今日の市況(2009年01月19日)
弱含みの展開を続ける米国大手銀行株の動き、ここに来て不良資産を買い取る動きを政府が見せ始めています。日経報道によればイギリスではバッドバンクの設立を検討したらしいのですが、銀行が安値での売却に反対したらしく、結局、保証制度に落ち着いたと報道されていますね。難しい問題です。既に儲かる資産の時間帯ですから…日本のように強制的に不良資産処理を加速させるのか? 日本の場合は民間の再建スキームを政府が強引に乗り出しました。カネボウやダイエーのその後を見ると成功したといえるのかどうか?結局、産業再生機構と言うのはどんな存在だったのか? 必要な時に手を差し伸べずに、立ち直りの兆しが見えた時にしゃしゃり出た行動に私は批判的でしたが…。イギリスの銀行団の反対もそんな局面なのでしょうか?
事実、AIG、シティー・バンクは損失に苦労し解体に乗り出しています。メリルを買収したバンク・オブ・アメリカは微妙な位置ですね。このラインで踏みとどまるのか? 解体されるのか? 損失の度合いと自己資本の余裕のバランス次第です。ここで200億ドルを入れただけで大丈夫なのかどうか? 半年前のベアスターンズを買収したJPMは膨大な損失を計上しましたが、何とか黒字です。この半年間の違いが明暗を分けたのでしょう。経営方針とは恐いものですね。たった半年の違いが黒字と赤字の違いで、大切な資産を売却するのですから…米国の銀行株は客観的な現象を見ると、既に回復過程のように感じます。
しかし私は楽天的な考え方で見ていますからね。株価だけをみると実に微妙な位置にあります。大手6社(BAC、JPM、C、WFC、GS、MS)の平均株価では、11月の安値より若干上のようですが、個別比較のチャートでは、ほぼ同値の位置です。下のグラフのようです。危うい展開ですね。まぁ、市場経済の国である米国ですから大丈夫でしょうが…シティー・バンクのスミスバーニー売却まで追い込まれたシティーはみずほ型からりそな型に転落しているようにも見えます。果たしてここで止まるかどうか…。たった半年ですが、経営方針の違いの差は大きいのですね。
最近、財政出動の規模から中国への期待が高まっています。BRICs銘柄の推移を見ると資源がらみの銘柄の株価の動きはここに来て確りしています。日本の鉄鋼需要は大きく減っています。中国の北京オリンピックの反動などがあり在庫が溜まっていると言われています。しかし中国税関総署発表の数字によれば、昨年4月の4285万トンから10月の3062万トンまで鉄鉱石の輸入が急激に減りましたが、11月3252万トン、12月は3453万トンと再び財政出動発表に合わせ増え始めています。上海総合株価の指数も再び今日は2000ポイントに一時乗せましたね。ここは重要な点です。
市場には色んな動きがあります。日産自動車がタイに生産基地を動かすといえば、日野自動車は新しい工場を日本に作ると言います。色んな現象を見て自分がどう判断するか? 株価の読みと言うのは世界経済の流れを見て、どのシナリオに賭けて投資するかの選択なのですね。中国では内陸部で家電製品を買うと補助金が出るのだそうです。このような動きが影響あるのかどうか分かりませんが半導体産業の現実は厳しいのですが、株価は下値を売っているようにも見えます。市況は最安値をウロウロしてるのに、株価は上がってくるのです。面白い現象です。今日も市況が安く日経が減額修正を伝えた海運ですが株価は上がっていましたね。色んな現象を判断して自分がどのシナリオに賭けるか? ここに株価の読みがあるのですね。トヨタが大切な創業家の章雄さん(52歳)を、何故、この不況期に社長にさせるのでしょう。実に面白い現象です。
投稿者 kataru : 2009年01月19日 18:34