今日の市況(2009年03月25日)
米国から金融安定化策が発表され市場の注目点はその実効性に焦点は移ったようですが、私は非常に良くできたスキームだと思います。各新聞社の解説は若干違うようなのですが、概ね下のようなグラフだと理解しています。図はCNNのものを元に作成しました。元本が100の資産が84に値下がりしているケースです。政府と民間が6ずつ資本を出し合い新会社を発足します。そうして残りの72は融資を受けます。この融資はFRBや財務省との解説が多いのです。つまり実質的に僅か6の資金で84の資産が買えるのです。僅か7.1%の資金です。しかも新聞によりマチマチですが連邦預金保険公社(FDIC)の政府保証がつけられていると言うことです。ここの解説は新聞によりマチマチ、しかし実質的に78の資金は公的資金で仮に損失が出ても6の損失で済むわけですから保証がなくても実質的な政府保証ですね。儲かったら儲けは折半で、損をしたら政府持ち。これは参加者が増えますね。売り手に有利なスキームです。だから株が上がったのでしょう。
新会社はボーナスなどの報酬の制約を受けませんから、ぼろ儲けのビジネスチャンスです。以下は実話です。日本でも2003年前後に不良債権処理が加速しました。不良資産をとにかく減らす為に、ただ同然の価格で担保の土地を投げ売りました。実際の売買価格が坪単価10万円している土地を1万円で投げうるのです。当然、その参加者はトンネル会社を使い1万円で買ったものを地元の業者に5万から8万円で売却します。あっという間に資金が5倍以上に膨らみ処理会社は大儲けをしました。日本は金融庁の強烈な指導があったので同じようになるとは言いませんが、このスキームなら処理会社も大幅に儲かるでしょう。おそらく売り手の銀行が資本を出し、子会社を設立して接点を見つけるのでしょう。
バーナンキとガイトナーの戦略はオバマ政権の説得に成功したのですね。ようやく財務省と連邦預金保険公社(FDIC)、連邦準備制度理事会(FRB)が連携し金融機関の不良資産を大量に買い取る戦略が動きます。早くも市場原理主義者の共和党は買い取り会社が有利過ぎると反対意見を述べていますが、AIGの目隠しが煙幕のように効いているのかも知れません。一時、AIGの問題が更なる混乱を誘うのかもしれないと心配しましたがこれまでの反応を見ると目隠し効果になっているように感じます。入札制を採用し競争原理が働き見事なスキームだと思います。早くもゴールドマン・サックスが公的資金返済を来月にも実現すると報じられています。読売新聞ではJPモルガンも検討中と述べていました。出口が見えてきましたね。
日本では貿易統計が報道され、輸出が49%も減っているとか…何度も申し上げていますが、この原因の根本は金融システム不安です。CDS円滑な取引の確立の為に市場を創設するなど、金融デリバティブの発展に繋がる良い意味での試練になりました。更なる飛躍へのステップが確立されるのでしょう。日経によれば東証は来年にCDSの取引市場を開設するとか…日本のチャンスだったのに…やはり金魚のフンですね。悲しい現実です。さて、私は昨日の今日の市況で26日の市場が注目されると述べました。理由は配当落ち日だからです。既に市場はテクニカル面で調整を欲しており通常ならいつ下げてもおかしくありません。本日の市場も非常に強い動きだったのですが、配当付き最終日だから強いと言う見方も出来ます。だから明日の市場は注目されます。なんと、みずほ銀行は8連騰です。
最近、感じるのですね。
相場が単調になっているのですね。発表された事象に素直に反応しています。上がる時は連騰するし…下がるときも同じ傾向があります。やはり目先張りの動きが影響しているのでしょう。昔の方が相場に深みがあり面白かったと思うのですが…。まぁ、これも時代の流れなのでしょう。
投稿者 kataru : 2009年03月25日 18:56