今日の市況(2010年03月24日)
米国では2月の中古住宅販売件数は年換算502万戸で前月比0.6%減少しましたが、市場予想の495万戸より多かったことなどを好感し上昇したと言います。シティグループのストラテジストであるロリ・カルバシーナ氏は、「過去のバリュエーションと比較してそれほど割高感があるとは思わない」と株価について述べているそうです。
好調な展開は米国だけに留まらず、日本でも同様の動きを示し騰落レシオで134と日経平均株価も続伸していました。ただ内容は指数による上げで個別株が賑わう力強い、儲かる相場ではないですね。銀行株の緩やかな上げ波動を見れば分かります。野村證券など代表的な展開かな? 人気株の誕生はなく市場のコンセンサスをなかなか得られませんね。どちらかと言えば主力株が買われる相場ではなく、出遅れ物色の展開なのでしょう。
市場参加者の中には、騰落レシオなどの指標を気にする人もいるでしょう。例えば134の騰落レシオですが…減数の関係もあり、あまり気にする必要はないと思います。仮に何かの影響で全体の調整波動を強いられても長い調整にはならないと思っています。当然、銘柄により、既に調整波動に入っているものも、かなりあるとは思いますが、短期調整の理由は、半導体市況を見ても分かりますが、すこぶる好調な様子ですね。半導体各社は東芝など設備投資に向っています。自動車輸出なども連続で回復しているし…。相場の盛り上がりに欠ける展開は、やはり第一生命の資金調達などが市場に影響しているのかもしれません。
今日は日経新聞が海運のことを書いていましたね。週末、株式教室で書いたように商船三井はこの時期、面白い存在なのです。しかし全体相場は戻り高値を更新している割に、出来高は膨らまず、相当に市場参加者の損失は大きいのでしょうね。だんだんリスクを取るような動きになるのですが、なかなか高値の新値を追い、買い続ける展開にはなりません。しかしここに来て市場性の薄い新興市場の銘柄は、ようやく株価が飛ぶようになっています。
先日、株式教室で掲げたPERで評価できずに、PSRを用いたITバブルの話しをしました。今日はその続編です。通常の経済状態で、時代変化がない時は、どんなに勢いが良い業績見通しでも、PER100倍が株価を評価する最大値(限度)でした。しかし時代変化を背景にしたITバブルの時は、新興市場にベンチャー企業が集まり、PERでは株価を説明できなくなり、PSRと言う尺度が用いられました。理由は小さな会社が上場できるようになった背景があります。昔は売上高が10億円程度の小さな会社は上場できなかったのです。
新産業の高成長とそれを受け入れる時代変化で、勢力図が変わり始めました。一例を掲げればネット広告業界でしょう。2009年はついに新聞広告料金の6739億円を抜き、7069億円と成長しています。ラジオは1370億円、雑誌は3034億円に対し、ずいぶん大きくなっています。残念ながら、まだテレビの1兆7139億円にはまだかなり水が開いています。兎も角、何もなかった業界でしたが、1997年11月にヤフーは上場しました。当時のヤフーの売上げは4億円ですからね。僅か、13年で700倍の2800億円まで膨らむわけです。
このような成長が見込める可能性がある銘柄を、PSRと言う尺度で買い進んだのがITバブルでした。1999年暮れの相場を思い出します。1万円まで売り買いを続けていたソフトバンクですが、当時、常識だったPERの尺度が利用できなくなり、1万円以上のソフトバンクを買えなかったのです。しかしそれからソフトバンクは、あっという間に約20倍の19万8千円まで急騰します。PSRの尺度は売上げの小さな銘柄に利用できるのでしょう。何故なら10億円程度の小さな売上げを10倍にする事は容易ですが、1000億円の売上げを10倍にすることが非常に難しいですね。
つまり売上げが5倍、10倍と増加する可能性が見込めるなら、PSR100倍と言う評価も成り立つのでしょう。故にあの時にヤフーはPSR870倍を付けたのです。それでは理論的にどうなのでしょう?
10億円の売上げで営業利益率が50%の会社が、売上げが5倍になると50億円で営業利益は25億円です。実効税率を40%として税引き利益は15億円になり、PER50倍に買うと時価総額は750億円です。…と言うことは、10億円の売上げの時はPSRは75倍ですね。仮に10倍の売上げになると…100億円で50億円の営業利益で30億円が税引き利益ですから、PER50倍なら1500億円ですね。つまりPSR150倍です。売上げが5倍、10倍と膨らむ予想の成長株ならば、理屈上はPSR100倍以上の株価も成り立つわけですね。
どんな株でも上がる株は、必ず背景が存在します。その理屈をどう投資家が捉え考えるか?
まさか既に完成されたソニーや商船三井のような会社を、PSRの尺度で考える事は出来ません。特に市況産業はPER10倍程度とかなり想定が低くなります。逆に今のような経済環境は、これから業績の向上が見込まれますから、損益分岐点を超えた段階の僅かな黒字の会社をPER50倍、あるいは100倍で評価してもおかしくありません。このような業績の見方は、過去最高利益がひとつの基準になります。
赤字の会社が勢いよく株価が上がってくる時など…安易な空売りは危険ですね。特に初期波動の大きな会社は非常に危険です。私は今回のような大きな下げの後は、かなりのスケールの大きな相場になる銘柄が、出現すると考えています。だからあえてPSRの考え方を述べた次第です。大きく株価が上がると、買いにくいものですが本物の成長株ならば、実際に利益が出るまでどんな高値で株を買っても恐いことはありません。実際に大きな利益が出て株価が割安に見える時は、逆に恐いものですね。騰落レシオがかなり高い水準ですが、安易な空売りは避けるべき時期でしょう。
投稿者 kataru : 2010年03月24日 19:55