未来かたるが語る

今日の市況

今日の市況(2009年12月16日)

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いつも思うことですが、本当に今回の危機は米国発なのでしょうか?
下のグラフは日本と米国の鉱工業生産指数を比べたものです。日本は平成17年が基準ですから2005年かな?…を100としていますが、米国は2002年が100となってその後の統計を取っています。グラフから分かるように、日本は世界景気に対し敏感な影響を受けるのですね。ただ中国のGDPを見てもわかるように、2001年ごろから世界市場の景色図は変わります。例えば来年は日中のGDPの総額が逆転します。更に今年、既に中国と米国の自動車販売台数は逆転しています。勿論、中国は価格の安い車が中心で米国とは違います。しかしこのように勢力図は大きく変わっています。ところが日本の経営者は中国嫌いの人が大勢いるようです。

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70歳代や80歳代の人は、中国をかなり毛嫌いしています。
多くの人に共通している感情は、中国人は人をだますと言います。私のお客様も騙された人がいらっしゃいます。先日、上海総合株価指数のETFをお薦めした時に…中国は嫌いだから買いません。と何時もは嫌だといわない人が、珍しく断りを言うのですね。このような影響か?…日本企業は中国進出が遅れています。三菱マテリアルがこれから中国に向うとか…今日の新聞に掲載されていました。さらに先日は日経ビジネスだったかな? 当然、進出していると思っていた大企業の信越化学が、意外にもこれから中国に出るというのです。この辺りの影響が鉱工業生産指数にも表れているのかもしれません。それとも内需の影響かもしれません。

生産活動を活発にさせる為に、不可欠なのが金融ですね。金融拡大なくして経済の好転はありません。しかし今日はデフレ経済の元凶である原因の一つに、「変化の兆しあり」…と日経新聞は報道していました。

そうです。銀行の新BIS規制の延期です。少し長くなるけれど…間違っているかもしれないが僕の見方を解説しましょうかね。米国は少ない資本で、他人資本を借りてレバレッジをかけて投資していました。通常の10倍程度を20倍へ…当然、利益は膨らみますが失敗したら大きな損失が生まれます。それがサブプライムローンやCDSなどの金融デリバティブです。商品相場への投資もその一環です。失敗が引き金になり金融不安が起こり、金融が縮小したのが今回の金融危機です。失敗に懲りた世界の流れは銀行への規制です。つまりレバレッジを掛けさせないための規制が、世界の流れですね。BIS基準が厳しくなります。

欧米の銀行は他人資本を使って自前で集めたい以上に運用していますが、日本は自前で預金を集めていますが、運用は殆んどしていません。だから総資産に比べリスクアセットが低いのでしょう。このリスク資産は株式などの変動比率が高いような…危険度を秘めていると商品ごとに、比率が厳格に決められています。国債は低く株式は高い。所謂、リスクウェートと言う基準です。詳しく書いていくと…長くなりますね。要するに…リスクアセットに対する自己資本が何パーセントあるかどうか? この基準は、一応、国際業務銀行は8%となっていましたが、優先株などの配当が決まっている株は除外するというコアTire1と言う基準を、今、世界で創ろうとしています。

ところが…回復が間もない不安定な所にドバイショックが発生し、イギリスで金融機関の従業員に対し高額報酬に対する税金規制が発動されました。フランスの話しではありません。金融立国のイギリスの話しです。驚いたのでしょう。慌ててバンカメが公的資金返済を唱え、今回、シティーとウェルファーゴが続きました。問題はこれに伴いリスク資産も政府から自己勘定に変わり一気に自己資本が下がり、貸し出しと言うリスクが取り辛くなりますね。雇用問題が指摘されている回復途上期に、金融拡大がなければ景気は回復しなくなるから…今回の新BIS規制延期が持ち上がったのでしょう。もともと欧米の銀行に比べ、普通株のコアTire1が低くて、株価が過度の増資懸念から売られていた日本の銀行株が、世界で一番、この話しで影響を受けるはずです。なかでもみずほ銀行です。

5月に世界の株価と共に回復していた銀行株は、増資懸念から流れが逆転して下がり始めました。不良債権は世界で一番低いのですね。何しろバブル崩壊の影響が色濃く、金融庁は過剰な清貧思想マニュアルを採用していますから、危ない融資残がありません。問題は自己資本の問題だけだったのです。日本は長い間、右肩上がりの成長論だったので、総資産拡大経営をしています。日立のように…。何でも自前で作ろうとするのです。効率はそっちのけ。だからデフレ社会になると、おかしくなるのが日立です。赤字を増資で埋める補填をしたのです。銀行も同じです。利益の割りに、総資産だけが膨らみます。これは日本村維持コストですね。株式の持ち合いを例に考えると分かりやすいですね。

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三菱UFJ銀行の財務を見てください。三菱UFJのリスクアセットは97兆3682億円。自己資本は12兆9489億円ありますが、この内、Tire1の資本は8兆8943億円です。しかしこれには優先株と優先出資証券が含まれています。高額の利息(配当)を約束した証券ですね。これは経営内容が悪化しても払わなくてはならないから…、この分を除くのがコアTire1です。コアのTire1は8兆8943億円から優先株と優先出資証券を引いた6兆6533億円になります。このコアを分子にしてリスクアセットを分母にして割ると6.83%になります。先日の話し合いでは4%と言う基準から6%と言う話だったのですが…。本来は10%以上が望ましいとされています。このリスクアセットにはモルガンスタンレーの普通株なども含まれています。今回の増資で1兆円ほどコアが上乗せされて8%近くになるのですね。

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他にもあるのですよ。色々と…。日本は個人の預金を運用していますね。だから原資は安定しています。ところが欧米の金融機関は他の銀行から預かったりしてお金を信用力で借りて運用しています。要するに武富士のようなものですね。信用がなくなると誰も新規資金を貸してくれないから行き詰まります。アコムは三菱がバックにいますが、武富士は財務内容がいいのにバックはいない。この違いを日本は指摘しています。馬鹿らしいでしょう。こんな事で日本の景気が悪化しているのです。大手銀行は自己資本比率を守るために貸し出しをしないで回収に走ります。故に日本の銀行貸し出しが中国と比べ伸びないのですね。デフレ・スパイラルですね。借り入れのジャンプが出来ずに、ダヴィンチは資産を売りますね。どんどん負の連鎖が働いています。資産デフレです。これが今の日本です。

日経新聞の報道が本当かどうか?分かりませんが…仮に、本当に10年間延期されれば、みずほは今期2000億円の利益をあげます。通常なら5000億円ほどの実力があります。つまり2兆円不足なら4年から10年で基準をクリアできますね。そうすれば貸し出し余力も出てきますから、中小のマンション業者もお金を借りることが出来ます。そうして建設活動が再開され、H製鋼などの建材価格が上がり、景気は回復しますね。雇用も守られます。元凶は金融だから、金融庁のマニュアルを変えて、昔のように…貸し出しは現場が決める支店長決済にすれば良いのです。簡単なのです。亀井さん。あなたの一言で景気は回復します。

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投稿者 kataru : 2009年12月16日 19:07