今日の市況(2010年03月19日)
昨日は国土交通省から地価公示の発表がありました。
このところ地価はマイナス圏で推移し、完全に土地神話が崩壊しています。1992年からずっとマイナス圏で14年ぶりに2006年から2008年とバブルの清算を終えてプラス圏に復帰したのに、日銀は過剰なバブルの反省から、急激にベースマネー縮小させ、貸し出しを減らす方向に舵を切ったのです。故に再び資産デフレの世界です。ようやく前年度比較のグラフを日経新聞は使うようになりましたが「資産デフレ」の言葉を掲載しませんでした。読売新聞の山本正美記者が「資産デフレ懸念」と言葉を選び、逆資産効果の話しの記事を書いていました。
残念ながら、踏み込んでないし言葉が足りないでしょう。資産デフレ懸念ではなく、完全な資産デフレです。企業は時価会計で評価替えをして赤字を計上し、雇用が失われているのです。15年もデフレ状態を放置して…何を考えているのでしょう。誰にでも簡単に景気浮揚などできますね。土地担保融資を復活させ、貸し出しノルマの窓口指導をします。中国は不動産業への融資を絞っていますが、日本は逆に不動産業へ積極的に貸し出しを行うべきですね。亀井さんの管轄する金融庁と日銀の担当分野です。亀井さんは財政出動を鳩山さんに求めたと伝わっていますが、自分の担当省庁で簡単に景気浮揚は出来ますね。
ベースマネーと貸し出しの関係、そうして地価の関係のタイムラグはこれほどあるのですね。ベースマネーを積極的に増やし始めたのが2001年9月14.2%増から2004年3月11.9%増まで、前年度比で二桁増の信用創造を行っています。驚く事に2002年4月は、なんと36.3%まで増やすのです。この金融政策を受け、貸し出しが底打ち打ちするのは2005年6月です。ここから銀行貸し出しは増え始めますが、実際に地価が上がるのは2006年からですね。おそらく金融政策の効果はこれくらいのタイムラグがあるのでしょう。日銀が金融危機からベースマネーを増やし始めたのは、昨年の2月からです。ただ2001年からのように二桁台に増やしているわけではありませんが、それでも緩和姿勢です。「かたるの失敗」の原因と位置づけている日銀の金融政策が変わり、株式市場もようやく元気を取り戻しつつありますが、何度も言うとおり、未だに異常な株価水準なのです。
上記の三つのグラフは非常に重要ですね。つまり日銀がこのまま緩和姿勢を続ければ、やがて都心の地価も上がり始めるのですね。このスピードを上げるのは土地を担保とした銀行貸し出し増加の窓口指導を復活させれば良いのです。出来れば、日本も20%の投下資本ならノンリコース方式を採用させるべきでしょう。都市銀行は貸し出し競争に走りますね。何故なら、高い地価になればリスクが増します。今のような安い水準なら20%下がるのは大変ですから、銀行のリスクは軽減されます。窓口指導の継続期間が長ければ、不動産貸付が少ない銀行はペナルティーを科されますから、不動産融資の貸し出し競争になります。固定資本形成の投資が膨らみ、世界中から資金が集まりますね。景気回復なんて簡単ですね。
何故、こんな事を実現させないのでしょう。
まぁ、この方法が正しいかどうか分かりません。国境の概念をなくしアジアの社会資本整備を中心に開発したほうが理想かもしれないし…どちらが良いのでしょう? 日本の戦略的な発展は電子カルテやレセプトの整備やITSなどの高度交通システム開発かな? 官が主体にならずにPFIでやれば良いのです。政府は保証業務など留めるべきでしょう。いくらでも景気浮揚の政策手段はありますね。効率化社会の構築に向けてキャッシュレス社会を構築すべきでしょうね。まぁ、私が考えることではありません。
今日は公示価格の発表と共に注目している博打株のダヴィンチのニュースが流れていました。14日のBNPバリバの220億円融資は、他の金融機関が30日のシンジケートローンの返済延期に同意すればとの条件付きで、6ヶ月間の延長に合意したと流されていました。ノンリコースの物件なのか…どうか? この記事だけでは、すぐに倒産に結び付くのか?…判断できませんが、やはりジャンプさせるべきだと思いますね。これこそ金融庁の窓口指導で…口先介入すべきです。まぁ市場原理派としては倒産も仕方ないのかもしれませんが…。どんな企業でも延命処置を講じることが出来ます。そうして時間的価値で国家戦略が変われば、延命した企業も何れ正常化に向います。要するにどれだけ輸血するのかどうか…。輸血する価値がその企業にあるかどうか…。この辺りの判断は銀行のトップがする事になります。
今回の日銀の更なる金融拡大により、株式市場は少しずつ正常化に道を歩んでいます。ただ未だに大手銀行株を上げることが出来ずに、底上げの循環物色が続いていますね。本当の正しい姿は、三菱UFJ銀行から、みずほまで上がり不動産、証券と広がるパターンですが、まだ市場には充分に資金が回っていませんね。14年ぶりに地価が上がったのに、福井さんは澄田さんの犯した間違いの反省が強すぎたのですね。金融政策は漢方薬のようなものなのでしょう。今度こそ失敗をしないで、ゆとりが生じるまで拡大政策を続けて欲しいものです。やはり人間は向上心のある動物だから、インフレ社会でないと社会に元気が戻りませんね。デフレ社会は役人と年金生活者が豊かになる社会です。そろそろ鬱病が増えてる若者向けに政策の基軸を振るべきでしょう。
最近、お客様によく話すのが中国の毛沢東が行った文化大革命の話しです。あのような陰の暗い時代があったから、今の高度成長の躍進時代が存在するのでしょう。1989年から既に21年になる暗いデフレ時代は、やがて新たなる躍進の時代に向う糧となるのでしょう。
投稿者 kataru : 2010年03月19日 20:57