今日の市況(2009年03月13日)
昨日の「今日の市況」の最後に今晩のNY市場は見物だと書きましたが意味があります。昨日のNY市場は若干のプラスで夜間取引は下げていました。しかし相場の中身は銀行が上がっており、NYダウに比べ頑張っていましたね。その感触があったので、昨日のNY市場は高いかな?と思った次第です。蓋を開けてみたら案の定、7000ドル台を回復していました。G20が開催されているこの時期に高いのは、アメリカ批判をかわす狙いがあるのか? それとも金融規制が適度のものになるのか? どう考えるかで相場観は大きく変わります。今日はロイターのニュースで、此方の部分に興味を持ちました。
『国民からの高い支持率とは裏腹に、大統領の手腕に対して、経済界や野党共和党からは懐疑的な見方や批判の声もあったが、今回出席した財界首脳陣からはおおむね好意的な反応をもって迎えられた。「ビジネス・ラウンド・テーブル」の会長を務めるハロルド・マックグロウ氏は、経済界とオバマ大統領の関係について「誤解があるようだ。両者の関係は「オイルとビネガー」のようなものだと見る向きもあるが、われわれの観点からすると、(大統領と経済界の関係は)真実からこれ以上かけ離れることはできない」と述べた。また大統領は、規制改革は創造性や起業家精神を抑制するものであってはならないとの認識を示した。大統領は財界首脳陣に対し「金融市場をめぐり、われわれが必要と考える一連のかなり複雑な規制(改革の)問題が出てくる」と述べた。その上で「こうした規制改革は、革新や創造性、起業家精神を押さえつけることなく、システミックリスクに対応できるものにしなければならないことを十分理解している」と語った。』
株価の低迷で、一番、懸念されているのは金融規制の話しです。日本のように金融を過度に締め付ければ、清貧思想から経済は停滞しどんどん疲弊します。日本人はなんでも役人の責任にします。だから役人は行動そのものを規制しようとします。制限速度の問題を考えれば分かりますね。時速100キロの交通事故と時速30キロの交通事故では損傷は大きく違うしょう。だから役人批判を強めれば、どんどん速度規制されます。しかしそのような批判がなくなれば、30キロより100キロで走行したほうが、効率は3倍以上になりますね。生産効率は上がります。3倍以上、物が作れますから…。だから金融規制の話は重要なのです。レバレッジがかかっている金融の世界では、1の力の規制が10に増幅されます。
テレビや新聞は話題性を求めるのです。地震のニュースを見れば、わざわざ一番ひどい場所の取材をします。全体的にはたいした事はありませんが、断層の直下なら被害は甚大ですからね。マスコミを信じては駄目です。彼らの行動パターンの基本を認識して、自分でニュースを総合的に判断するのです。連日、シティーバンクの苦境を伝え、国有化される国有化されると同じように何度も報道されています。しかし何故か、ゴールドマン・サックス(GS)の話題が出てきませんね。勝ち組だった投資銀行のGSは、MSと共に株価はリーマンが破綻した後の高値近辺にいます。つまり、まもなくリーマンのショックから抜け出すのです。夏になるか秋になるか分かりませんが、GSは最初に公的資金の返済をするでしょう。そうして金融界が良くなってくると、今度は悪いシティーの話題はしないで、GSの話題ばかりをニュースとして流すでしょう。報道の性質とはこういうものです。
多くの市場のアナリストも同じ新聞やニュースに接しています。だから流されるのですね。おそらく市場では私のように、年がら年中、強気を述べている人は居ないでしょう。その私も流石に、ここ数日は嫌な感じがしていました。先日の三菱UFJの急落や昨日のNTTやJR東の下げは気持ち悪いですね。そうです。楽天も下げていました。考えてみれば楽天は相対的には他の銘柄に比べ下げていませんね。しかし市場全体が大きく下げるシステマチック・リスクには敵いません。日本がいよいよ外人から見放されていると感じる動きです。当たり前なのです。何故、私がブルドック批判やJパワーの北畑批判などをしたか? 本当に政策担当者は市場を理解しているのでしょうか? 最高裁の今井判事が、株主差別を容認したのですから驚きなのです。日本の景気敏感株の地位は衰退し、中国株が浮上するのでしょう。
SQの当日高くなったことは、これまでに何度あったのでしょう? 出来高は2億以下で裁定買い残が少ないのですね。先物価格と現物価格の逆転現象は配当落ち分の為です。今日の上げは相対的に先物からの上げのように感じました。今晩のGSは果たして直近の高値を抜けるのでしょう? それとも3連騰のあとに一服するのかどうか…。本当は一気に100ドル台に入って欲しいものです。今日はゴールドマン・サックスの株価の動きを見てください。金融規制の動きもおそらく株価に織り込まれるでしょう。今朝の日経新聞の市況欄に、中国景気のボトムは打つが急回復は困難として、新日鐵との株価を結び付けていましたが…。私は銀行貸し出しの推移を見ていると中国はすごい国だなと感じています。この矢継ぎ早の対策は、昨年末の米国のように感じていますね。何処に狙いを定めるかどうか…現時点では難しい判断ですね。
投稿者 kataru : 2009年03月13日 17:03