今日の市況(2009年05月14日)
NY市場の小売売上高が予想に反し前月比0・4%減(予想は0.1%増)、変動の大きな自動車などを除いたベースも0・5%減(予想は0.2%増)となり、景気回復がずれ込むとのことでNY市場は下げたと言います。私は、これは言い訳だろうと思いますね。基本的には上げたあとの利食い、更に銀行などのファイナイスに対する需給問題で下げたのだと推察しています。ゴールドマン・サックスは2週間から3週間、123ドルの公募増資に対する希薄化懸念の消化に、時間が掛かりました。ストレス・テスト後の増資ラッシュが発表されて今週で1週間ですから、まぁ今月末には利食いなどの弱含みの材料を消化するのでしょう。
今の段階では景気回復が確実ではなく、金融・財政政策によるカンフル剤で経済はもっているのですね。これが自然体の景気回復波動に入るかどうか?
ここに今の相場の焦点はあります。だから再三、引き合いに出しますが、みずほ証券の上野氏のような考え方も、当然、あるわけです。相場の焦点だから、何度か引き合いに出しているだけですからね。例えばトヨタですね。トヨタの昨年の秋号の四季報の1株利益の予想は406円ですね。利益は1兆2800億円の予想でした。ところが5月8日の今期の予想は8500億円の赤字です。なんと、たった6ヶ月の時間経過で2兆1300億円の見通しが変わるのです。しかし株価は3000円前後のボックスから上がり先日4080円を付けて反落し、今日は3510円ですね。同業のホンダ、日産、スズキの株価は堅調ですね。崩れている印象を持ちません。トヨタ独自の問題なのです。世界経済はホンダなどの動きに現れているように回復しているのです。
今の相場の焦点は、この見通しの差を考える場面なのです。回復するのか? それとも会社の予想通りなのか? トヨタ自信も下期は上期より回復するが回復は鈍く下期も赤字予想なのですね。しかし他の自動車会社の株価は、明らかに違う動きをしています。1-3月期が底で、徐々に立ち上がっていると読んでいるのです。日産自動車は、追浜工場で生産しているマーチ5万4千台を、タイのサムアイ日産に海外移管をします。なんと3割も生産コストが下がるそうですね。完全に日本は完敗です。何故、私が厚生労働省のグッドウィルに対する指導を批判したのか? 労働コストをあげれば、当然、雇用機会は失われます。社会保障などを維持する為に現状の法人税を維持すると、諸外国から見て割高なので、逆に雇用がなくなるのです。そうして、今日の読売夕刊に書かれているように、30歳代の働き盛りの人が失業し、自殺に追い込まれる人が増えているという記事の結果になるのですね。
地方では悲惨ですね。
まともに食える人は公務員ぐらいのもの。国家戦略がないから株価は上がらない。そうして火曜日の日経新聞の「大機小機」に書かれているように、中国のアジア戦略が実を結び「元」の通貨圏が構築されて、日本の地位はどんどん下がるのです。ただ最近の官僚は政策運営に必死になって、麻生政権を支え頑張っているのです。だから街角景気がプラスになっています。
今日は株価が下げていますが、要するに利食いによる短期調整なのです。決して、今期の見通しが赤字で下げているのではありません。この予想は外れるでしょう。その理由を、これから掲げますからね。
ロームの沢村諭常務は「家電を中心に3月から受注が戻り始めている。」とコメントしています。3月末の受注残は225億円で前年同期比を24%も上回ったそうです。村田製作も同様な発言をしており、このたび、1-3月期の工場の平均稼働率は45%から70%に引き上げたそうです。電子部品各社はこの通り…。素材もそうですね。3月末の主要3品(熱延、冷延、表面処理鋼板)の在庫量は前月比5.7%減となっています。日立金属の話しでは1-3月期の5割操業から概ね7割操業に戻っていると言います。3割強だった稼働率が5月、6月は最大5割程度まで戻ると山陽特殊製鋼の談話など…があります。V字型回復とは言いませんが、レ点型と言うか…もう少し回復が鈍いかもしれませんが、要するに先行きは明るいのです。
それでは何故、今日の下げは弱く感じるのでしょう。
それは日本にまともな投資家が育ってないからですね。目先筋の集まりだからムードに流されますね。買い方も利食いは最近ですし、あまり大きな儲けになってないから力が弱いのでしょう。一方、売り方はこれまでの3年間の儲けが蓄積されていますから…ストレス・テストのイベントが終了し材料が出尽くし、だからカラ売りだ。その利食い売りとカラ売り圧力に負けているのでしょう。しかし利食いはそう多くないし、カラ売りだって恐くて株価を下げてまで売れませんね。だから早晩、株価は回復するでしょう。昨日のインドの鉄鋼会社の生産量ではなく販売量でしたね。SAILが前年同期比29%増、タタ製鉄が31%増だったそうです。鉄鋼3位のJSWは粗鋼生産をなんと60%も増やしたそうです。JSWは年間生産量280万トンを、年間610万トンに増やすそうですね。この伸び率は、流石、BRICsですね。
最後にかたる君の失敗銘柄の「ベンチャリ」のアフターです。残念ながら1-3月期の決算が出ましたが改善が見られず、依然、自転車操業状態のようです。ここで大切なのは財務キャッシュフローと営業キャッシュフローのバランスですね。早く収益規模に見合った体制にしないと持ちません。業績面で回復の兆しが出て、再び安値をお客様に薦められる日が来ると良いのですが、残念な結果です。かたる君はハイリスクの値動きの荒い銘柄が、本来は好きです。しかし最近は過去の失敗を鑑み、ネット上ではまともな銘柄を中心に分析し取り組んでいますね。でも今、手掛けている銘柄はかなりリスキーかな? まぁ、逆を言えば、それだけ大きな結果が期待できるのでしょうが…。やはり株は上手く出来ています。大きな儲けを狙いに行けば、当然、リスクが高くなりますね。何とか早期に挽回しないとなりません。まぁ、少子高齢化の上、政策が政策だから何処までやれるかどうか…。しかし最近、ようやく出口が見え始めているように感じます。
投稿者 kataru : 2009年05月14日 18:24