧縮を図っており明らかに米国の金融危機は脱出したのでしょうが、二番底を模索しているのでは…との印象を持ちます。当然の帰結なのです。人間の心理が変化する為に、何度か、確かめが必要ですからね。心理が変わるためには、時間が必要なのです。しかしNY平均株価を見ても分かるように、チャートの波動は変わっています。日経平均株価も2月の高値を抜いており、NY市場のチャートより弱いですが、おそらく上昇波動に入っているのでしょう。
この動きは下げの局面で分かります。今日はNY市場も安く、日本市場も一服感が欲しい場面だから、株価が下がる局面なのですが、「みずほ」を見ても分かるように、意外に株価は強い印象を持たれた方が多いのではないでしょうか? もっと下がると思い、売った人はいませんか? 一方、買い方は少数派ですが、打診買いをして余力を残して買っているわけです。まだ上げ波動に対し懐疑的ですからね。どうしてもNY市場が安いと、今までの下げ波動の局面のように大きくやられるイメージが心に残っていますから、買うにも腰が引けますね。どちらかと言えば、売りたい心理になりますからね。しかし充分な時間と値幅で調整した株ですから、多少の下げにはビクともしないでしょう。
トロ:…そんなもんかね?
米国の金融危機が完全に脱したわけじゃないよ。その証拠にFRBなどは、まだ非常事態宣言のままだからね。加えて米国景気はこれから悪化するんだよ。既に峠を越したわけじゃないよ。
かたる:米国では減税の税還付が始まったそうだね。ウォルマートをはじめ、色んな小売の会社がセールを始めているね。僕は景気の悪化はあるが、大幅な落ち込みにはならないと思うね。米国では早くからグローバル化を実現しているからね。米国内の落ち込みを海外の増加によって補っているよ。所謂、デッカプリング論だね。米国の自動車メーカーを見れば分かるね。米国では日本車のシェアが伸びているが、その割りに、米国の自動車メーカーの業績は落ち込んでいないね。
時代や:中国のインフレはどうなの? 発表があったみたいだね。上海総合は6124から大きく下がり、3000ポイントを割り2990まで下がったんだよね。えぇ~と、今日はいくらかな? 3626ポイントか…また金利が上がるのかね?
かたる:そうだね。可能性はあるよ。僕は前から米国は大丈夫だけれど、中国はどうかな…と疑問に思っていたね。4月のCPIは前年同期比8.5%増で、食品は22.1%上昇していたね。中国では労働契約法が今年から施行されており、賃金が猛烈に上がっているね。ただ3月の貿易黒字134億700万ドルより、4月は166億7700万ドルと増えていたね。市場予測は148億ドルだったらしいが…しかし前年の4月の168億ドル弱より減っていたから伸び率は悪くなっている。
時代や:かたるは中国の成長に不安を抱いているの?
かたる:労働契約法の改正は製造メーカーにとって、かなりの負担増になるよ。当然、成長を支えていた中国への固定資本形成の動きは鈍るだろうね。更に、ここに来て鋼材費等が上がっているからね。物価の上昇と共に、この事態を克服できるかどうか…。環境問題と合わせ、共産党政権の山場だね。
トロ:常識的に考えれば、公害が進み中国は大変な時期を迎えているよ。今、かたるが言ったデッカプリング論は、世界景気の上昇を支えきれるかな? 金融がしぼめば、経済活動は縮小するからね。これから悪化が始まるよ。
かたる:難しい話だね。中東などのイスラム金融は力を増しているし…デッカプリング論を支えているのは、何も中国だけじゃないからね。資源国のブラジルだって、ロシアだってあるよ。
時代や:全体の動きは兎も角、個別ではどうなのかな? ゴールドマン・サックスが、みずほのレーティングを引き上げたみたいだが…なんでも優先株の買入消却をするとか言う期待があるみたいだけれど…
かたる:そんな事は前から、僕が述べていたね。会社側のIRでは規模は言ってないが、自社株買いを増やして対応すると述べていたね。みずほが上がってきた背景には、その事実があるのだろう。ヴェリタスさんの報道が切っ掛けになったね。読売もそうだけれど、両社ともに「みずほ株」の下落を心配していた記事だったけれど株価は逆に動いたね。面白いものだね。でも僕はあまり興味を持ってないよ。悪いとは思ってないが、頑張って買い続けるほど、魅力的ではないね。むしろ、やはり新興株の勢いだね。
トロ:新興、新興って馬鹿の一つ覚えみたいに…
かたる:僕は株式教室でコマツと日立建機の株価レースを通して流動性が戻ってくるから小型株の戻りも良くなると述べているね。あのレポートは、そう言う意味もあるんだよ。やはりソフトバンクの孫氏が言うとおり、僕もモバイルの覇権を握るところが、高成長が約束されると思うね。今日はある資料を読んでいたらビックリしたね。公的資金の返済を抱えている借金企業のりそな銀行、ソフトバンク、ヤフーなどは、任天堂なんかと並んで高ROE企業なんだね。
時代や:ROEってなんだっけ?
かたる:ROE(Return On Equity)発行済み株式数に対しての企業の自己資本(株主資本)に対する当期利益(税引後利益)の割合。EPS(一株利益)をBPS(一株純資産)で割るんだね。まぁ、りそなは別だけれど…。ソフトバンクがこんなに高いとは…。まぁ、この話はこっちに置いて…。問題はモバイルの成長度合いだね。ミクシーが、何故、ストップ安したのかな?…と疑問に思い、決算短信を見ていたら、まぁ、今までの株価が高すぎたのだろうが、利益が伸びないからって、そんなに悲観することはないね。だって売上の予想伸び率は29.3%も伸びるのだからね。営業利益が1%しか伸びないのは、先行投資をしているのだろう。要するにお金の使い方の問題だから、明日もストップ安をするなら、僕は買い向うだろうね。そこまで下がらないか…。
電通のインターネット広告の伸び率の統計では、2007年度の伸び率は、なんと124%だというからね。ミクシーのパソコン経由のページビューは54億で、携帯経由は既にパソコンを抜いて83億ページビューあると言うからね。すごい数字だよ。僕が何故、モバイルコンテンツに拘るか分かるよね。サイバードでやられINDEXでやられ、それでもモバイルに拘っている理由が分かると思うね。僕は孫さんと同じように考えているね。何れユビキタスの本命は携帯電話になるね。パソコンはテレビと融合するんだね。この基本的な背景から相場を見ているわけだね。
時代や:本当にそうなるかどうか…。どうもお前の話は、夢はあるが、なかなか現実化しないからね。迂闊に信じると大変な目に合うよ。
トロ:そうだね。株は現実的でないと…実際に業績が向上してから株を買えば良いね。売上が予想通りに伸びても利益が出ないようではどうしようもないよ。最終的には税引き利益で株価は決まるよ。
投稿者 kataru : 2008年05月12日 19:07