今日の市況(2010年03月04日)
本日の日経平均株価もこう着状態になっている印象です。
新聞を読むと弱気な見方ばかりを紹介していますね。市場には常に強弱観が対立する見方が存在し株価が形成されています。まぁ、私の場合はいつも強気の意見を取り入れています。残念ながら政策運営が間違っています。故に失われた時代が何年も続いています。
白川総裁の「忍耐強く金融緩和姿勢を続け需要の回復を待つ」と言う待ちの姿勢が続いていますが、日本経済の本来の実力は2005年のラインかと考えています。理由はその時に一部の金融機関を除き、バブルの清算が終了したと思われます。故に銀行貸し出しがバブル時から減り続け、増え始めたのが2005年なのですね。
ところが前福井総裁は外資系の力を自力回復と思い込む間違いを犯し、必要以上の引き締めを実施した所に、ベア・スタンーズのサブプライム問題を発端としたCDS問題に発展し、リーマンの倒産と言う金融危機が重なり現代に至っています。長いバブル整理を行って脆弱な体質の金融界はこの嵐に翻弄されます。未だに自己資本比率規制で試練を受けています。2012年には国際会計基準の導入が控えており、事業会社も年金債務などを整理しなくてはなりません。そんな経済環境なのですね。
今日は少しビックリしました。
実は日本の林業は長い海外価格差の試練を受けて壊滅的な状態なのです。北米からカナダ、ロシアなど海外からの輸入木材に押され国内産業は何時しか居なくなりました。ところが今は、いつの間にか原木価格は日本が世界で一番安いのだそうです。(お客様の話)そうして中国やインドへ輸出していると言うのです。でも同時に日本の材木などは、海外から製品輸入しています。何故、高い原材料費を使った海外製品に国内製品は勝てないか?
どうも確りと乾燥した製品を生産する業者が日本にいないようなのです。わざわざ、輸送費のコストをかけて日本の原木が中国へ行き、中国で製品化して日本に再び輸入する。そんな構図のようですね。
同じことが車で起こります。
日産のマーチはタイで生産していますが、日本に90万円のマーチを輸入するそうですね。現地の部品を使うのだそうです。でも考えて下さい。日本のメーカーが揃って海外進出して部品を供給しています。製品に占める人件費の割合はそんなに日本が割高だと言う水準かどうか…。輸送コストなどを考えれば充分勝負できると思います。
今日の日経新聞の社説を読んで下さい。
たぶん、この社説のネタ元はサムソンも元常務吉川さんの話でしょう。
サムソンに強さの理由を、彼は日本製品を先ず分解して組み立てるのだそうです。そうしてトッピングで付けられている、色んな機能は外して簡素化して自社製品として売るのだそうです。これで世界一です。基礎研究は日本にさせて肝心な部分は真似をする。以前の日本とアメリカの関係に似ていますね。ツガミは忙しくて休止していた国内工場を再開させたそうですね。勿論、中国の工場は増設です。ツガミの躍進はサムソン方式です。要らない機能を省き、価格を下げたことが成功したのですね。2年前に決断しました。ところがエンシュウも岡本工作もこれから中国進出を考えると言います。この時間のズレは経営者の判断ですね。
ファナックの稲葉さんは目を丸くして、今の残業ラッシュに驚いていると言います。稲葉さんは業界でも経験豊富なおじいちゃんですね。その人が驚く回復振りなのです。しかし先ほどのエンシュウの社長は生産回復まで5年はかかると寝ぼけた談話をしていました。まるで日本の政治のレベルです。森精機が若干遅れたのは中国も取り組んでいましたが、やはり軽視したのでしょう。私は日経新聞社の責任だと思います。小泉政権の時間的なロスは大きいですね。トップが阿呆だと日本国民が苦労します。社長がアホだと社員が苦労します。
先程のサムソンの元常務の吉川さんは、一度、日本は負けを素直に認め、韓国から学べと言っていました。日本独自の技術に拘るあまり、NECも衰退し、最近ではパイオニアが凋落しました。ドコモもそうだし…。何故か私には、フジテレビの日枝さんとダブりますね。小さな事にこだわり大勢を逸しているような気がします。今日の日経にはサントリーとキリンの合併破談や三菱自動車のことが書かれていましたね。みんな細かいね。そんなに小さな小山の大将に拘るものでしょうか? 後進に道を譲れば良いのに…。
今日の新聞で驚いたのは、宝鋼集団と新日鐵が作った宝鋼新日鐵自動車鋼板(BNA)が2ヶ月前倒しで、薄板生産量を1.6倍に増やしたと言うのです。なんと、このシェアが中国自動車界の5割だと言うのですね。(本当かな?)しかも鉄鋼商社の話しでは、薄板が足りなくて稼働率が上がらないというくだりもありました。この記事の価値は非常に高いですね。今、市場では三角保ち合い(さんかくもちあい)で、株価が上に行くか、下に行くか、意見が分かれていますが、現実はファナックの稲葉さんが目を丸くしたり、製品を1.6倍に増やしたにも拘らず、足りないのが現実なのです。株はなかなか値段が飛びませんが儲けるのは簡単ですね。
薄板を作るために必要な副原材料のメーカーの株を買ったり、残念ながら商船三井は人気になりませんでしたが、人気株になる背景があるのですね。日経新聞の商品指標欄にパナマックス型とケープ型の料金が接近していると報じられています。普通、こんな馬鹿な現象が続くことはありません。7万トンと15万トンの傭船料が同じことはありませんね。つまりBDI市況は底値だということでしょう。鉄鋼石価格の改定を巡り、鉱山会社と鉄鋼会社が交渉している影響もあるのでしょう。このような背景があるのに、株を空売りする人がいるのは、いくら目先張りと言っても行動様式として間違っているでしょう。
いつも思います。株は大勢観が大切だと…。
私の失敗は中央銀行である日銀が毎月ベースマネーを大きく減らしていたのに、強気ばかりを通した事にあります。一番大切な根底を見失っていました。今は不満を感じますが、曲がりなりにも日銀は一所懸命に(いや、嫌々か…)流動性を供給しています。だから、あまり神経質に目先を狙うのはどうでしょう。そういえば今日、マツダをお客様に薦めていたら、こう言われました。テレビで理路整然とギリシャ問題などを材料にして、円高・ドル安、ユーロ安を唱えていたアナリストがいたらしいのです。私はこう応えました。
素人が知る時には、方向性が転換する時です。お金を貯めて辞めた外務員の人がいつも言っていました。株式の最大の好材料は材料ではなく株価で、株が下がることが最大の好材料だと…。果たしてどっちが正しいのでしょう。
一方、弱気な見方も紹介します。NY市場は嘗ての日本のバル崩壊のように10年移動平均線を短期間しか上回らないと言うテクニカル上の意見があります。
日本はバブル崩壊後93年の4月、2000年の2月、そうして2005年の11月の3回だと言い、いずれも1ヶ月、2ヶ月間しかありません。しかし2005年だけは2年間上回っています。つまりこのテクニカル論で言えば、今のNY株価は天井圏だと言うのですね。このような見方もありますね。
投稿者 kataru : 2010年03月04日 17:58