今日の市況(2010年03月25日)
今日は少し違った話題から…。
米国では金利が上昇気味です。理由はファニーメイやフレディマックの2社の発行する債券が下がっているからだそうです。これらGSE(Government Sponsored Enterprises{政府支援法人})債が売られている背景には、FRBの戦略もあるのでしょう。4月から住宅担保ローンの引き受けをやめますからね。正常化へのステップですね。しかし同時に新規住宅着工件数が発表されており、相変わらず、貸し渋りの実体を垣間みる想いです。日銀はバブル崩壊を15年もかけて修復してきましたが、2006年の金融戦略を間違って日本景気の低迷は長引いています。オーストラリアを始め世界の国々がインフレを警戒し利上げをするのに、量的緩和の金融拡大策を強いられましたね。日本国民の心理を考えてない金融政策だから、このような閉塞感に満ちた時代になっています。
代わって欧州です。ギリシャ問題はドイツの提案でIMFが関与し、EUが支援する方向性に傾いています。当初はEU独自の体制に傾きましたが、結局IMFの活用に向っています。昨日は格付け会社のフィッチが、ポルトガルの格付けを引き下げ、ドル高ユーロ安の流れになっています。加えて気になるのは、欧州各国は好景気の時でさえ、米国型経済モデルへの移行に消極的でしたが、景気停滞期の現在は尚更です。選挙民は変化より経済の安定を求めるようになっているようで、21日のフランス地域圏議会選挙での右派与党の惨敗は、サルコジ大統領による企業寄りの政策導入と福祉水準の切り下げに向けた動きに国民が不満であることを示しています。更に、フランスのラガルド財務相は、この1週間、ドイツが外国製品への需要を十分に喚起していないとの批判を繰り広げました。一方、ドイツの政治家は、フランスや南欧諸国は自国の産業の競争力を高める必要がある、と反撃し保護主義の台頭が芽生えています。
グーグルの表面上の報道は皆さん知っているでしょうが…知らないのはその背景です。
ウォール・ストリート・ジャーナルは「米インターネット検索大手グーグルが今週、中国本土での検索事業から事実上撤退した背景には、同社共同創業者、サーゲイ・ブリン氏 (36)の譲歩に対する気持ちの変化がある。つまり、同氏の出身国である旧ソ連を思い起こさせる国で、事業を行うに当たって要求される譲歩だ。ブリン氏は同社の中国事業に関する決定をめぐるインタビューで、2008年夏に開催された北京オリンピックの直後にこうした変化が始まったと語った。同氏はオリンピックの熱狂が冷めるにつれ、中国政府がウェブサイトの検閲を徐々に強化するとともに、グーグルの事業に対し干渉を強め始めた、と指摘した。同氏はその頃に、中国での事業活動に対する規則の不透明さがますます強まったと述べた。」と伝えています。
この事件を切っ掛けに、中国では18分野の報道規制がひかれました。
朝日新聞が報道していましたが、他の新聞はしていませんでした。内容は「人民元切り上げ問題、官僚の腐敗、高額な医療費、食品安全問題・事件、新疆ウイグル騒乱、チベット騒乱、貧富の格差、戸籍制度改革、食用油の価格高騰、党幹部の人事予想、大学の自治権拡大、大学生の就職難、四川大地震の学校倒壊問題や復興の遅れ、山西省の不良ワクチン注射事件、吉林省の製鉄所社長の殴殺事件、重慶の警察と暴力団の癒着、不動産価格の上昇と住宅難、地価高騰をあおる不動産開発業者」などの報道を禁止する内容だそうです。
さらに嫌な報道が続きます。
米医療保険改革法案が成立したことに加え、共和党の一部幹部議員が金融規制改革法案の可決公算が大きいとの見解を示すなか、金融規制改革法案の可決を目指し、米政権と議会民主党議員の努力が一段と強まっている…と、伝わっています。何故、金融規制が、もっとも懸念する材料かと言えば流動性を阻害するからですね。今の金融界はリスクに過剰反応しています。だから米国で貸し渋りが蔓延し、どんなに金利を下げても貸し出しが伸びない日本のような社会が作られています。この背景は金融規制なのです。
日本の景気回復を阻害しているのは、個人情報保護法案や金融商品取引法などの規制強化の動きが背景にあります。自由が阻害されれば安全は強まりますが、成長は妨げられます。今の日本の株式市場は、三菱UFJ銀行が黒字で配当をしているのに純資産価格以下なのですね。これくらいに金融を引き締めているのです。日銀が緩和姿勢を採り続けても、これが現実ですね。注意銘柄や注意喚起銘柄が複数年に渡ってかけられ続けている銘柄があったりしているように、規制はOKだが緩和は駄目なのが実体です。
いつもは強気の材料ばかり流していますが、世界経済は微妙な環境にあります。
米中関係や保護主義の台頭も考えられる兆候がありますね。しかし逆に赤字だから…株価が上がっているから…と言う理由だけで、背景を調べないで空売りする人も居ます。この時期は非常に危険でもあります。(これは空売りをする人にとっての話しです。)
今、電子部品業界は空前の人手不足の状態です。部品がないために製品を作れない現実が起こり始めています。今日の日刊工業新聞にも報道されていますね。
株がこの時期に高値を追い続けるのは、将来、かなり高くなる可能性を秘めています。今日は弱気の材料を冒頭に持ってきて、最後にツガミの動きも見てください。
しかし同時に市場は指数の動きに連動しているだけの…くらげのように、ただ漂っている動いている事も事実です。
投稿者 kataru : 2010年03月25日 19:14