今日の市況(2009年05月07日)
先ずはアメリカ市場の動きから…
予想通りIMF増強論に脅える米国は株安になる事を嫌い、全てが景気回復のムードを作ろうと必死になっている様子が窺えます。少し前なら確実にバンカメへの340億ドルの資本不足は、株安に反応する筈でしたがLIBOR金利の金融危機を経験し、あの時点で今日の経済環境以上の悲観論を株価は織り込んだのでしょう。
しかし人間の感情とは不思議なものです。340億ドルと言えば3兆円を越えるのですから大きな金額だと思うのですが、1300兆円のGDPを支える大手銀行の一角であるバンカメの資本不足が、たった3兆円なら…大丈夫と言う見方も出来るわけで、どちらでも取れると材料ですね。ところが、このように発表前に何度も繰り返し、数字を問われている内に、市場はその材料を容認したわけです。市場経済とは面白いものですね。
本当に市場の評価が正しいのか? 間違っているのか?
結果は後にならないと分からないのですが、常に市場は実体経済を検証しその鏡になっているわけで主観が変更されているのです。私は一度、言ったら有言実行で、なかなか自分の考えを間違っているかな?と思っても変えませんが、市場経済で生きているのですから、天気のように意見を変えるべきかどうか…。政策批判するより、政策に自分の考えを合わせなくては、市場経済の中では生き延びれないのでしょう。
ストレステストの結果如何に拘らず、株は高くなる。との根拠は政策です。米国はたいへん上手く難しい状況をこなしています。しかし本番はこれからです。カンフル剤はいつか切れます。カンフル剤が起爆剤になり人々の行動が元の状態に戻れば良いのですが…。どうでしょう? 私のお客様の心理は、やはり昔のようなムードではないですね。かなり慎重になっています。当たり前ですが利食いを先行させているわけです。問題はこの儲けを全てつぎ込み、再び勝負を張れるかどうか? 傷は記憶になり心に残っているので、実際に行動するのは難しいのです。だから金融相場は悲観のなかで生まれて、懐疑のなかで育っていくのです。誰でも強気になって買い続けたら、直ぐに相場が終わってしまいますね。ストレステストの発表で、材料出つくしと見る向きも当然存在するわけです。
ここで問題は市場心理をコントロールする仕掛け人の存在です。この仕掛け人の力量が問われるわけです。折角、好条件の銘柄が見つかっても、仕掛け人が下手だと相場が育ちません。そんな意味で、今、介入しているファンドの力量が問われるわけです。ビスタニュースでは価格帯出来高の解説を少ししました。プロは常に売り物の壁を意識するわけです。お金がふんだんにあれば過剰流動性相場になります。兎に角、大きな会社でないと売り買いが出来なくなります。一値、1000万株程度の売り物がよくなるのですね。逆に、市場の信用評価損率などが大きくマイナスだったり、市場のロットが小さい時に大型株をいくら仕掛けても不発に終ります。分かりますかね? タイミングと環境の微妙なハーモニーが相場を作るのです。
ところが素人の人は自分が持っている株しか見ていませんから、お前の薦めた株は上がらないと言われ、怒られ信頼感が失われていきます。しかし前もって、どうしてこの株が上がるか? 理論的な解説をしておき、実際に予想通りの動きになると、単に儲かった事実より、ずっと信頼感が増すのですね。セールスとお客様の関係は、どんどん変わっていきます。その内、お客様はセールスを信頼し全任するようになります。ただ流石に3年も下落相場が続き、投資したお金がほとんどなくなると、お客様の信頼感も薄れ見向きもされなくなりますね。1年程度なら大丈夫、でも3年は駄目なようです。しかしうれしい事に3年間を経ても何人かのお客様はお付き合いがあるわけです。このような危機を経て相手の力量や考え方が学べて、より深い絆が作られていきます。互いにこの危機を糧にして大きく成長できれば良いのですが…果たしてどうなるか? 全てが結果だけの世界ですから…とやかく言われるわけですね。
今日は全面高の様相でした。やはり指標と言うのはある意味で正直なものですね。ISM製造業信頼感指数がどのような指数なのか私は詳しく知りませんが、内閣府がアンケート調査している街角景気と言う指標もなかなかのものですね。継続的に鉱工業生産指数と並べて見て行きたいと考えています。これからの相場をどうみるか?
私はやはり中国の台頭が、米国の背中を押していると思っています。だからようやく始まったばかりの相場だと考えているのですね。何度も言いますが…、あれはビスタの原稿でしたでしょうか? 読まれましたか? 中国が、何故、G20前にIMF増強論を持ち出したか? この事実が全ての株価の行方を物語っているのでしょう。
投稿者 kataru : 2009年05月07日 17:39