今日の市況(2009年01月30日)
国内企業の決算発表は今日がピークを迎えると言います。昨日、発表された東芝の決算発表はフラッシュメモリの不振で大幅な減益決算になりました。下記の通りに修正されています。もともとフラッシュメモリは大赤字の事業で、エルピーダが苦しんでいるように、市況が崩れており業績が悪化するのは当たり前なのですね。何故、株価がこんなに下がるのか、僕も少しビックリしました。今日は67円安の318円です。昨年の安値290円を割らなければ良いのですが…。今のところ反転の兆しは見えません。しかしドイツのキマンダが倒産し需給が改善されれば良いのですが…。キマンダはDRAMメーカーだと思うので、フラッシュとは違うでしょうが基本的に同様の動きでしょう。サムソンが赤字ですからね。原子力など人気は高いのですが、業績の寄与度は大きくはないのでしょう。まぁ、それでも稼ぎ頭ですが…。
今日は海運株も業績発表をしており、それぞれ減額修正を出していました。商船三井は32%減の1300億円、郵船は36%減の730億円、川崎汽船は64%減の300億円にそれぞれ減っています。不定期船の商船三井なのに…流石、一流経営者の芦田さんです。基本的に市況は10月より急速に悪化しており12月に底を付けたようです。午前中に決算が発表されており、今日の株価に業績は織り込まれています。ただやはり下げましたね。商船三井の1株利益は107円程度で、株価は527円、PERは4.9倍、郵船EPS60円程度で、株価は430円で、PERは7.1倍。川崎汽船のEPSは47円程度で、株価は334円で、PERは同じく7.1倍です。足元の市況は改善中です。
一方、銀行株は昨日上げていた三井住友銀行は意外に下げていませんね。今日は160円安の3650円でした。しかし過去最高の営業利益を更新した任天堂は、為替損もあり通期の予想を2300億円に減額し、株価は4000円安の28200円とストップ安でした。もっとも気掛かりな日立は、先ほど決算発表をして通期で7000億円の赤字を計上する見通しだそうです。株価が300円を割れるわけです。ただ心配はないでしょう。既にかなり下げていますからね。巨額の損失は対処できてない経済環境だったので大幅に損失が膨らんだのです。日立の株主資本は2兆1580億円もありますから、簡単に倒産はしませんが、巨額の損失ですから話題になります。でも営業利益は黒字だから…。
トヨタが赤字になり新日鐵も通期では黒字ですが、1-3月期は赤字見込みなのです。
しかし新日鐵はキラリと光りますね。僕は三村さんの株式持合いを批判しました。あんな所で銀行との株式持合いを進めるべきではありません。畏れていたのはミタルの動きですね。ミタルは外資系金融から多額の借金をしてM&A戦略で成長してきましたが、ここにきて借金返済に迫られており大変ですね。一時、16兆円を越える時価総額だったので…今では3兆円を割れているのかな? 5兆円程度の新日鐵が飲み込まれる畏れはあったのです。何故、キラリと光るか?
理由は新興国に投資をしているからです。新日鐵はあの騒ぎで反省したのですね。そうして需要の見込める新興国への進出を加速しています。つまりグローバル対応がようやく出来始めています。新日鐵の今期の1株利益は27円程度でしょう。株価は269円でPERは10倍程度ですね。市況関連なので高いと言う見方がありますが…、同じ市況関連でもピーク時とボトム時のPERは大きく変化して良いと思います。今はPER10倍でも15倍程度でも僕は良いと思います。しかし昨年のような市況が高値の時にPERを10倍以上で評価すべきでないでしょう。市況関連は特に気を付けねばなりません。
今回の投資はワクワクするものを感じます。新日鐵の前身は国有企業ですね。官僚の巣窟のような古い考え方の会社が、グローバル展開し始めた事に意義がありますね。それもこの悪い時期に…三菱UFJ銀行と同じです。一方、日立は…加工貿易論にしがみ付いている印象です。商船三井は世界経済の動向で株価も動きます。昔のように情報が乏しし時代と違い瞬時に世界の動きが見えます。だから大規模なスクラップ化を実践していますね。船は15年間、運行するとその後は保険が効かないそうです。(お客様の話)つまり市況が高い時は自腹で損失を被れますが、市況が低迷するとスクラップ化しなくてはなりません。計画が立てられて行動されていますね。
これからの日本株の選別はグローバル展開が出来ているかどうかです。ホンダが二輪車の部品の内製化率を大幅に減らすそうです。日本では既に生産コストが合わないのでしょう。日立は全てを自前で作らないと気がすまない会社です。果たしてグローバル時代に、うまく生き延びる事ができるかどうか? 実は最後になりましたが、大幅な減益で驚いている人が多いと思いますが怖いことはありません。今日の日経産業新聞によれば、トヨタの一日あたりの生産台数が、いつ増産に転じるか?の予測を新日鐵がしたのだそうです。新日鐵の予測によれば4月17日が答えだそうです。その為に、どうも君津の高炉は再稼動を睨んだ「バンキング」と言う手法を用いるとか…。
多くの関係者が4-6月期に景気は底を打つと予測していますね。在庫調整が済めば普通の状態に戻れる筈です。人間の数は増えているし世界経済の落ち込みは、売上が30%も40%も落ち込むほど落ちているわけではないのです。人間は欲の動物なのです。
より良い生活をしたいと誰もが願っているのです。需給バランスが改善すれば市況関連の株価は大幅に戻るのでしょう。だから週末に大幅な赤字報道を見ても、あまり驚かないで下さい。
投稿者 kataru : 2009年01月30日 17:02