今日の市況(2009年01月22日)
米国では金融株が反発していると言います。取り立てて目新しい動きがあったわけじゃないですが…。話題として面白いと思ったのはJPモルガンのダイモンCEOが自社株を50万株22.9ドルで買ったとの事です。金額換算では1146万ドルです。およそ10億円ですね。日本の経営者も真似をすべきですね。新興企業のオーナーの自社株買いは多いのですが、多くは銀行からの借り入れで資金を賄っており、株価が下がると市場で処分されると言う事件が何度かありました。経営者も株主も一体なのです。
日本株は米国株が上がった割りに冴えない動きでした。輸出関連株は総じて値段を崩し、為替水準が意識されたようです。この所、円高に振れています。為替の水準を決めるのは金利平価説と言う金利差の鞘抜きがありますね。長い間、日本はデフレ政策を堅持しており、資産価格が下落し貨幣の価値が上がっています。低金利の為に日本でお金を借りて海外で運用して金利差を稼いでいたのですが、金融不況の為に昨年から海外金利が大幅に下がり、金利差を利用した円・ドル・キャリー取引の縮小が起こりました。
もう一つの決定要因は、今日、発表された貿易統計が影響します。12月は3207億円の赤字で輸出は35%減でした。黒字の内は良いのですが、赤字になると当然、貨幣価値が下がります。この所の日本の貿易は赤字幅が膨らみつつあります。(ただし経常収支は黒字)この背景は資源高と考えられていましたが、総体的に日本の製造コストが高い為に、空洞化現象を生んでいるのでしょう。先日の日産自動車のタイへの工場の移管は、その一例で、まもなくエルピーダも本社を台湾に移す可能性があるようです。台湾政府は国策で半導体工場を保護しており税制優遇や公的資金の投入があるからです。日本は契約社員問題など、社会の風は冷たく経営者はやはり考えるでしょうね。投資銀行のあり方と加工貿易構造の転換は、私が相場を考える上での重要なテーマです。
また今日は日銀の政策決定会議があり、デフレ政策を維持している日銀は、なんとGDPの成長率をマイナス2%へ修正したと言うのですね。ようやくCPを買い入れるのです。2兆円から3兆円へと増額です。多少、ポーズを作っている印象です。ただしシングルAクラスだそうですから…。日本の成長率は大幅なマイナス予想です。一方、中国ではGDPが発表され、貿易や内需の落ち込みから10-12月期は、なんと6.8%まで落ち込んでいます。通期では6年ぶりの一桁成長で9%になったと言います。
都市部では農民工があふれ治安が悪化していると言いますね。インフレ警戒から金融引き締めを実施していた中国は、固定資本形成が落ち込み、輸出も低調で在庫が溜まっていましたが、昨日発表されたスクラップ価格は2万円の大台を回復し2週連続で上昇しました。共産党の使命は内陸部との沿岸部の格差是正と産業構造の転換を主眼としたダブル転換政策でしたが、外需の落ち込みが激しく負の面ばかりが全面で出ていました。その為に大規模な財政出動を実行していましたが、どうも株価や市況を見るとこの効果が表れているようです。今日の上海総合株価は2000ポイントを奪回し、銀行や鉄鋼株が上がっているそうです。予想通りの動きになってきましたね。
米国のオバマはロビー活動の規制を実施したとか…。ガイトナーの承認問題で揺れている様子。これからの新政策の対応が注目されます。金融への過度の規制が実施されるとマイナスだし…かといって野放しではCDSの仕組みが確立されません。微妙な舵取りが求められます。米国金融株は11月の安値を割り込み政策対応を催促している印象です。オバマ大統領は就任式の最中から活動しており積極的な対応を進めていますが、学者判断との意見もあります。実務派的な有効策を市場は要求しているわけです。市場は我儘ですからね。異常に膨れ上がった準備預金のお金は何処に行くのでしょうか? 株式相場を考える場合、多くのテーマがあり、それぞれが密接に拘っています。今の株価位置は、面白い場面です。こんなにワクワクする面白い場面はないですね。米国の政策対応と中国の政策との間で、日本株の株価位置は決定されるのでしょう。
投稿者 kataru : 2009年01月22日 18:35