今日の市況(2009年01月26日)
いやはや…それにしても乖離調整だと考えていたのに違っていたとは驚きですね。
1月7日の高値は9325円です。26日の今日は7682円ですから1643円も下がり僅か12日間で17.7%も下落しました。115だった騰落レシオは83へ、25日線乖離はプラス8.1%がマイナス9.6%へ、通常ならそろそろ反発していい位置ですが米国金融株へのシステム不安が株価の動きをセーブしているのでしょう。基本的に資産デフレが進行すれば全ての株価は下がります。清貧思想は一見、正しいように思うのですが、合成の誤謬を生み経済は悪化します。株式はインフレ商品ですからね。でも下がるといっても限度があるのが普通なのですが、互いに疑心暗鬼になっているのが現状なのでしょう。お金は腐るほどあるけれど、動かない。政策に対する信認が薄い為なのでしょう。
こんな中で日本を代表する企業と呼ばれる会社の株価がどんどん価値を下げています。
例えば日立の305円は如何にも安いと思いますが…。この会社は1910年に誕生しており財産も相当あるでしょうに…。1兆272億円あまりの時価総額です。総資産は10兆円を越えます。株主持分は2兆1580億円もあるのです。ブルドックソースの事件のとき、このような株券の紙屑化が懸念されました。その後も最高裁の判決から東洋電機の経営者の判断までの一連の現象が、株屋にとってやるせないものです。株主軽視の経営をしても咎められることなく、怠慢な生活で安住すると変化がなくなりチャレンジ精神が欠けて没落するのでしょうね。日本は市場原理が働かない国だから仕方がないと諦めるしかないのか…?
米国では「チェンジ」をキャッチフレーズにして国民の団結を呼びかけていた大統領が誕生し、金融依存を脱却しようとしているようです。日本でも「悪銭身につかず」という論理で製造業の美徳を説く話はたくさんあります。しかし一部で行き過ぎはあったにせよ。金融の動きを否定することは頂けません。金融デリバティブは必要なもので金融技術の発展があったから、世界経済は発達したのでしょう。これからの米国の政策が注目されているわけです。米国の方針が分からない以上、大きな動きが出るわけがありません。その動きが年初からの調整と言う動きなのでしょう。
空前の落ち込みを示す業績発表が盛んです。日本でもコマツの減額修正や野村證券の減額報道が盛んに行われています。これまでのところ織り込み済みの動きが多かったのですが…今日のコマツは下げていましたね。欧米の落ち込みは大きいのですが、意外に頑張っているのがアジア地域です。日経では香港の春節景気は堅調との報道が今朝ありましたね。昨年末より、中国は財政出動を始めており春節の時期ですが回復途上の動きも見られています。そのために年末から年初に掛けてスクラップ価格が1万円割れより2万円と回復の動きになっていますね。バルチック海運株指数も663と低迷していたものが980と回復している水準になっています。まぁ依然、水準は低いのですが…。
12月の輸出額は35%も減り、為替も円高に推移し加工貿易国の日本としては痛手が大きいのです。その為に輸出企業中心に株価は大きく下落しています。日経平均株価は値嵩株の影響を大きく受けるために、これらの株は輸出株が中心なので影響を受けるのですね。その決算発表への警戒感が株価を押し下げているのでしょう。どの程度、株価が業績悪を織り込んでいるかどうか…。なかには意外に健闘している企業もあるのでしょうが、蓋を開けるまで分からないと言う事でしょう。買い手の乏しい市場ですが、売り手のほうも多くはありません。既に投資銀行のポジション整理は一巡しています。残った売り手は少ないのです。だから12月より上がり始めた株価なのですが、ここでの下げは意外なのですね。理由は新政権の意向が分からないからでしょう。市場関係者はヤキモキしているのだと思います。今週末にはFOMCが開かれます。
投稿者 kataru : 2009年01月26日 18:12