今日の市況(2009年03月16日)
G20が終わり協調姿勢は維持されました。
別の見方をする人は、どうにかまとめたものでEUとアメリカの溝は埋まってないと懸念する人もいます。しかし懸念していた金融規制は、どうやら容認される所で落ち着きそうです。世界の経済界の仕組みのなかで発言力があるのはGDPの大きさです。IMFの2007年度の順位は下の表の通りです。しかし昨年、中国はドイツを抜き実質3位になりました。世界の集まりでフランスが反対しようがGDPが1位から3位の国の主張が通るのは当たり前の事でしょう。しかしこの会議の結果で株価が堅調になっているわけではありませんね。日本の新聞報道を読むと暗い話しばかり報道していますが実態は違うのでしょう。
それでは、何故、日本の新聞報道は暗いのに、ゴールドマン・サックスやモルガンスタンレーが戻り高値を更新するのでしょう? 下のグラフを見ますとモルガンスタンレーの株価は三菱UFJ銀行が払い込んだ25ドル25セントの普通株(1億17百万株)の価格を上回り、25ドル43セントで終っています。残りの転換権付き永久優先株式(1億9346万株)の転換価格は31ドル25セントです。此方は10%の金利つきです。モルガンスタンレーの発行済み株式総数は11億株ほどです。
投資銀行が持っている社債の金利が下がってきているので利益が生まれているという指摘もあります。こちらはムーディーズが言っている最低適格債Baaの金利推移です。S&PではBBB(トリプルB)のものです。土曜日の株式教室にも書きましたが、投資銀行のバランスシートを見ると、既に過分な資産を削り評価損を計上したのですね。投資銀行の決算は11月です。Baaの金利推移を見ればわかりますが、峠を完全に越えていますね。一方、1年前に矢継ぎ早に金利改定を行い1年2月が過ぎます。金融緩和効果は調達金利と貸出金利の利鞘になって銀行の収益を押し上げます。何故、シティーバンク、バンカメ、JPモルガンと揃って黒字発言をしているかと言えば、この金融緩和効果が収益を押し上げている現実があります。1%の利鞘改善は200兆円の規模の総資産を誇る銀行ですから兆円単位の利益を生みますね。
お分かり頂けますか?
銀行株が上がる背景が…。勿論、土地の価格がまだ下がるので、利下げ効果以上に損が膨らむとの指摘もあります。ただ此方は買い手が被るリスクですね。銀行は間接的に被害を受けるだけです。米国はノンリコースローン(借り手は担保の不動産を手放せば返済をしなくて済むローン)が中心ですから、被害が少ないといってもやはり受けます。しかし仮に20年ローンで5年の返済が、既に済んでいれば、25%、土地が下落でも大丈夫なわけですね。いろんな考え方はありますが株価は正直に反応しているのでしょう。
今日は日経産業新聞の一面に中国が高品質の銅スクラップが中国に流れているという記事が掲載されています。鉄のスクラップ価格は、一時より下がり、中国経済の成長を心配する人もいるでしょうが大丈夫でしょうね。日本人だけなのでしょう。鉄鉱石や原料炭の値下げを強く要求しているのは…。中国の2月の鉄鉱石の輸入は4674万トンとなりました。これまでの最高輸入量は、北京オリンピックのあった昨年の4月4285万トンです。
このような背景をみて世界のアクティブなファンドは行動を開始するでしょう。今週号のビスタニュースにはこのファンドが狙う可能性のある「ディストレスト・アセット」の銘柄リストを載せました。保守的な人はリートでも良いのです。どっちにしても社債リスクプレミアムの縮小は、景気回復の合図とも受け取れますね。
投稿者 kataru : 2009年03月16日 18:39