今日の市況(2009年05月19日)
不思議なものですね。今まであまり聞いた事がない全米住宅建設業協会(NAHB)が発表した5月の住宅市場指数は16となり、前月から2ポイント上昇、昨年の9月の17以来8ヶ月ぶりの高水準とか…。ケース・シラーや住宅着工件数は有名ですが、この指数はあまりこれまで注目されたことはありません。昨晩は、この話しやGSがバンカメのレーティングを引き上げたとか…。このような背景から金融株中心に米国株は上昇したと言います。
一方、国内では経済産業省の鉱工業生産指数の3月の稼働率が発表され、昨年の8月から100を割ったのですが、第3四半期、第4四半期と急落していた稼働率が2月の60.5より3月は61.0と、6ヶ月ぶりに上昇になったとか…。金融危機から景気後退の環境だったので、サプライチェーン・マネージメントの普及による急激な生産活動の自粛は在庫整理の期間を短縮するので、景気回復期には立ち上がりも早くなる筈ですが…。果たして、これからどうでしょうか?
もう一つの話題は、中国の鉄鋼減産の記事ですね。在庫が生まれているとか…。
中国経済の成長が日本経済にとって救世主になるとの見方があるようですが、これを否定する情報で、みずほ証券の上野さんは「中国『救世主論』へ警告を発してきた立場を補強する材料が出てきた」と読み解いているとか…。私から言わせれば、それでは中国の新車販売の30%増を、どうやって説明するの?と問いたいですね。一時的な現象なのでしょうか? あるいは、上野さんが正しいなら、上海総合指数は下がる筈ですね。株が上がり、経済が悪化するなんて有り得ませんからね。私は彼の話は矛盾しているとおもいます。
…とは言うものの、中国だけで世界経済の悪化を補うのは、どだい無理な話です。しかし、ここに来てインドの躍進や、ブラジル、ロシアも立ち上がり始めています。どちらにしても、この論争の結果は7月にならないと分かりません。当面はこのような議論が、市場の注目の的でしょう。米国金融が一山越えて、次は金融規制に焦点は移りますが、今のところ過剰な規制は避けられそうで、早晩、金融システムの混乱は沈静化して、徐々に回復に向うのですが、そのスピードの読みに、強弱観の意見対立があるのです。JPモルガン、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレーは公的資金返済の申請を行ったと伝わっていますが…どうなるのでしょう。
水準訂正が行われ、今は、下値ボックスを抜け出せるかどうか?
ここに焦点があるのでしょうが、現段階の生産活動は良い所で70%まで戻っているようです。しかし大半は50%程度の水準なのでしょう。これでは黒字を作れと言うほうが無理な話です。4-6月期の、どの段階で70%の生産活動に戻るかどうか? この生産活動が80%になれば、ほぼ回復路線との意見が多くなるのでしょう。この数字は、上記の鉱工業生産指数の稼働率とは、若干イメージが違います。決算発表で経営者が述べた実感数字の話しですね。
以前、新日鐵が高炉を止める時に、5月の連休明けに車などの生産活動が戻ると話したのを覚えていますかね? 概ね正しいのですが、若干、あの時の予想より現実は遅れているような印象を持ちます。幾つかの大切な話題のテーマに書きました。株価位置を決める決定的な要素の話しです。このような話の流れを理解してないと、株価の判断を間違いますね。今日は多くの人が、NY市場の上昇から、株価は再び急伸すると思ったのでしょうが、実態は先物からの上げとの印象ですね。中身の乏しいものでした。何故、このような展開になるのか? ある程度、週末のビスタの原稿で解説しましたね。なかなか一気に新高値を突き抜ける相場にはならないものですね。
投稿者 kataru : 2009年05月19日 17:54