今日の市況(2009年02月20日)
市場は力なく下げています。売り物らしい売りが出ているわけではないのですが、政策への信頼感がないので買いたくても買えない有様なのでしょう。既に日本株式市場はグローバル化しており今日の低迷は2006年のブルドックソースなどに起因するのでしょうが、あまりにひどい有様ですね。金融の世界は連鎖するのです。
2月に入り倒産企業も急増しており、連日、報道されていますね。
2月5日中道機械(札幌市場)76億円、2月5日日本綜合地所(東証1部)2142億円、2月10日Spansion Japan(ナスダック子会社)741億円、2月13日ニチモ(東証2部)757億円、2月16日小杉産業(東証2部)97億円、2月19日あおみ建設(東証1部)407億円など…。普通、企業は売り掛け金に対応して手形を発行しています。その資金の回収見込みを前提に資金繰りをしているので、売掛金の入金がないと、黒字でも資金繰り倒産するのですね。銀行は既に危ないような企業には、貸し倒れ引当金を積んでいますから、倒産させても大きな損失が出ないこともあります。マンション会社から、その工事を請け負った建設会社が連鎖破綻するのです。
アメリカ大手のAIGを救済したのはCDSを保証しており、仮にその保証がないとヘッジ機能がなくなり、混乱が次々にばら撒かれるので金融システムを守る為に資金援助しなくてはならないのです。金融機関のレバレッジは10倍程度、CDSは70倍ほどのレバレッジですから波及効果が大きいのです。オバマ大統領は充分に金融問題のレクチャーを受けていると思うのですが…。何故か、経営陣のボーナスなどの報酬の話に言及し、金融システム不安を煽っているような談話です。市場はその発言の真意が分からないので、疑心暗鬼になっており手探り状態なのですね。巷の声のなかにはウォール街は救うのに、何故、一般市民を救わないのか?と言う疑問の声があるのだそうです。金融関係者には金融システムを理解しているので理屈は分かりますが、一般国民には、銀行も一般企業も同じに見えるのでしょう。
何故、株が上がらないか?
この金融システムの維持の為の不良資産の買い上げ問題などの理由もさることながら、他に金融規制の話しがあり、株高のシナリオが見えにくいのだと思います。市場原理主義者でも、明らかに今回の金融レバレッジは行きすぎで、モラルが欠ける行為だと思っています。だから強欲とレッテルの貼られたリーマンの破綻は仕方がないと思っていることでしょう。丁度、日本の日債銀や長銀のイメージでしょう。日債銀はあの当時、政治家の裏金ポケットとの評価もありましたから…。ここにきて再び銀行の国有化論が賑わっているようですが、シティーには中東のSWF(国家ファンド)の資金が入りドル資金還流の為に国有化はないと思っています。当然、バンカメも同じでしょう。
何度も述べていますが、ゴールドマン・サックスの株価は高いのです。50ドルを割っていたのが、昨晩は86ドルなのです。この株価が意味することは既に投資銀行業務で生じた損失を株式市場は織り込んでいるということでしょう。ところが…、これまで健全とされていたバフェットが投資したウェル・ファーゴ(WFC)は12ドルと最近の安値です。WFCは投資銀行ではなく商業銀行なのですね。その株価が安いということは、実体景気が悪化しており一般債権が悪化しているということですね。つまり最初は、投資の損失で損失計上すれば一過性の損失だったのですが、景気悪化の進展により損失が膨らむ負の連鎖が始まってきたという事でしょう。
11月にポールソン元財務長官は、反対を押し切って銀行の不良債権を買い取り始めればよかったのですが遅れましたからね。資産が劣化し始めているのです。2月10日の金融安定化策の発表は、具体性がなく最終結論が2週間から3週間遅れるとガイトナー氏は述べたとか…。既に1週間を経過し、早ければ来週の水曜日に…。まぁ、来月の始めには何らかの結論が出るのでしょう。先ほどの企業倒産の話もそうですが、指標には色んな見方があります。
先日掲載した日米の住宅着工件数の話しを覚えていますか?
先頃、米国の1月の着工件数が46万6千件と発表されました。それに引き替え日本は100万戸ほどあります。おかしいですね。人口増加率も、人口も、GDPも、全ての面でアメリカの方が有利なのです。この指標を見て景気後退は深刻で、株は駄目だという見方もありますが、一方ではこれはおかしい。いつか正常な状態に戻るから、今は異常な状態なので、チャンスだと考える見方もあります。株に買いと売りがあるように…。
有名な話で、ある靴のセールスマンがアフリカに行きました。そうしたら現地の人はだれも靴を履いていません。裸足なのです。一人のセールスマンは、これは誰も買わないや…。靴を履いている人が居ないから…と思いセールスを諦めます。もう一人のセールスマンは誰も靴を履いてない。これはすごい市場規模になるな…。皆に靴を履かせようと意欲満々になったのだそうです。
さて、この株安であなたはどっち派でしょうか?
投稿者 kataru : 2009年02月20日 19:23