今日の市況(2009年02月24日)
外部環境は全滅に近い症状です。
世界経済で明るい兆しが感じられるのは、中国ぐらいのものでしょうが、此方は意見が割れていますね。私は公共事業投資が呼び水になり、内需が盛り上がると考えていますが、民需の不足を補えないという見方が、相変わらず大勢を占めています。注目しているオリックスの株価は下げ続けています。この株は外人持ち株比率が大きく、投資銀行業務を秘めている会社ですので、売られ続けているのでしょう。しかし今日は久しぶりに強弱観が対立してきたようですね。出来高が通常より大きく膨らんでいます。更に全体相場も、意外にしぶといな…との印象を持っています。
昨日は米国で金融安定化策が出たようですが、既存の発表形態を追認するものだけの効果のようです。金融株の動向はシティーとバンカメは若干上がり、ゴールドマンとモルスタは少し下げていました。既に金融不安から実体経済の悪化に焦点は移っているようです。景気悪化が続き、このような下げ相場になりますと、根拠のない不安心理が先行し株が下げ続けます。ジョージ・ソロスの記事が、日経ビジネスに掲載されており面白く読みました。彼が得意とする「再帰生論理」が採り上げられていましたね。オバマ大統領は、再帰生と言う現象を充分にレクチャーされている筈で、既に実態把握も出来ている筈です。ソロスはポールソンの市場原理主義を批判していましたね。
ここで良く考えて下さい。おかしな現象はいつまでも続かないものです。
日本自動車工業会の発表数字を見ると米国の2006年の保有台数は2億4402万台です。年間純増で300万台ぐらい増えていますから、2008年はおよそ2億5千万台でしょう。この年の販売台数は1324万台だったそうです。先日、GMが発表した今年の販売予測は950万台から1200万台の予想でした。ゴールドマンサックスでは1100万台予想をしています。計算すると、買い替え台数が24年に1台の消費計算になり、耐久年数から見て、この数字の現実性は薄いのでしょう。過去の統計でも1700万台水準で推移していたようです。1月は中国での車の販売台数が米国を抜く時代です。
一方、以前、私が指摘した新規住宅着工件数の推移ですが、日本が100万戸に対し人口も、一人あたりのGDPも、人口増加率も勝る米国が、日本の半分の数字50万戸と言うのもおかしな現実です。株価が下がるから弱気になる気持ちは分かりますが、自分で統計数字を調べて考えてみれば良いのです。誰が考えても異常な数字が長く続く道理がありません。つまり株価もそうですが、いくらなんでも異常な数字が並び始めているのです。原油価格が100ドルを越えた辺りから、私はGDPが3万ドルを上回る日本人がガソリン高に苦労しているのでから、この現象は長く続かないと考え、BRICsの株式が下がるだろうと考えていました。同じ現象の逆が、今、起きていますね。
先が見えれば、恐くはありません。ここから恐慌論を言う人も大勢います。しかし現実の数字をみると、果たして真実はどうなのでしょうか? 昨日は日本株の水準が配当利回りの世界にあると言いました。成長力を失った日本ですが、地理的にも非常に有利な環境になります。清貧思想の賜物で、金融でリバティブの処理は必要ないのです。日本の銀行株は株式の評価損だけで一過性の損失計上ですね。トヨタが赤字決算を作ったので、右に倣えをした日本の製造業は在庫調整が完了したのです。そろそろ勇気を持って買い向かってみたいと再び考え始めています。米国株の株価位置も正念場です。
投稿者 kataru : 2009年02月24日 17:53